FutosiSaitoさんの映画レビュー・感想・評価 - 25ページ目

FutosiSaito

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パラダイス 愛(2012年製作の映画)

4.1

 ジャケットに釣られて、豊満な熟女が主役のポルノチックな作品と思ったのだが、違った。
 主人公の高齢なシングルマザーは、自分へのご褒美としてアフリカに旅行し、シュガーボーイを買う。
 「性を買う」とい
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あん(2015年製作の映画)

4.5

 恋愛も、派手な爆発も、キメぜりふもない。
 カメラも固定せず、揺れている。セットさえいらない。
 でも、そこがいい。過剰な演出もせず、そこに映っているものの「ありようを見つめる」映画だった。
 樹木
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チャッピー(2015年製作の映画)

3.6

 人間になりたいロボットである「鉄腕アトム」とは異なるアプローチで、もっと生きたいと願うロボットを描いた。
 AIの危険性がテーマでなく、環境がロボット(人間)を決めていくという描写、そこは人間と同じ
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わたしはロランス(2012年製作の映画)

4.2

 愛の物語。
 『アデル ブルーは熱い色』(女性同士)、『ブロークバック・マウンテン』(男性同士)につぐ、純愛の物語。
 ロランスは男だが女として生きようとする、その恋人は女であり……という大筋なのだ
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駆込み女と駆出し男(2015年製作の映画)

4.0

 時代劇の可能性。
 四季の移ろいと、お寺、江戸言葉に方言など「日本的なもの」が満載で、チャンバラがなくても成り立つ時代劇の良さがある。
 「私家版日本語文法」など日本語にこだわった、井上ひさしの原作
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イディオッツ(1998年製作の映画)

4.4

 偽善を嗤う、と言われているが、とんでもない。もっと問題作だ。
 園子温監督が、エログロで過激な映画を撮っているが、このラース=フォン=トリアー監督をしのげない。
 デンマークなので無修正はもちろん、
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龍三と七人の子分たち(2015年製作の映画)

4.0

 とんでもないブラックな映画で驚いた。日米同盟まで、危ないネタをさらりと仕込んで、かつ昔からの落語や漫才のようなテイストで笑わせる。
 『男はつらいよ』にできなかった、危ないネタをやりたかったのだろう
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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年製作の映画)

4.0

 エニグマを解読した学者でありながら、50年も秘密にされ、2013年にようやく恩赦を受けたアラン=チューリングの物語は本当に面白く、カンバーバッチの熱演もよかった。
 怖いのは、組織(MI-6など)と
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寄生獣 完結編(2015年製作の映画)

3.9

 田宮良子の深津絵里がともかく良い。複雑な表情やセリフまわしなど、それが後で感情移入を生み、感動してしまうのだ。
 『ブレードランナー』の原作、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』では、感情移入が人と
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クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃(2015年製作の映画)

3.8

 前半のカスカベ親衛隊メンバーとの別れのシーンはあまり引っ張らずに、活劇の続くメキシコに繋いでいくのは巧い。
 『エクスオペンダブルズ』みたいな出陣シーンに、活劇ありで楽しめた。
 かつての『殺人魚フ
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シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

4.1

 『バードマン』と同じ創作がテーマでも、こちらはラテンのノリでラストも明るい。
 普通で型どおりのものを作ることを要求され、自分の作品はやらせてもらえない。
 経済的な採算と、創造つまり芸術との相克。
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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.0

 長回しをここまで徹底するのはどうかと思ったが、これも主人公の混乱して、もどかしい心象を表していると考えれば納得がいく。
 映画内映画で作家の心情と苦悩を描いた、フェリーニの『8 1/2』と同じ系列の
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くちびるに歌を(2015年製作の映画)

4.0

 『青春デンデケデケデケ』(大林宣彦監督)や、『リンダリンダリンダ』(山下敦弘監督)以来の音楽映画の快作だった。矢口史靖監督の『スウィングガールズ』も加える。
 必ずピンチを迎え、それを乗り越え、ラス
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東京難民(2013年製作の映画)

3.6

 「貧困ツーリズム」荻上チキの評だが、その指摘どおりだった。一方、この映画では女性のホームレスについては言及されてはいない。
 だが、①それでも若者(大学生でも)が瞬時にネカフェ難民化する現実や、②「
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ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を(2012年製作の映画)

3.9

 『永遠の0』とは対局の映画。
 死ぬシーンを感動的に盛り上げないし、片方の立場の人だけ取り上げていない。いろんな立場の人間の事情を取り上げる。
 説明的で、真面目すぎるきらいもあるが、それがまた印象
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ファーナス/訣別の朝(2013年製作の映画)

4.0

 もうひとつの、ハリウッドとは異なるアメリカ映画。ハッピーエンドとは対局のリアリズム。
 山岳地帯に住む移民=「ヒルビリー」社会と、ファーナス=「溶鉱炉」が停止になる厳しい社会背景、その結果の貧困層が
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クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦(1999年製作の映画)

4.6

敵のロボは、デザインが雪ダルマ並みなのに、カメラアングルや音を含む見せ方などで、しっかり巨大な感じを出していて、カッコいい。
エンディングタイトルも含め、東宝特撮オマージュにあふれており、俺の「し
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クレヨンしんちゃん オタケべ!カスカベ野生王国(2009年製作の映画)

4.5

行き過ぎたエコの恐怖、シゼンマモルという敵キャラも、動物の仮面をかぶった組織も、潔癖で怖い。
管理こそが人のためとばかりに、決まりを作り言うことをきかせる、学校など管理社会を揶揄しているのはさすが
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クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん(2014年製作の映画)

4.1

自然豊かな田舎でなく、都会のカスカベ。良い子でなく、わるい子。とーちゃんも、かーちゃんも本音でダメダメなところも見せる。
だから、ジブリより、しんちゃんを支持する。
そのエッセンスをしっかり踏ま
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薄氷の殺人(2014年製作の映画)

4.0

 石井隆における「天使のはらわた」つまり「名美シリーズ」中国版だ。危険な女に惹かれていく主人公と、街などの風景も主役である点が。
 同僚刑事ワンは笹野高史に見えたし、主人公ジャンは竹中直人のようだった
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ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!(2013年製作の映画)

3.7

アメリカだと『アダルトボーイズ』や『アメリカンパイ』シリーズの雰囲気になるのだが、イギリスはお色気抜きで、飲みまくり。
そして、同じ造りのチェーン店も、みんなと同じことになるのも嫌いという主人公た
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6才のボクが、大人になるまで。(2014年製作の映画)

3.8

 6才のボクが成長していくさまに、『渡る世間は鬼ばかり』の「えなりかずき」を想起した。
 が、あちらは数年間でなのに対して、こちらは1本の映画というところが凄い。
 12年間を同じ役者で通したのは、『
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ビッグ・アイズ(2014年製作の映画)

3.6

 自作を自作だと言えなかったエイミー・アダムスに感情移入してしまうが、もう一人の主人公クリストファ・ヴァルツもまた監督の分身でもあると感じた。
 「それがないところに、まるであるかのように語る」フィク
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フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)

4.0

 『俺たちニュースキャスター』二作では、とんでもないバカな役をやっていたり、シリアスなようでも『ゲットスマート』や『エンド・オブ・ザ・ワールド』のように人のいい役をやっていた、スティーヴ・カレルが怖す>>続きを読む

ルート・アイリッシュ(2010年製作の映画)

4.1

 民間警備会社でイランに派遣されていた友人の不可解な死を、親友で同僚でもあった主人公が追求する。軍の兵士なら国が葬儀をして恩給もあるが、それもない。
 ブッシュ大統領のときにコストダウンのために「戦争
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アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)

4.1

 『ジャージーボーイズ』で音楽映画を撮ったイーストウッド監督が、ここでは音楽を付けていない。日本の戦争ものだと、必ず戦士シーンに主題歌もしくは感動的な音楽が流れる。
 それが、ない。エンディングにもな
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ゴースト・ハンターズ(1986年製作の映画)

4.0

『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』でシビアな演技をしていた、デニス=ダンまでがノリノリで宙を舞いながら剣戟をしていたり、幹部クラスの敵キャラが超怒りんぼで爆発したり、何から何までふざけて見える謎の映画。>>続きを読む

ニューヨーク1997(1981年製作の映画)

4.0

 オールナイトで『ハロウィン』『ザ・フォッグ』などと一緒に観てこれがトリだったりすると、しみじみした。エンディングの音楽が深夜の映画館に響いて、しびれた。
 ジョン=カーペンターは『要塞警察』といい、
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ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)

5.0

 カレー印のキャットフードを買い求めるマーロウの登場シーン、吹き替え版の森川公也のつぶやきぶりが格好いい。口癖の「どうでもいいけどね」も。
 髪はボサボサで、服装はだらしなく、煮え切らない探偵が、自分
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アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

4.5

 『ブロークバックマウンテン』以来の同性による純愛映画。こちらは、純愛というより「純粋」と呼ぶべきかもしれない。
 純粋に好きになったがゆえに、純粋に体を求めあう。ベッドシーンが激しいとの意見もあるが
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