海さんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

あさがくるまえに(2016年製作の映画)

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明け方の波の音の静けさは、時に燃えるように激しく胸を打ち、気づけばくるぶしまで冷たく濡れる。一番そばに居て欲しいひとだから、今そばに居てと言うことができない。砂漠ような数時間の真夜中。猫の頭にはついさ>>続きを読む

ミトン(1967年製作の映画)

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ひとり、窓の外を眺めたり、雪の上に足跡を付けたりして遊んでたころ、こんな想像よくしていた。いつか、ぬいぐるみと話ができると思ってた、犬や猫と暮らせなくても、なにか温かいいのちがそばにいつも、あると思っ>>続きを読む

フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)

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詩を書く時は誠実に、音楽のない時も音楽を聴き、わたしひとりでもあなたと踊る。雪が降れば映画館を飛び出そう。体温計を咥えていたって、口をあけて雪を誘い込む。幸福よ、永遠に続け。

初恋(ファースト・ラブ)(1970年製作の映画)

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「あなたがたとえどんなことをなさろうと、どんなにあなたに苛まれようと、私は一生涯あなたを愛し崇拝します。」「自分を犠牲にすることを、快く感じるひとも居るものだ。」「愛を、その幸福を、その毒を恐れよ。」>>続きを読む

チェブラーシカ(1969年製作の映画)

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さみしい夜にかならず観たくなる。ぎゅって抱きしめたいよチェブラーシカ・・・。あの時きみが、なんにも持ってなかったこのからだを、ぎゅっと抱きしめて大切にしてくれたみたいに。

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

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2018/5/12、朝の回に間に合いそうになかったけど、ぎりぎり映画館に駆け込んで、その勢いで心をびしょ濡れにして帰った。ノートにぐちゃぐちゃの字で感想が書いてあった。いまはどうだろうか、と思う。いつ>>続きを読む

サンセットドライブ(2014年製作の映画)

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幼い頃、海へ行くただそれだけのことでも、まるで一生に一度のことみたいに特別だった。母の思い出話に耳を澄ませて、その場所の色や匂いも自分のことのように思い出した。絵本の同じページばかり見つめて、同じ映画>>続きを読む

父、帰る(2003年製作の映画)

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墜落した鳥。草木の揺れる音。空は青く、怖いほど澄み切って、海は果てしなく遠くへ続いている。空も海も、明日も、死さえも、辿り着こうとすれば、すぐそこにあったのだ。

早熟のアイオワ(2008年製作の映画)

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はじめからそうだった。ずっとそうだったから分かっていた、彼女はいつだって嫌いな大人の頭を銃で吹き飛ばしてしまうことができたし、14歳の運転で二人の妹とどこか遠くへ逃げてしまうことだってできた。できない>>続きを読む

パターソン(2016年製作の映画)

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帰って来る。生まれて来る。
愛とは、豊かで繊細に波打つ、同じ道を毎朝通うちから、変化さえも持て成すちから。
ボールペンを滑らすたび言葉をくりかえすたび、かわいいひと、美しいひととそうあなたに伝えるたび
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藍色夏恋(2002年製作の映画)

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夏。風にめくれる教科書。深い青が底無しに見せているプール。まえを走るひとの、はためくシャツの匂い。陽光が照らしだす踊り場。ああ風が、首筋の汗を撫ぜていく。たまらない、いとしい。

東京夜曲(1997年製作の映画)

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どんな町にも心臓の数だけ想いがあり、くちびるの数だけ声がある。朝も昼も真夜中も。商店街の灯りにも、朝日が照らす町の影にも、西日の差した頬にも。真夜中は恋人たちのために一つの朝へと変わろうとする。

プラネタリウム(2016年製作の映画)

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雪のような羽、羽のような雪。魔法がとける。レベッカ・ズロトヴスキ監督の映画、実は全部観てて、全体評価はいつも微妙なもののわたしはとても好きだ。なんていうか閃光みたいでいつも刺さって抜けない。

甘き人生(2016年製作の映画)

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眠って目をさましたら「どんな夢を見たの」ときっときく、「こんな夢を見たよ」と話すときには、わたしにその腕を伸ばしてほしい。生き続ける光のほうへ。いつか死ぬことじゃなく、いま生きているわたしのほうへ

真白の恋(2015年製作の映画)

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「わたしが生まれた小さなこの町をあなたは好きだと言いました」

見慣れた景色が違うものになって、相手の見ている世界に感動する。自分の気持ちより、相手の言葉の方が自分そのものに感じられて、そうだ、もはや
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グザヴィエ・ドラン バウンド・トゥ・インポッシブル(2016年製作の映画)

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このドキュメンタリーでは語られていなかったけど、ヴァンサン・カッセルはドランのことを「彼は星の王子さまだ」と言ってたりします、ああドランが好き。。

ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

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ちゃんとしなくていい。嫌いなひとに嫌われたっていい。好きなひとにもっと好きになってもらえるならそれでいい。
そんなふうな言葉が胸に残った。

好きなひとの手だけが、自分の手じゃ届かないところ、背中のま
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デビルズ・バックボーン(2001年製作の映画)

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「幽霊とは何か、苦しみの記憶、痛みの瞬間、死んだものの中に生き続ける何か」

おとぎ話みたい(2014年製作の映画)

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夢をみること、言葉を追うこと、感情にゆらぐことたちが、一つの恋のために色を持ち踊って毎秒変化を繰り返して、冬が温もった海へと雪を降らせる。踊る意味も、夢をみる意味も、賢くなる意味も今自分が輝いて世界の>>続きを読む

歩いても 歩いても(2007年製作の映画)

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海は光をたくわえて、去年の蝶が羽をひらく。わたし、是枝監督の描く家族が好きだ。

光のほうへ(2010年製作の映画)

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罪を手放すことこそが、ときには罰なんだと思う。一つしかない手ならば、あなたとつなぐためにある。

今日は母の誕生日。
去年も母の誕生日のことを最後に書かせてもらって、その時お祝いしてくださったフォロワ
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KOTOKO(2011年製作の映画)

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Coccoさんをはじめて知ったのがこの映画だった。14歳の頃、当時とても好きだった同級生の女の子と一緒に観たんだけど、その子、この映画のCoccoさんによく似ていた。「私を見捨てた人たちが、あっと驚く>>続きを読む

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

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瞳がつらぬく先の景色。母なる海。憧憬。そしてとまどい。

トム・アット・ザ・ファーム(2013年製作の映画)

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久しぶりに映画を観た。実は急遽うちに猫が来ることになって、今まで映画を借りていたお金を猫の生活費に回しています。これから少しの間、映画を観ることは減ると思うんだけれど、観たらきちんと記録を付けていきた>>続きを読む

サウルの息子(2015年製作の映画)

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ついこの間、友人と、日常の救いの話をした。世界に溢れているつらく苦しい誰かの日常と、それに比べるとつらくも苦しくもないわたしたちの日常はどれくらい違うのだろう、と彼女は言った。つらくも苦しくもないくせ>>続きを読む

霧の中の風景(1988年製作の映画)

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汽車の音を真似る声。誰もに平等に降りる雪。一頭の馬。海辺では言葉が飛び交い、行き着く場所を失ったあこがれは白くぼやけたフィルムの中に姿を映し出す。死を感じ取って泣き出す少年の小さなからだは震える。言葉>>続きを読む

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

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小さなトランク一個分くらい。酒と煙草と睡眠薬と、一日で使い果たしたい金と、あなたに愛を伝えるための手。名前を呼びあって、はじめて海を見て、ともに罪を犯した。子供のようにさみしがって、あまえあって、抱き>>続きを読む

冬の小鳥(2009年製作の映画)

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はぐれて弱った小鳥。ほかのだれかの手の中じゃ生きていけなかった小鳥。今、わたしのすぐそばに、ひどく静かに、足音も立てず、ひとりの少女が寄り添っている。

美しき棘(2010年製作の映画)

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くたびれたシャツや、履き古したジーンズ、伸ばしっぱなしの金色の髪、安い煙草、適当な相槌、繕う笑み、土砂降り、一人で泣く姿。レアの前では何でもないもののほうがずっと綺麗で、まるで彼女は野生の動物みたいだ>>続きを読む

エレファント(2003年製作の映画)

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日常は日常で、非日常は非日常だと、言葉がなければ誰が分けよう、割れた場所から痛みは拡がり、頭があるものは離別する。

Mommy/マミー(2014年製作の映画)

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わたしたちいつも、愛と世界を比べている。ちゃんと見ていてくれないと、どうして生きてるのか分からなくなる。

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