海

あさがくるまえにの海のレビュー・感想・評価

あさがくるまえに(2016年製作の映画)
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明け方の波の音の静けさは、時に燃えるように激しく胸を打ち、気づけばくるぶしまで冷たく濡れる。一番そばに居て欲しいひとだから、今そばに居てと言うことができない。砂漠ような数時間の真夜中。猫の頭にはついさっきまで、あなたの手のひらが触れていた。からまっては解けて、解けてはからまっていくわたしたちの人生のいくつかの瞬間。窓の向こうで、あなたがそこに生きている証のように、街は濡れて灯っている。これは、いのちだ、光は光だけじゃみえない。あなたの真っ白な背中で夜は青く、瞳のぶつかるこの距離であさやけは赤く、染まる。
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