海さんの映画レビュー・感想・評価

海

猫と映画と海が好き。

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寝ても覚めても(2018年製作の映画)

4.3

以前、東京育ちの人と話をしたときに、東京で、道端で誰かが倒れたり泣いていても誰も立ち止まらないのは、声をかけてしまったことによって面倒なことや犯罪に巻き込まれてしまうことがあるからだと言っていた。だか>>続きを読む

search/サーチ(2018年製作の映画)

4.0

一つの面からしか物事を知らずに、日々いくつものことを良い悪いと判断してはgoodとbadを付けて回る。SNSに位置情報を載せてしまうことよりも、顔や名前や最寄駅を特定されて犯罪に巻き込まれてしまうこと>>続きを読む

テルマ(2017年製作の映画)

4.0

高鳴る鼓動、走る呼吸、踊り出す手脚。まるでひとが祈るように枯れた木の枝は天に向け手を伸ばし、くちびるとゆびさきからは愛の詩が怒涛のようにこぼれ落ちる。ひるがえるスカートの表と裏はひかりとくらやみ。目を>>続きを読む

運命は踊る(2017年製作の映画)

4.9

結び目ばかりを気にしていたから、羽根が広がりすぎて不恰好になってしまった蝶々結び。まるで、手紙の続きでも書かれているみたいに、あなたは背中を丸めたままで、円の真ん中の穴の向こうを覗き込む。砂をかぶった>>続きを読む

テリファイド(2017年製作の映画)

3.9

これは、故意に汚された万華鏡。覗くだけで面白いけれど、まるで呪いのように、とうに飽きているのに目が離せない。映画には観るひとの数だけ解釈があるし、以後の世界と以前の世界が、あるいは違う世界線がある、そ>>続きを読む

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

5.0

このひとたちは、まるでもうこの世に居ないひとたちみたいだった。ただこの場所に残り続けるいとしい記憶の亡霊みたいだった。涙のこぼれるまぶたを強くおさえて震える手のひら、最後まで味のしなかったアイスクリー>>続きを読む

秋日和(1960年製作の映画)

5.0

桜は春を選んで散り、陽は夏を選んで長居をして、かえでは秋を選んで美しく色づき、雪は冬を選んで降るのだとしたら、わたしとあなたのめぐりあいも、選ばれた二人の運命なのだと思うのです。いつかかならず来る別れ>>続きを読む

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(2013年製作の映画)

4.2

ギターを始めたばかりの頃、おそらくこの狭い町で一番の桜の名所でもある公園に、よくギターを弾きに行った。その公園には一匹の猫が居た。この映画に出てくる猫と同じ秋の紅葉のような色の、でももっと太ってて、瞳>>続きを読む

運び屋(2018年製作の映画)

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広島行きの電車で、私の向かいに座ったおばあちゃんと、私の隣に座ったおばあちゃんが、はじめましてと言い合ってからずっと話し続けてた。途中で向かいのおばあちゃんが、突然私に、「お姉ちゃん、あたしはね、10>>続きを読む

眠れぬ夜の流れ星(2015年製作の映画)

3.7

私はずっと、一時間に一本電車がくればいいくらいの田舎で育ったから、初めて大阪の街中に泊まった時には、夜が更けてもいつまでも、自転車も車も街のネオンも人の声も煩くて、驚いたものだった。いつまでこの人たち>>続きを読む

ウイークエンド(1967年製作の映画)

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映画でこんなに人が煩いと思ったのはじめてです。そして腹が立つのは間違いですか?電話ボックスで受話器の向こうのおそらく親しい誰かに歌い続ける男のシーン、この辺までは笑い転げながら観ていたけど、だんだんと>>続きを読む

ジョー・ブラックをよろしく(1998年製作の映画)

4.3

青年と老人が同じ言葉で人生を語る、「去りがたい」と。その微笑みと、瞳に映る大きな花火を見ながら、わたしもここから去りたくはないと願っていた。去っていくひとの幸福と、それを見守るひとの涙と。明日にはもう>>続きを読む

喜びも悲しみも幾歳月(1957年製作の映画)

4.4

体と心で生きてきたんですものね。あなたと越した夜と同じ数だけ、この身に絡まりついていた喜びも悲しみも、長い人生のあいだのどこかで、まるで花火のように、ぱっと弾けて遠くに消えてしまう。かと思えば、こんな>>続きを読む

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

5.0

失ってはじめて永遠になる。海岸で天使のように舞っていた少女、わたしを見つめるときのあなたの突き刺すように真っ直ぐな瞳、持て余した情熱は、指先が痺れるまで鍵盤を叩き続けてもなお、語り尽くされることはない>>続きを読む

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語(2013年製作の映画)

4.2

わたしたちは魔法少女で、魔女になり得る悪の種で、天使にも、神にだってなり得る魂で、生きてるから、死んじゃうんだよ、重なるたびにそれが運命として膨らんでいく、でもまどか、あなたはもうここには居ないことで>>続きを読む

エイリアン2(1986年製作の映画)

4.7

強い女を描いた映画なんて星の数ほどあり、そのどれもが私は大好きだし胸が熱くなるけれど、車の中で一人で泣いた夜に、悔しくて握りしめた手のひらに白く爪痕が残った日に、かならず一番に思い出すのは、「エイリア>>続きを読む

心と体と(2017年製作の映画)

4.7

心臓は一つしかない。唇は一つしかない。瞳は二つもある。でも見つめられるのはたった一つだけ。湿った肌に触れる夜風。火照った頬に揺れる灯り。閉じたまぶたの上で、夢の中のあなたの声と、窓の向こうの電車の音が>>続きを読む

少女邂逅(2017年製作の映画)

4.4

手を触るだけ。きみが泣いたら抱きしめるだけ。眠たいのなら肩を貸すだけ。あとは全部風のせいにした。やわらかい髪の毛の、終わりのほうにそっと指をかざした。背中を見つめながら、白いシャツの匂いを知った。嫉妬>>続きを読む

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)

3.7

盲目で音に敏感、四つん這いになった人間のような外見、グロテスクな見た目、これ、「バイオハザード2」で初登場して以来、わたしが毎回泣かされ続けているリッカーと通ずるところが多すぎて個人的に一番そこが盛り>>続きを読む

Kitbull(原題)(2019年製作の映画)

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わたしを見上げるお月さまみたいにまんまるな二つの目、遠慮がちに宙を掻くその仕草、あいくるしいばかりのこの子たちに、幸せ以外の何を与えてあげればいいのか分からない。ことばなんか一つもなくても、眠ってるだ>>続きを読む

海街diary(2015年製作の映画)

5.0

一年草という言葉は、一年中咲く花のことじゃなく、一年をかけて咲いて、そして枯れていく花のことを、呼んでる。海という漢字は、流れる水と母で成り立っていて、海は、わたしたちがそこに居ないあいだもずっと、一>>続きを読む

しあわせ(1998年製作の映画)

4.2

あなたの匂いが、美しいところへ行くための唯一の切符みたいだから、いつまでも手放せないままで生きてしまう。あなたを抱きしめるたびに、いつかあなたを抱きしめた記憶が、零れていく。まるで、海辺を歩いたあとで>>続きを読む

旅芸人の記録(1975年製作の映画)

4.9

私は沈黙する。この美しい雪景色は、かつてあなたたちが踏み固め、爪で掻き、すがりついて涙した地。別れを惜しむように長い間一つの風景を捉え続けるカメラ。淋しげな海、白い洗濯物、雪の中の道、幾つものトランク>>続きを読む

明日、君がいない(2006年製作の映画)

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正しいことや優しいことは、なんでときに、当てられたトランプみたいに、さかさまに隠れてしまうんだろう。好きなのに、好きって言えないこと。いやなのに、いやって言えないこと。離したくないのに、離さないといけ>>続きを読む

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)

4.8

わたしは、猫の毛を撫でるとき、かならず、海の波打ち際を思い出す。寄せては、かえす。押しては、引く。生まれては、死ぬ。抱いては、離れる。そのくりかえし。それは午後に降る雨や、夜明けや、四季の巡りにも似て>>続きを読む

ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界(2012年製作の映画)

4.2

夢は叶わない。恋はいつか終わる。戦争は眠ってるうちに起こる。昨日と同じような今日は突然二度と来なくなる。あなたとわたしは違う。あなたは、自分を傷つけるというすごく贅沢で身勝手な一瞬の快感に溺れながら、>>続きを読む

ブルー・マインド(2017年製作の映画)

4.6

脇腹に触れるあなたのやわらかな肌が心地良い。女は流れる水に似ていると、誰かが言ってた。血、海、雨。砂。たぶん、死は生の果てにあるんじゃない。体の半分だけ溺れさせあってるわたしとあなたみたいに、隣にある>>続きを読む

君と歩く世界(2012年製作の映画)

5.0

錆と骨。痛みも、古びていくだけの体も、記憶装置と同じ役割で与えられたものなんだって、今は思うの。頭とかじゃない。五本の指の全部で、厚くなった手のひらで、強い陽光の下にさらけ出した背中で、水を掻いて、あ>>続きを読む

青い犬(2018年製作の映画)

3.7

わたしはあなたが好き。あなたのことを思い出す言葉、音楽、天気、季節、気温、匂い、感触、色。あなたへの好きを重ねることは、世界中の宝石を身に纏っていくのと似てるから。本当はそれだけで、悪魔も天使も怖くな>>続きを読む

野獣(2018年製作の映画)

4.5

いつも君との競争の舞台だった、この美しい大地がはじめて、僕らに向かって牙を剥いた。笑った口の中で、嘘と本当を飴玉のように転がして、素肌に触れる砂の混じった風と追いかけあってた、さっきまで、まるで楽器の>>続きを読む

夜明け(2018年製作の映画)

3.8

光に透けるような瞳の色。闇に浮かぶ身体の弛張。無数の皺を伸ばし、また寄せながら、前にだけただ進んでいく。波に運ばれるこの小さなボートのように、眠っていても裸で居ても勝手に大人になるのなら、麻痺して思う>>続きを読む

バード・ボックス(2018年製作の映画)

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向かい合って話せば分かり合えるはずのあなたと、青白い画面越しに言い争う。お互いに知らないはずの誰かの何気ない"つぶやき"に、悲しんで、いきどおって、苦しむ。
見えないものがどんどん見えるようになってき
>>続きを読む

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