つかれぐまさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

つかれぐま

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未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)

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【夢と悪夢と現実と】

テリーギリアムの悪魔的センスが、全体主義国家という悪夢を脳内に植え付けていく。現実を見ずに夢に逃げれば、そこに待っているのは悪夢。

全体主義国家という設定でありながら、本作に
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コマンドー(1985年製作の映画)

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「人間の心を持ったパワフルな男」

『ターミネーター』でブレイクしたシュワが、今度は「人間」役とあっての当時の宣伝コピーだが、このメイトリックスも「人間の心」があるとは思えぬ殺人マシーンだ。

ルッソ
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.0

22/7/14 @ル・シネマ #2

【ノルウェイの森🌳に隠せ】

「わたしは最悪」と自戒しつつも、自分探しが止められないユリヤが主人公だが、どうにも彼女に面白みというか奥行が感じられない。では本作が
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

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60年前の革新的作品を、
そのままリメイクする保守性という矛盾。

「スピルバーグの新解釈」という言葉に騙された。シャークスのメンバーにラテン系俳優を使ったりするのは、正しいやり方だけど別に「新解釈」
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ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

2.5

22/7/8@調布_ULTIRA

【ちょうどいいって難しい】

前作も『ジョジョラビット』も好きで、ワイティティへの信頼ハードルを上げ過ぎたかな。ロックオペラ的グルーブ感は好きだけど、賛否で言えば否
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エルヴィス(2022年製作の映画)

4.0

22/7/4@調布#5

黒人居住区に育ちゴスペルで覚醒した少年が、資本主義という悪魔と契約を交わし、その頂点であるペントハウスまで神のごとく昇天。かくして彼の歌声は、白人富裕層に独占される皮肉。
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スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還(1983年製作の映画)

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【武器よさらば】

これぞ大団円。追い詰められたルークが最後に見せる勇気に震える。サーガの終結に相応しい素晴らしい着地だ。

前作のショックから立ち直り、冒頭から迷いのないルークがいい。最近のヒーロー
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スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(1980年製作の映画)

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【魔曲の登場】

世界観の拡張と伏線に徹した「つなぎ」の作品。それでも絶大な人気を誇るのは、あの「魔曲」の力か。

好みを言えば、初期3部作では唯一好きになれない。派手なドッグファイトもなく延々と続く
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スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(1977年製作の映画)

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【オビ=ワンは永遠】

ああオビ=ワンの気高さよ。
銀河の為とか、ジェダイへの殉教というよりも、2人のスカイウォーカーとの宿命に身を投じたオビ=ワン。オビワン、ルーク、ベイダー「3人のジェダイ」の物語
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マイティ・ソー バトルロイヤル(2017年製作の映画)

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原題:ラグナロク
邦題:バトルロイヤル

陰と陽。相反する印象だが、不思議にこの両方が本作の二面性を表現している。アスガルド崩壊の話にも関わらず、悲劇と呼ぶにはあまりに賑やかで雑多で多様なカオス。やっ
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アンタッチャブル(1987年製作の映画)

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今考えたい「正義」。

禁酒法時代のシカゴ。
不正はびこる警察に背を向けて、正義を信じたアンタッチャブルズ(買収できない男たち)の4人が、命懸けで悪の帝王カポネを追い詰める。

『ゴッドファーザー』の
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(1985年製作の映画)

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【人類への遺言】

戦国時代。殺戮の限りを尽くした老将が穏やかな余生を願うが、息子たちの疑心暗鬼、仇の娘である嫁の策略、そして神の見えざる手がそれを許さない悲劇。

『赤ひげ』までを前期、その後を後期
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影武者(1980年製作の映画)

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次作『乱』へ向けての習作。

武田信玄の死後3年間、その影武者を立てることで、武田家内外にその死を隠し通した話。絢爛たる戦国絵巻だ。

ポール・スミスは、本作と次作『乱』に影響を受けたそうだ。モノクロ
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ライフ・イズ・ビューティフル(1997年製作の映画)

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「人生は美しい」
と思えば、人生は美しい。

という話。良くも悪くもロベルト・ベニーニのマシンガントークが続くので、苦手な人がいても不思議はないが。

劇中ベニーニは、一度も暗い顔や考える表情を見せな
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

4.0

22/6/13@調布#8

アフガニスタンのある家族が、イスラム原理政権の恐怖からロシアへと逃亡(FLEE)する。だが、そこには更なる地獄が待ち受けていた・・・。少年アミンの視点で描くアニメドキュメン
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スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

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【誰が誰に「そばにいて欲しい」のか】

中年作家が12才の時の冒険を振り返る話。ノーマン・ロックウェルの絵のようなノスタルジーの中に、現実の厳しさが混ざる「物語論」。

映画の最初と最後に登場し、随所
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まあだだよ(1993年製作の映画)

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【黒澤明の生前葬】

遺作となったこの小品は、内田百閒という実在文士の話を借りた黒澤本人の内面描写。観客は遺言を拝聴し、生前葬に参列する・・これは果たして映画なのか。

表層的には、内田百閒というさほ
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ヒックとドラゴン(2010年製作の映画)

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見逃していた名作。
ドリームワークスぽくない王道路線だが、全方位的に完成度が高い。

異種との交流、少年の通過儀礼、父との確執、マチズモの否定、ツンデレ少女との恋。アメリカ映画が大好きな要素が、この短
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(ハル)(1996年製作の映画)

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【村上春樹とホッパーと】

インターネット🌎黎明期。
大きな喪失を経た男女が、パソコン💻通信で知り合う。ラストシーンまで二人が出会うことはなく、メール画面と何気ない日常が散文的に積み重ねられていく不思
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

5.0

22/5/28@TOHO日比谷TCX

マッハ10で伝説越え⤴

映画が、映画館が好きで本当に良かった。下手に言葉を費やすのが野暮に思える開けた視界。広い空と海を飛び回る「夢の世界」よ永遠に。

まず
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明日に向って撃て!(1969年製作の映画)

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【異端の西部劇🐎】

モダンで軽快でスタイリッシュ。当時流行の汗臭いマカロニウエスタンとは真逆の空気感は、西部劇というよりも青春映画のそれ。

撮影がとても凝っている。
ちょいちょいフレア✨も入る逆光
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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

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戦争と言う巨大なシステムを扱う存在として、我ら人間はあまりにも不確か過ぎる。過去作『突撃』から通底するこの人間観は、今観ても普遍的で古びてはいない。

設定は米ソの冷戦だ。
ふたつの「イデオロギー」が
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突撃(1957年製作の映画)

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【これは「反戦映画」か?】

むしろ「戦争という巨大システムを、不確実な存在である人間が扱うこと」の危うさ。それを冷徹に描く反「人間」映画という後味。キューブリック「神の語り口」が本作から始まる。
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MIND GAME マインド・ゲーム(2004年製作の映画)

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これ、マルチバースやん。

殺された若者が、もう一度生き直す話。
といっても哲学的でも内省的でもなく、関西弁とドラッギ-な映像が続くトリップ感。

最近ハリウッドで大流行りのマルチバースが、2004年
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現金に体を張れ(1956年製作の映画)

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キューブリック・デビュー作

独特の冷徹なショットはまだ見られないが、巧みな脚本と構成に驚く。時系列いじりや視点の反転など、タランティーノやノーランの元ネタが見つかるフィルム・ノワール。

僅か85分
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.0

22/5/18@調布ULTIRA

理性では微妙だが本能が喜んだ2時間。すっかり接待された気分の昭和特撮世代の感想としては「ありがとう」かな。ただ、言いたいことも結構あるので、以下つらつらと。

『シ
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シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)

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「DTパワー」が炸裂💣

身も蓋もなく言えば、子供同士が殺し合う胸糞な話。
見始めて気分が悪くなりかけたが、不思議と感情移入してしまう。ドラマを支える心理描写がとても丁寧で巧みなのだ。

主人公プスカ
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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

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人情噺🚖🚖🚖🚖🚖五題

落語の人情噺の後味。出世作の『ストレンジャー・・』を骨とすれば、血と肉がついて分かりやすくなったジャームッシュの作家性。

市井の人々の他愛ない日常を、優しくシニカルに描く。そ
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ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984年製作の映画)

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『ナイトオンザプラネット』
 を観る前に・・。

私はこの映画の良さが「たぶん」分かっていない。それでも嫌いじゃないし、もう何回も(何年も)見続けているのは、尺が短い気軽さもあるが、あの睡魔に飲み込ま
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切腹(1962年製作の映画)

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【その武士道、有害につき】

静謐な様式美が支配する前半のミステリーから一転、後半はその伏線を一気に回収し、壮絶な復讐譚という別のジャンルの映画に変わっていく。漲る緊張感と鳥肌の読後感。

下心が透け
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アニー・ホール(1977年製作の映画)

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【小さいアカデミー作品賞】

笑いのための笑いに走ることを避けて、人間の真実に近づこうとする。そこから沸いてくる「笑い」を巧みにスキミングしている面白さ。

ガチガチの倫理観の現代では難しくなった語り
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惑星ソラリス(1972年製作の映画)

5.0

22/5/10@ユーロスペース#1
🎞デジタルリマスター版

客人である「人類」を理解しようとする惑星。その惑星「ソラリス」を鏡にして、自らと向き合う人類。SF設定を借景にした相互理解と自己理解の物語
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

4.0

22/5/6字幕2D@調布#5

"MOM!"

『スパイダーマン3』以降、アメコミ映画から離れていたサム・ライミ。彼の眼に、その後のMCU王朝はどう映っていたのだろうか?

マルチバースというケヴィ
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グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997年製作の映画)

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主人公ウィルが、登場する4人の他者とどう関わり、何を与えて、何を受け取るのか。そのまま心理学のテキストになりそうな、この凄い脚本をマットデイモンが自分で書いて持ち込んだというから、さしづめ文科系『ロッ>>続きを読む

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

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石油屋 vs 牧師
炎のバカ試合三本勝負!

資本主義と宗教。
それぞれの旗印の元に戦う「金の亡者」最強決定戦。同族嫌悪が発生するメカニズムが良く解る。

台詞なしの冒頭20分弱は、人類が武器を手にし
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カモン カモン(2021年製作の映画)

3.0

22/4/27@TOHO新宿#8

<静かで散文的>

ホアキン・フェニックスを相手に、一歩も引かない子役が一番の見所かな。かわいい、賢い、優しい。一般的な子役に求められる「愛され」要素の全て反転とい
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