『俺たちニュースキャスター』二作では、とんでもないバカな役をやっていたり、シリアスなようでも『ゲットスマート』や『エンド・オブ・ザ・ワールド』のように人のいい役をやっていた、スティーヴ・カレルが怖すぎる。
ほとんど感情を表に出さない演技で、次にどう反応するのかが読めず、緊張感がハンパない。
何かがゆがんだ構造を、この監督は説明するでもなく、モノトーン風の画面と、極力おさえた音楽で表現する。
これがまた不穏な雰囲気を醸し出す。
事件を知ったうえで観ているのだが、最後まで気が抜けなかった。愚直で重圧に耐えられなくなる主人公と、家族思いで人格者の兄と、偉大なデュポン一族の異常性のある御曹司というキャラクターの設計が巧い。
残酷描写や、暴力シーンがなくても、じゅうぶん怖かったところが凄い。