初めて少女漫画原作の作品を映画館で観た。
美男美女が大きなスクリーンで甘い言葉を囁き合ったら若い世代は観るでしょというスタンスだった。
ナレーションベースで自分の気持ちを話さないといけない演出も観>>続きを読む
企画の立ち上げから、ターゲット層、成果物まで全てがきちんとコンパクトに纏まった作品。
倍賞千恵子と藤竜也の2人はセリフもさることながら、「歩く」「食べる」「見る」など何気ない動詞の芝居が本当に上手で>>続きを読む
「男はバレエなんかするもんじゃない」とストライキに参加している田舎者の父親に一蹴されるが、好きなものを見つけて夢中になる子供にはいつだって心を奪われる。
バレエを通じて家族が変わっていき、父も応援す>>続きを読む
アルコール依存症の父とそこそこ売れてる子役の関係性を描いた作品。
人物をとても丁寧に描き、その役割が逆転している事から生じる父親の情けなさとやり場のない怒りが鮮明に伝わってきたし、子役の方は父への愛>>続きを読む
榮倉奈々を殺して菅田将暉をヤモメにする事で、小松菜奈と向き合える態勢を作った構造自体が不気味に感じた。
まさに道徳心を美徳としている感じがして、全てが作られたハリボテの世界に見えた。
本来なら、過>>続きを読む
全く観るつもりがなかったのに偶然が重なり、声が変わってから初めて映画館でドラえもんを観た。
今は作画の進歩でドラえもんが作り出す表情も人間と同じになっていて、声優の声でドラえもんの感情を表現するもの>>続きを読む
誰の思いも報われなかった事がこの事件の残忍さを物語っている。
情報は錯綜し、主人公は知らない人の死を次々と目の当たりにする。
それも、見えない恐怖と静かに息を引き取っていく人たちの中で、血で死を表現>>続きを読む
「わたしはダニエル・ブレイク」や「愛を読むひと」の様に法律ではなんともならない人間模様を描いた作品ではあるが、本作はクライマックスで主人公が破るべき殻の精算→乗り越えるという過程の中で、犯行の時効が適>>続きを読む
法では補えない部分を映画が担う。
我々は基本的には法に忠実に生きている、でもそれでは裁き切れない部分を映画で目の当たりにしたときに、私は本当にこの世界がどういう秩序で保たれているのかわからなくなる喪>>続きを読む
鉄の心を持って戦わなければ、この狂気的な東京を生き残っていけないという暗示か。
平成が始まり、消費税が導入され、バブル崩壊へと繋がる89年の東京はパンクを求め、製作者たちもパンクである事が求められた>>続きを読む
我々が日常、生き物を殺すことで食べているという屠殺の現状と、心と体の相互関係が機能せず社会生活が上手くいかない女性が描かれている。
「見て見ぬ振り」というのがこの作品において重要なテーマで、恋をする>>続きを読む
ショッピングモールは日本だと、田舎的、家族的、ナンセンスの象徴として扱われており、そこを映画におけるメインステージにしたことで大阪郊外の独特な閉鎖的空気感を上手く表現していた。
友達を介してではない>>続きを読む
日本語、英語、タガログ語とまたも多言語が登場した。
多くの言語で物語が紡がれていくと、「概念」がより鮮明に伝わってくる。
逆にその概念も「月が綺麗」という作中で出てきた事柄から、言語が違うと意味をな>>続きを読む
避難番号で命の選別が行われているニッポン。
静かにゆっくり国として人としての死が近づいて来る。
多言語を操る主人公とアンドロイドは各国の詩を通じて迫りくる終わりへの物憂げを語る。
自分に美的感覚や>>続きを読む
介護士と認知症のおばあ、仕事中、という場にタバコという異物が紛れ込んでいる状況から始まるアバンタイトル。
一つのカメラからは人間の多面的な部分は映し出せない。
脚本と構成で見事にその多面的な「よこが>>続きを読む
アンビエントを極力抑えた会話シーンを描く事により、セリフが浮き上がり、よりそこで描かれる人物たちの心情が差し迫った。
様々な関係性の中で悲劇が襲う状況そのものを、緊迫した雰囲気に持っていくには最適な>>続きを読む
主人公の半生を回想しながら、エステルとの関係を主軸に描いた作品。
「手紙のやり取り」という、映画でやり尽くされた手法の中では、新しい技を開発し、フィギュアスケートの様に技術点を競い合わなくてはいけな>>続きを読む
定期的に観たくなる作品。
この対談をやるにあたって、まだ若いトリュフォーをヒッチコックに引き合わせようって言い出した人が1番の功労賞。
記憶を消してもう一度「めまい」や「サイコ 」が観れたらどれだ>>続きを読む
本作の映画的視点は生き物のように有機的で、カルト教団による事件から残された遺族や関係者をその視点からじっくり映し出した。
その性格はダルデンヌ兄弟とは異なり、出来事をあるがままに映していくアクション>>続きを読む
インタビューを受ける彼らが辿ってきた人生の中で戦争体験や関東大震災、遊郭で育った男の話など、90年代当時はそういった出来事の語り手がまだリアルに存在していて、それがその時、聞いておかなければいけないお>>続きを読む
小さな子供がいて、貧乏ながらも慎ましい幸せを感じているのに自殺してしまう夫。
手に入れた幸福やこれからの未来について考えるとそれを放棄したくなる破滅願望からなのか。
浅野忠信はいつだって突然死んで女を>>続きを読む
ステレオタイプの人間を多く登場させる事で、オフスクリーンがより映画として機能する事を発見した。
わかりやすい人間像なので裏で動いている様子が映ってないのに想像できる。
最後はいつもの様に明るい逆転>>続きを読む
カメラの前でこれほど自由に動ける一青窈は正に主演の器。
寄りの画が殆どない為に、声色でどういう感情なのかを説明的にならずに使い分けていた。
街中の看板などのインサートも、侯孝賢というよりかは、我々>>続きを読む
社会的地位や世代間が異なる人々を何かしらの出来事により融合させるのが、ショーン・ベイカー作品では多く見られる。
「トランスジェンダーの娼婦」というマイノリティー中のマイノリティーを描いた本作も、ロシ>>続きを読む
この作品で最も感情が揺れ動くのはチワワをおばあに預けて1日面倒を見てもらったときに脱走してしまうシーンだろう。
居なくなったものを心配して探し回るという行為そのものが、ラストで明かされる悲しい過去を>>続きを読む
売れない焦燥感と才能の有無について他問自答を繰り返す山崎賢人と不幸を自分から背負い込めばいいんでしょというスタイルの松岡茉優。
互いに欠落した部分を気付かないうちに補い合っていて、その補い合っている>>続きを読む
「愛を留めておくには縛ることだ」というようなテーマ。
山口智子はOPからどこかおかしな人物で、何かがきっかけにというよりかは、最初から2人の愛は欠落していて、それを崩壊に向かわせるために脅迫性緊迫症>>続きを読む
ある夫婦が離婚するまでを即興演出で描いた作品。
セリフで関係や感情などを直接的に言わずにあくまでリアリズムに則って物語が進行する。
それが故に不安や疑心感が募る時は説明的な不協和音の音楽を流したり>>続きを読む
「現役OL」とタイトルに付けなければいけないドキュメンタリーではないし、銀行員との二足の草鞋を履いていることが彼女自身、ストロングポイントと思っているんだとすれば、彼女は夏菜を始めとする役者と仕事が出>>続きを読む
これだけ有名人でも、顔も分からなければ正体も知らないという、アメリカが求めるスーパーヒーロー像にピッタリと合致したバンクシー。
ニューヨークに1ヶ月間毎日ストリートアートを作り出し、ウェブサイトにあ>>続きを読む
溺れているのに見て見ぬ振りで漁を続ける舟。
雪が積もる山脈に凍てつく海という極限状況をモノクロの画面が際立たせる。
でもU-NEXTでこの短編のボタンを押したのは尺が10分だったからで、別に観たか>>続きを読む
盗み聞きするシーンや画面に漂う湿気が「アズカバンの囚人」を思わせる。
SF映画はその世界観の説明の羅列で人間が置いてけぼりになってしまいがちで、本作もミッドポイントまで主人公がどういう人間なのかもわ>>続きを読む
パステルカラーの派手な画面と相反するように皆が貧困。
日本ならこの安モーテルには江口のりこが住んでいるが、フロリダではよく喋る太った女が住んでいる。
母親が安い詐欺を繰り返しており、少しその生活に>>続きを読む
イーサン・ホークとグウィネス・パルトロウのラブストーリーというより、チャールズ・ディケンズが用意した運命のレールに踊らされている登場人物という感じがした。
処女性を重んじない新海誠の様な世界観で、全>>続きを読む
「小公女セーラ」って小さい頃から児童文学として名前は知っていたけど一切手に取ったことはなく、初めて内容を知った。
非常にわかりやすい二項対立でアメリカらしい正義が描かれている。
当時のアルフォンソ>>続きを読む
ベルナルド・ベルトルッチの長きに渡る闘病生活後の1発目。
歪な関係を作り、家の中が世界の全てという作品が多い彼の映画は最終的に必ずそこから飛び出す。
母体回帰願望への反抗、人生を前に進めるための休>>続きを読む