海さんの映画レビュー・感想・評価

海

映画(1036)
ドラマ(6)

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

4.4

痛くて恥ずかしいけどそれよりずっと愛しさを感じたのは、わたしがもうケイラを通り過ぎた「大人」だから、なんだろうか。14歳の頃、現実よりもネット上の友達の方が多かった。詩や絵を見せ合う場として使っていた>>続きを読む

もののけ姫(1997年製作の映画)

5.0

仕事に行く日よりも早い時間に起き、猫にいってきますと5回ほど言って家を出た。開店前のショッピングモールの、映画館専用の入り口へ向かっている途中、赤とんぼを見た。
赤とんぼだ。今年広島で見るのははじめて
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.2

わたしはふと、伊藤計劃が「映画はテーマを観に行くものではない」と書いていたのを思い出す。映画とはそこにただある映像に過ぎず、そこから何を持って帰るかは我々に任されていると。本当そのとおりだよなとこうい>>続きを読む

永遠と一日(1998年製作の映画)

5.0

上手く言葉が、出てこないようになってしまった。好きな映画ばかり、大切な映画ばかりをずっと観てる。予告編も本編も何度も繰り返して。からだが眠るときみたいに、心が眠ってるのを感じる。寝息を立てて。夕方の匂>>続きを読む

残酷で異常(2014年製作の映画)

3.8

ふと窓の向こうを見ると、言い争いをしている男女が居る。二人にとってはきっと大したことのない、いつも通りの喧嘩なのだろう、もう何度も繰り返したやり取りみたいに休む間もなく言葉が飛び交う。ほんの少しだけ、>>続きを読む

THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!(2014年製作の映画)

5.0

アイドルマスターが15周年を迎えた。2日間の生配信にちょいちょい顔を出し、チャットが読めないくらいの凄いスピードで流れていくのを見ながら、ファンがぶつける半端ないあこがれの熱量とそれを受け止めるアイド>>続きを読む

デスプルーフ in グラインドハウス(2007年製作の映画)

4.8

キラキラのアイシャドウが視界の隅に海の見える窓つくるとき、夜っていう時間帯は絶対女の子の目から見たほうが眩しいし綺麗だし本物だよなって根拠のないこと思って無敵を感じるんだけど、どうしてかそのときの気持>>続きを読む

ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

4.9

孤独とか、愛情とか安心とか、わずかな希望とか、そういうものが、からだのなかでぐちゃぐちゃにからまってどうしようもなくなることがある。ずっとそんな日がつづいていて、見たことない映画を観ることさえためらっ>>続きを読む

サンドイッチの年(1987年製作の映画)

4.2

ひとが、花束みたいに犬や猫を抱えているところを見ると、途端に泣き出したくなる。わたしたちが、愛するひとに悲しいことなんてありませんようにと願うとき、心の中で神さまになる。悲しいだけが欠けていて、やさし>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

3.8

この映画で描かれた「アメリカ」からわたしの居る「ここ」までどんなふうに繋がっているのかを考えた。わたしが本作から読み取れたのはごく僅かなメッセージに過ぎなかった。他者と向き合うことの重要性を自分にすら>>続きを読む

呪怨(1999年製作の映画)

-

呪怨といえば劇場版よりもやっぱりこっちだよね!!と思いながらの再鑑賞だったけど「ドサッ」が怖すぎて泣いた…。ホラーひとりで観るの本当無理になってきたから、将来はホラー映画いっしょに観てくれる人と暮らそ>>続きを読む

残穢 住んではいけない部屋(2016年製作の映画)

3.9

では、今宵一通目の恐怖幽便を読んでみよう。うみちゃん君。

ハイ!吾郎さん。…「これは私が以前、住んでいたアパートで実際に体験した出来事です…」

これは私が以前、住んでいたアパートで実際に体験した出
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失明に関する所感(2016年製作の映画)

4.6

2020年6月、今から20年後には犬や猫との会話が可能になるだろうという未来予測を文部科学省が発表した。初めてそれを耳にしたのは夕方のラジオ番組で、すごいなぁと思いながら、だけれど今わたしが理解しよう>>続きを読む

眠りに生きる子供たち(2019年製作の映画)

4.2

雨がふっているから、傘をさしている。
それと同じ感覚かもしれない。この子たちは、生存を放棄するというよりも、きっと生きるために眠り続けるのだろう。子供が眠る姿はいとおしい。そして、そのいとおしい子供た
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

1.0

悲劇と喜劇は同じ盤面上に見出されていく。人を一人挟んだり、ガラスを一枚挟むことによって。本作でダニーを捕えて離さなかった悪夢にも、ある者は不快感を、ある者は理解を仄めかす。「曲解」だと思います。ダニー>>続きを読む

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

5.0

幼い頃、どんな幽霊や悪魔の映画も怖がらずむしろ楽しんで観ていたわたしが、唯一心から怖いと感じたのが『風の谷のナウシカ』だった。母が一番愛するジブリ映画だったから、家にビデオテープもあって何度も繰り返し>>続きを読む

泣きたい私は猫をかぶる(2020年製作の映画)

3.0

ペンギン・ハイウェイで「最高だ」と感じた良さの90%が殺されている

トゥルー・ロマンス(1993年製作の映画)

5.0

あなたにならわたしのすべてをあげられる。だけど、あなたに出会うためならわたしは、いつか二人が別れたって惜しくはない。無限に続く道を見つめながら、終わった恋や言えないことばかりが愛しく思い出されるのはた>>続きを読む

ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)

4.3

人は、既知への愛着と未知への好奇心の間でいつも選択を強いられているのかもしれない。この世には、ありあまるほど恐ろしい話が蔓延っていて、それが誰の庭から放された物なのか、特定することは不可能に近い。もは>>続きを読む

白河夜船(2015年製作の映画)

3.4

肌の中に脂肪があって、脂肪の中に筋肉があって、筋肉の中に骨があって、骨の中に心臓がある。それは肉体の当たり前のことで、でもそこに宿る精神のせいで、当たり前には感じさせてくれない、そういうひとだった、わ>>続きを読む

キャビン(2011年製作の映画)

4.6

死へのはばたき、という昆虫の変態を解明するために行われた有名な実験がある。これについて初めて読んだとき、昆虫っておおよそ、人間の作り出す「怪物」像だな、と思った。脆いのに不死的で、わたしたちが忌み嫌う>>続きを読む

ブエノスアイレス(1997年製作の映画)

5.0

波長があわないのに出会い続けるのがこの二人なんだとすればわたしと彼は真逆だったな、それがなんとなくすごく面白いことみたいに思えてあははって声に出して笑って、そしたら涙が出そうになってくちびるを噛んだ。>>続きを読む

カルマ(2002年製作の映画)

4.5

いま読んでいる本が、「香港映画は屋上を目指す」という章から始まる。レスリー・チャンの最期から始まる。香港映画は垂直だというのを意識して、本作を観ていると、本当にそのとおりのように思えてくる。高いビルが>>続きを読む

ランナウェイ・ブルース(2012年製作の映画)

4.0

凍えきったこの広い街の片隅で、毛布にくるまり眠る犬がいた。寒空の下、人の家の庭から一匹の犬を盗み出し、連れ歩く主人公を見ていて、ああこれだと思った。ウィリー・ヴローティンの物語にある「やさしさ」は、あ>>続きを読む

ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)

5.0

119分のうち911分くらいは泣いてたと思う。涙が止まらなかった理由について少し考えてみた。それはきっと「予感」のせいだった。永遠に生きてほしいひとにつきまとう死の予感、永遠に別れたくないひとからこそ>>続きを読む

イントゥ・ザ・ワイルド(2007年製作の映画)

-

誰かと居て話したり笑ったりしている時の自分と、何かを読んだり観たり聴いたりして作り上げていく自分。どっちが本当のわたしなんだろうと、社会に出てからほんの最近までずっと、考え続けていた。わたしはそれなり>>続きを読む

エイリアン(1979年製作の映画)

5.0

一昨年の五月、広島で開催されていた猫の美術展に行った。中世ヨーロッパでの猫への迫害について、知っているつもりだったのに何も知らなかったことを思い知った。時間と言葉をさらっていった数時間だった。ゴッホの>>続きを読む

存在のない子供たち(2018年製作の映画)

-

子猫を育てる犬の動画を見たり、幼い弟妹の面倒を見ている子供を見かけると、まだ自分にもこの無意識の意志が残っているだろうかと考える。

たとえばの話、わたしが今まさに怖いと感じていることの中に、
・誰か
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マイ・エンジェル(2018年製作の映画)

4.4

幼いころ、母が身に纏うものはどんなものでも一番うつくしく見えた。古着のジーンズも会社の制服もブリジストンのウインドブレーカーも、世界で一番うつくしく見えた。百円で買った髪留めも、片方なくしたピアスも。>>続きを読む

旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)

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前田敦子って、わたしが小学生か中学生くらいのときに多分一番「炎上タレント」として有名だった。別によく知らなくても、ノリで叩いていい場所って感じだった。当時まだアイドルはじめ芸能人自体に興味がなかったわ>>続きを読む

銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)

5.0

夜、窓のそばに座って、冷たくもないべたつきもしない気持ちいいだけの風を感じていると、ベルがふと上を向いてじっとするときがある。わたしの想像でしかないけれど、たぶん、風の匂いを嗅いでいるのだと思う。見え>>続きを読む

夜明け(2019年製作の映画)

4.0

好きでたまらない人に言われるより前にさよならを言って、通いつづけた海沿いの小さな町にも行くことがなくなって、一年以上ぶりに、ラジオを聞く生活に戻った。最近聞いてる局で流れる音楽はどちらかといえば邦楽が>>続きを読む

スクールズ・アウト(2018年製作の映画)

4.3

感覚と言葉のするどさ
通ってた高校には、休憩時間に描いてた絵を見て「何かつらいことがあるのなら相談に乗るよ」と言ってくださった先生と、「卒業文集の表紙絵を描いてほしい」と言ってくださった先生が居た。い
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