つかれぐまさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

つかれぐま

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エスター(2009年製作の映画)

-

原題は「孤児」。

設定は荒唐無稽なんだけど、そもそもこの一家、接写すれば崩壊の危険を多分に孕んでいたわけで。その視点で見るとエスターは触媒に過ぎず、現実的な「家族というホラー」として楽しめた。
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ちひろさん(2023年製作の映画)

-

まずはご飯を食べる。
話はそれから。

孤独を猫のように飼い馴らすちひろ。孤独を希求するオカジ。孤独の意味すら解っていないマコト。疑似家族とは呼びたくない、不思議な連帯から伝わる「孤独とは」

良質の
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.0

23/2/22@UPLINK#4

変態的カメラワークで見せる艶めかしい男女。複雑なミステリー構造が、終わってみれば一組の不倫劇に集約する。

複雑な犯罪プロット、最新ガジェットの多用で古典的な話を新
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茜色に焼かれる(2021年製作の映画)

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飯塚幸三@受刑者を思わせる冒頭。コロナ禍の2020年夏。

揃いも揃ってKUZU、自分は安全圏にいて口だけは立派な男たちに翻弄される母子。だが、不思議にも後味は悪くない。更なる悲劇にならず正直ホッと。
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.0

23/2/15@アップリンク#3

ボクシングは相手との距離が大事と聞く。自分の得意な、あるいは相手の苦手な距離を取るスポーツだ。本作もケイコとの距離を考えさせる映画だった。登場人物と同様に、我々とケ
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時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)

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【人類の生得的暴力性】

前作『2001年・・』では難解だった上記のテーマを、本作は誰の目👁にも分かるように(危険なほどに美しく)嚙み砕く。

映画序盤、非人間的に思えたアレックスたちの暴力。だが暴力
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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

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"DJANGO"のDは発音しない。

血なまぐさいが晴れやか。
計算された緊張とカタルシス
★★
伝統の西部劇をイタリアに輸出して作られたマカロニウエスタンの「再輸入」。そこに史実にはない黒人ヒーロー
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.5

23/2/8@Wシネクイント

【孤島のマウント合戦】

二人の男の些細な喧嘩がやがて大事になっていく。アイルランド内戦を遠景にした孤島の物語は、戦争が発生する仕組みをミニマイズする。

このプロット
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

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【考えるより手を動かせ】

予想外に王道的展開だけど、語り口を理に落とし込まず、情で突破するのが心地良かった。ヒットせず残念。

くたびれた美女。
主人公の言葉を借りればこれが「刺さった」、オジサンの
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

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【戦争は非人間的か】

前線の兵士は人間臭い若者たち。非人間的に意思決定を下すのは老いた幹部。物語は終始、人間的vs非人間的の対比構造で進む。

「戦争は非人間的だよな」
そんな自明の感想を抱きつつ見
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エンドロールのつづき(2021年製作の映画)

3.5

23/2/1@アップリンク#4

てっきりノスタルジックな感涙モノと舐めていた。いつのまにかアート映画の文法に変わり、思わぬ射程の広がりに驚く。映画がもっと好きになる映画だ。

"Last Film
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モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル(1975年製作の映画)

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『未来世紀ブラジル』テリーギリアムの原点。

アーサー王率いる騎士たちが聖杯を求める旅に出る。一応そういうお話だが、笑ってしまうほど低予算で、それを隠す素振りもない。全てが「チャチ」なんだけど、これが
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マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

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ホラーとアクションの二刀流監督ジェームズ・ワン。ジャンルブレンダー(自称)に偽りなし。

『サスペリア』風か?
追われる美女の視点と、
追う殺人鬼の視点の交錯。
と思わせてからの・・。

「これはアレ
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灼熱の魂(2010年製作の映画)

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難民、信仰、家族。
錯綜するテーマが、衝撃の展開を経て「母親の愛」という一点に収束する。

過去と現在、
カナダとレバノン。
両者を何回も往復しながらミステリー形式で進んでいく。
過去のレバノンで、
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非常宣言(2020年製作の映画)

3.5

23/1/18@アップリンク#4

【それを決めるのは自分】

ジャンル映画の面白さを詰め込んだ前半から一転、後半に突きつけられるテーマは重い余韻を残す。『新感染』にも劣らぬ傑作だった。

ジェット機
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

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スコア低いけど悪くないのでは。画面構成力による「不穏さ」の演出が抜群。台詞と説明の少なさが欧州映画らしくて好きだ。

何通りにも解釈が可能な、凡百の監督には出来ない構成。アダは神の子?悪魔の子?まあ彼
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アイアン・ジャイアント(1999年製作の映画)

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【50年代の光と影】

時代設定は1950年代ということで、あえて当時のアニメーション画風を再現するこだわり。これが上手く機能して郷愁を誘う。

東西冷戦、反共キャンペーンの全盛期。おそらく当時はアニ
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コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

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カウリスマキ初鑑賞。

これ、ジャームッシュだ。
と思ったらやはり二人は親交があるとのこと。

ただ、ジャームッシュから「洗練」を引いた感じかな。真似したり憧れる様な世界ではなく、無骨そのものに市井の
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アマデウス ディレクターズ・カット(2002年製作の映画)

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才能への嫉妬を前景に
神に支配された男と
父に支配された男。
2人の悲喜劇。

宮廷作曲家のサリエリ。
彼の心の動きを追う物語だ。
まずは神への忠誠に始まり、怒り、やがて決別。十字架を火にくべる場面は
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マルコヴィッチの穴(1999年製作の映画)

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1999年。

『ファイトクラブ』『マトリックス』と同じ年の作品。偶然にも「自分ではない何か」になるというテーマが共通。アイデンティティをめぐる話。

マルコヴィッチという他人の頭の中に入ることで、ア
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.5

23:01:03@調布#10コート

「ここは君の舞台ですよ」

史上最高製作費のアバターが週間1位になれなかったのは世界で日本だけらしい。阻止したのが本作という、まるで山王vs湘北みたいな話。これに
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シックス・センス(1999年製作の映画)

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【二回目が面白い】

ラストの衝撃が有名だが、それを知って観る二回目は違った作品にすら見えてくる。伏線の巧みさだけでなく、ドラマとしての味わいが深まって、二回目のほうが私はより楽しめた。

ホラー展開
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十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

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【同調圧力という恐怖】

大昔に観た時は、ヘンリー・フォンダ@8番が「正義の人」以外の何物でもなかった。それから幾星霜。今回は彼が「正義の仮面を被った策士」にも見えてくる。実に良く出来た脚本だ。

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スナッチ(2000年製作の映画)

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初のガイ・リッチー。
印象は、
ジェネリック・タランティーノ

「仏作って魂入れず」
タランティーノ作品からボンクラ魂の抜けた「カッコよく見られたい」ワナビーな映画。俯瞰すればさほど複雑ではないプロッ
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恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)

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【100分に込められた∞時間】

「何度も同じ日を繰り返す」系の元祖?寒い日にぴったりのココロ暖まるコメディ。

ハロルド・ライミス&ビル・マーレイの『ゴーストバスターズ』コンビが生んだもうひとつの傑
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コンタクト(1997年製作の映画)

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【科学と宗教と】

ファーストコンタクト映画の系譜。『未知との遭遇』から『インターステラー』へバトンを繋いだ名作ながら、なぜかその2作ほど評価が高くない不遇のSF映画。

『未知との遭遇』の国家陰謀論
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デルス・ウザーラ(1975年製作の映画)

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「人間は自然に対してもっと謙虚でなければならない。我々も自然の一部であり、調和が必要なのだ。デルスから学ぶことは多い」
 ー黒澤明

ロシア帝国末期。
未開の地シベリア探検に赴いた軍人と、案内人の猟師
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.0

22/12/17@調布ULTIRA
HFRハイフレームレート/3D/吹替

3D映像の奥行に息を吞む。
だがその物語に奥行はない。
映画としての分かりやすさと引き換えに、失われた「異星パンドラ」の神秘
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死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)

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クールな白黒映像。
緻密なサスペンス。
マイルスデイビスのジャズ♪

全てが噛み合った奇跡のようにカッコいいフィルムノワール。いかにも若い監督(25才のルイ・マル)らしい尖り具合がクールだ。

既にカ
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キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)

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舞台をアメリカに戻し今度はマカロニウエスタン。更にブライドが修行する回想シーンはカンフーと、ますます多国籍感を強めるVOL2。同時に内面を掘り下げるドラマ性も備え、この血塗れの物語が意外な着地を見せる>>続きを読む

キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)

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「やっちまいな!」

オーレン・イシイの掛け声で始まる青葉屋の闘いは、映画史に残るクライマックス。本作のネタ元になった深作欣二らの日本映画を私はほとんど見ていないが、それでも本作に惹かれる不思議。タラ
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最強のふたり(2011年製作の映画)

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カーステから流れる
アースウインド&ファイヤー♪

この映画が善でも偽善でもなく、むしろ不謹慎でさえある友情の話であることを軽快に宣言する。いわば本作のルールを最初に設定してくれるフェアなオープニング
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未知との遭遇 ファイナル・カット版(2002年製作の映画)

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【3/3:あのシーンがない理由】

オリジナル➡特別編➡を経た<第三版>にして、尺も最長の最終決定バージョンなので(私のような)狂人、いや物好き以外はこれさえ見ればOKだろう。

特別編でカットされた
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未知との遭遇 特別編(1980年製作の映画)

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18/2/27@新宿ピカデリー#6

【2/3:価値観の反転】
爆音映画祭にて40年ぶりの劇場鑑賞。椅子も震える重低音が響くラスト30分の祝祭感。

オリジナル公開から数年後。
再編集&追加撮影
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未知との遭遇(1977年製作の映画)

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1978/3@新宿プラザ

【1/3:オリジナル公開版】
私が初めて映画館で観た洋画であり、大人向け映画とのファーストコンタクト。小学生にとっては本作の鑑賞そのものが「未知との遭遇」だったという記憶。
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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

4.0

22/11/30@UPLINK#1

NETFLIXの前に劇場で。
暗闇での鑑賞が似合う究極の「人形劇」ライカの専売特許と思っていたストップモーションアニメを、まさかデル・トロが作っていたとは。シェイ
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