AAAさんの映画レビュー・感想・評価 - 28ページ目

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

3.9

パステルカラーの派手な画面と相反するように皆が貧困。

日本ならこの安モーテルには江口のりこが住んでいるが、フロリダではよく喋る太った女が住んでいる。

母親が安い詐欺を繰り返しており、少しその生活に
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大いなる遺産(1998年製作の映画)

3.8

イーサン・ホークとグウィネス・パルトロウのラブストーリーというより、チャールズ・ディケンズが用意した運命のレールに踊らされている登場人物という感じがした。

処女性を重んじない新海誠の様な世界観で、全
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リトル・プリンセス/小公女(1995年製作の映画)

3.2

「小公女セーラ」って小さい頃から児童文学として名前は知っていたけど一切手に取ったことはなく、初めて内容を知った。

非常にわかりやすい二項対立でアメリカらしい正義が描かれている。

当時のアルフォンソ
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孤独な天使たち(2012年製作の映画)

3.6

ベルナルド・ベルトルッチの長きに渡る闘病生活後の1発目。

歪な関係を作り、家の中が世界の全てという作品が多い彼の映画は最終的に必ずそこから飛び出す。

母体回帰願望への反抗、人生を前に進めるための休
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

3.4

主人公が途中で変わる2部構成にした事で、一見幸福そうな家族の欠陥をより浮き彫りにする事に成功していた。

しかし、アスペクト比を途中でいじったり、ハイスピードの画に音楽ONで乗っけたカラフルな映像は作
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ラストタンゴ・イン・パリ(1972年製作の映画)

3.5

待ち伏せした女を衝動的に犯し、関係が始まるという極めて男根主義的な筋書きから、名前を明かさず昔話をピロートークで繰り返すロマンス。

ベルナルド・ベルトルッチの映画は一般的な映画の感情線とは異なり、ラ
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暗殺のオペラ(1970年製作の映画)

3.3

待っても来ない列車、届かない新聞。
そもそもそんな街なんてあったのか。

ファシストの手によって殺され、英雄になった人物なんてものはすぐに忘れ去られてしまうということへの皮肉か。

ジャンプカットやフ
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レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

3.7

ウディ・アレンの芝居に数々の名優が挑み、積み重ねてきたものが形を変えて新しいものになってきた気がした。
桑田佳祐のモノマネを桑田佳祐が意識して歌い方が徐々に変わってまた新しいオリジナルになる感じ。
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ボヤージュ・オブ・タイム(2016年製作の映画)

2.9

テレンス・マリックは額縁だけを用意し、中を描くのは観客次第とよく言われる。

寝たくは無いけど眠たくなる映画を観たくて何となくU-NEXTでボタンを押したけれど、宇宙の始まりや我々は何故存在するのかを
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ドリーマーズ(2003年製作の映画)

4.6

知識を身につけ、主義を持つと自分は他人とは違う特別な人間だ、と思い込む。
しかし、彼らは他人と同じように腹が減って金がない。

彼らの関係は学生運動という実態のないエネルギーと同じだ。

最後は両親に
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夏をゆく人々(2014年製作の映画)

3.8

ラクダの一件からも分かる様に「隠れていれば自由(それも社会に適応しなくても良いという意味での)を享受できる父」と「盲目的な名声欲に駆られた娘」という対立構図がこの映画には終始存在する。

どちらもこの
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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

4.0

神話版浦島太郎。

キャラクターを描くというよりも、イソップ物語の様な寓話性が強かった。
そのため、様々な出来事に教訓めいたものが落ちているように感じてしまう。

ギブアンドテイクの人間関係の中では、
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MOTHER マザー(2020年製作の映画)

3.6

ネグレクトものでは珍しく「お母さん!」より「周平!」と子供の名前を呼ぶ回数の方が圧倒的に多かった。

秋子にとって何故「りょう」や「周平」でなければいけないのかという点が明確でない所が長澤まさみの怖さ
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千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

4.8

劇場で観るジブリの最後は千と千尋の神隠し。

1幕の両親を豚から人間に戻すというセントラルクエスチョンの設定からハクとの関係という2幕に起こるサブプロットへの展開が本当に神がかっている。

小学生の頃
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アクト・オブ・キリング オリジナル全長版(2012年製作の映画)

4.0

最初、プレマンたちに当時の様子を映画にしようと持ちかけた瞬間からラストまでの想像がついてしまった。
どうせ、演じることで罪の意識が芽生えるのだろうと。

しかし、来ると分かっていた展開なのに想像を遥か
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台風家族(2019年製作の映画)

3.3

新しい地図3人の主演映画を見終えた。

本作の草薙くんは他の2人と違い、クズであることに変わりはないが、夢があり、バックボーンがきちんと存在した。それが故に他の2人と比べて(作品自体もだが)表面的な人
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風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

4.0

またもジブリを映画館で観た。
もはや何回見たかわからない。

冒頭は「ファンタスティックプラネット」を彷彿とさせる世界観。

一見、3点の対立構造に見えるが風の谷と虫たちの主義は似てくるので最終的には
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凪待ち(2019年製作の映画)

3.7

香取くんが何しても最終的にはみんな優しい。
でもそれは舐めたような罪の意識だったり、娘の為だったり、自分のダメさを認めたくないからだったり、全て香取くん自身に向けられたものではない。

「誰が殺したの
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ドラえもん のび太の南海大冒険(1998年製作の映画)

3.9

映画館で「もののけ姫」を観たので当時の気分に浸りたくて観た。

四次元ポケットをいかにして使えなくするかが大長編ドラえもんのカギ。

島に流れ着いたのび太が翻訳こんにゃくなしでジャックと仲良くなれる素
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SKIN/スキン(2019年製作の映画)

3.7

短編の後に本編を鑑賞。

短編とは違い、身体的・精神的苦痛を伴う拷問による改心ではなかった。
長編ならではの人間関係を構築し、主人公が自ら変わっていく様を丁寧に描いていた。

しかし、ファミリーがあま
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SKIN 短編(2018年製作の映画)

4.0

20分に集約した短編という事で寓話感が強く、面白かった。

身体的、精神的な苦痛を与えることで暴力性や信念を変えようとする行為そのものが「時計仕掛けのオレンジ」を彷彿とさせた。

もののけ姫(1997年製作の映画)

4.4

23年ぶりに映画館で観た。
1回目に観た時、サンがアシタカに食べさせている肉は何だったのかと、母親に開口一番に尋ねた記憶がある。
そのあとビーフジャーキーを買ってもらって食べた。

「まだ終わらない、
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ひとよ(2019年製作の映画)

3.8

「ひとよ」というタイトルに様々な意味が込められている。

家族の再生を描くときの田中裕子はまさに本領を発揮する。
少し「anone」を思い出した。

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)

3.7

ドーナッツは身体に悪い。と一見お節介にも聞こえるセリフを会ったばかりの子に言ってしまう時点で彼らの間には何かしら特別な感情があったのだろう。
そこには女に見えるだけでなくきちんと母性が存在していた。
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夜と霧(1955年製作の映画)

3.7

アウシュヴィッツ強制収容所を詳細に映したドキュメンタリー。

抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-(1956年製作の映画)

3.8

シンプルな運動と時間で出来た作品。
脱獄は行動そのものに注視し、それを積み上げるのに適した題材だった。

職業俳優を用いないブレッソン。
しかし、少なからずカメラを回している以上、お芝居は必ず発生する
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ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

3.9

距離が近い映画。

悪意に疲れたリリー・フランキーや鬱を患った木村多江がすぐ側にいるようで、なんだか疲れた。
でもそれが故に、彼らが楽しそうだったり幸せそうだと、こちらも多幸感に溢れる。

距離が近い
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めし(1951年製作の映画)

3.6

「成瀬や脚本の田中澄江・井手俊郎によって独自の結末が付与されたが、会社から結末が離婚では困ると要望され、妻が夫のもとに戻るような終り方にした」とあるが、その様はまさに若草物語のラストを彷彿とさせた。>>続きを読む

浮雲(1955年製作の映画)

3.8

50年代の不倫モノ。
高峰秀子という女優の内に眠るフェミニズム性や狂気が当時の社会状況により、役としても女優としても大っぴらに掲げることが出来ず、それでも静かに目の奥に宿っている。

何度も酷いことを
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その手に触れるまで(2019年製作の映画)

4.2

ダルデンヌの作品では珍しく主人公が不安定で意思を持ち能動的に行動していた。
その結果、予測不能なワクワク感が生まれた。

ムスリム社会ではアラビア語を用いるかコーランから教えるかという議論が行われてお
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嘆きのピエタ(2012年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

30年間離れていた為、親として子としての振る舞いがわからない2人。
その関係性は「弓」と同じように奇妙さと不快さを与える。

しかし、キム・ギドクがそんな母と子の愛情の話を綺麗に描くわけはなく。
壮大
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絶対の愛(2006年製作の映画)

3.2

テーマとそれを表現する演出が直結し過ぎていて映画が表面的に感じられた。

明らかに暮らしていない部屋と、ロケ地ですよの喫茶店、誰かのバーターで呼ばれたアルバイト役。

誰もこの世界にキチンと住んでいな
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(2005年製作の映画)

3.8

一見、ストックホルム症候群のような関係性だが、一般的に父が娘を想う気持ちと捉えれば最後に父親は娘を誰かに譲らなければいけないという寓話に昇華出来たのではないかと思う。

結婚式で交わす杯にキム・ギドク
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トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)

3.8

小さい頃にこの映画を観た後しばらく、自分もトゥルーマンショーに出ていると思い込み、1人なのにセリフを言ったり、すれ違う人に突然奇怪な行動を取って驚かせてやろうとする時期があった。

この映画は間違いな
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憂鬱な楽園(1996年製作の映画)

3.2

グレたチンピラの在り方がどことなく荒戸源次郎の映画を彷彿とさせる。

壊れた街を壊れた人間が歩くまさにノワール。

個人的なコンディションもあったのか、侯孝賢の映画にしては飯とタバコが美味そうだった。

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.1

姉妹それぞれにグレタ・ガーウィグの分身がいるようだった。

最後にジョーの取った選択は映画の中で新たな正義を確立した。

ティモシー・シャラメの若い頃を映画館のスクリーンで観れていたという事実がいつか
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