penさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

ハスラーズ(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ジェニファー・ロペスのことをそんなに知らない人でも、彼女が演じるラモーナを見たら心を奪われる人は多いだろうし、見終わった後に一体この人は何者なんだろうと調べる人も出てくるはず。それほどまでに輝いていて>>続きを読む

初恋(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

どんな題材であっても登場人物たちの散華を散華としてちゃんと撮れる三池監督はやっぱり良い。仮にこれがスタンド使いだろうと、刀を操る強者だろうと、虫の能力を得た超人だろうとも、スタンスは変わらないと思う。>>続きを読む

資金源強奪(1975年製作の映画)

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初鑑賞。暴力団の賭場を荒らして手に入れた大金を巡って、各人の思惑と欲望が渦巻きながら進んでいく犯罪映画。

とにかく娯楽度高し。
一癖も二癖もあるキャラクターが織り成すドラマはドタバタのコメディであり
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パターソン(2016年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

アダム・ドライバーが何か特殊メイクや変わった演技をしている訳でもないのにアダム・ドライバーではなく、身体がちょっと大きいバス運転手パターソンになっていて凄い。日常の中に異物として存在しているのではなく>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

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クリスチャンが髭に丸顔なので熊さんっぽいなと思ってたら本当に熊さんになったので心の中で笑ってしまった。

破局寸前のカップルが旅先で体験する悲喜こもごもと心的すれ違い、大事な家族と死別し不安に押し潰さ
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スキャンダル(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

権力の背後には更にそれを支配する権力がいて、その構造は恐ろしく強固であり、簡単には崩れ去ることはない。映画がスタッフロールを迎えても彼女達を縛る鎖、プレッシャーのような要求は今もまだ存在し、そのシステ>>続きを読む

帰れない二人(2018年製作の映画)

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去年観てたら確実にその年のベストに入れていたと思う。突発さや起こる前の不穏な雰囲気含め、暴力が行使されるタイミングが大変好み。
向かい合った時と距離をとった時にみせる行動の違いで、二人の心のすれ違いを
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

マーク・ストロングの登場場面がカッコ良すぎて、作品から浮いている気がしてしまったのは気のせいか。足元から画面に入って、中々顔は映さず、引き画で全身が映った時はコートが風に揺れる。滅茶苦茶キマッてた。>>続きを読む

にっぽん泥棒物語(1965年製作の映画)

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こんな話とは。三国連太郎と伊藤雄之助の対立と愛嬌に笑っていたら、最後は泣かされていた。娯楽度高く核は社会派。凄い。

白い巨塔(1966年製作の映画)

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唐沢寿明主演の連続ドラマ版は見ていたけど、田宮二郎版を観るのはドラマ版を含めても初めて。
野心に燃える田宮二郎のぎらつきが眩しい。狼狽する姿のギャップも。サスペンス映画を観ているかのような話運びで興奮
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プロジェクト・グーテンベルク 贋札王(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

最近似たタイプの映画『9人の翻訳家』を観ていて、偶々公開時期が被ったのだろうか、と考えたりする。

虚構を本物に仕立てあげることで自らを物語の主役の座に立たせることと、本物以上に本物のような贋札をこし
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続・荒野の用心棒(1966年製作の映画)

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久しぶりに鑑賞。劇場で観るのは初めて。フランコ・ネロの青い瞳がやっぱり美しい。大好き。

淪落の人/みじめな人(2018年製作の映画)

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異なる言語の壁や遠大な物理的距離を超えるのに、チャットや自動翻訳といった現代のテクノロジーを多用するのが印象的。
そうした一方で瞬間を切り取る、古くから在るカメラで撮る写真を物語のキーに使ったり。
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9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019年製作の映画)

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娯楽度の高いサスペンスを丁寧に撮ってくれているというところで感触は好い。
誰かの書斎のような場所が燃えている場面から始まる映画は不穏な雰囲気を醸し出すが、直後に始まる世界各国の翻訳家を紹介していくシー
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キャッツ(2019年製作の映画)

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猫達のビジュアルは早々に見慣れたし、あの人間的な肉体の強調は踊りの時のしなやかさを際立たせる為だったのかなーと。実際全身が映る引きの画になると、バレエチックなダンスと歩く動きがとても魅力的。
尻尾が第
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

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シチュエーションを変えながら同じカットを繰り返す演出は好きなので、これも好き。女の子が初めて階段を降りてくる時、手すりの上で掌で作るのは足。母親が踊るステップを見せる時も足。靴紐を結ぶ足。
うさぎは足
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存在のない子供たち(2018年製作の映画)

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ドキュメンタリーチックに幼い子どもたる主人公を追いかけながら、時折彼らが生きる街を俯瞰して撮る。大きな世界が存在していて、その片隅で子ども達は必死に生きようとしている。生まれたから。生きているから。>>続きを読む

風をつかまえた少年(2019年製作の映画)

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風景の雄大さに目を奪われつつ、豪雨と日照りによる干ばつはこの大地の問題も映し出していて、その世界に生きる人達のドラマを丁寧に描いているのが好感触。問題の波紋はいつだって子どもと女性(将来を計画する人、>>続きを読む

マザーレス・ブルックリン(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

エドワード・ノートン演じる人物は、優しい。その上でタフな気がする。諦めないところとか。タフで優しい、というより、優しくてタフ。そんな主人公だからこそ、街角で生まれる友情にも優しさがあり、それが作品全体>>続きを読む

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋(2019年製作の映画)

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見映えが良い は人によっては誉め言葉だし、一方で誰かにとって呪い以外の何物でもない鎖になりえる。そういう面を筆頭に価値観の部分でいまとその先を見据えた物語になっていて、中々良いなぁと思った。
随所に映
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

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ビジネスとしての利益か、高みへの挑戦か。どちらを重視し追求するか。この二項対立は決着することはあるえるのか。永遠のテーマにもなりそうなこの選択を掘り下げていくような映画だった。

背広組やドライバー、
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この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

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前作は他の人達との関係性(特にりんさん、周作との3人が形作る微妙な三角関係)を削ぎ落とし、そうすることで、すずさんと径子の関係が浮き彫りになった映画になっていた。その結果、嫁入りしたすずさんが他所の家>>続きを読む

アイリッシュマン(2019年製作の映画)

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全てが"済んだこと"。時代を駆け抜け生き残ってしまった老人にとっては、あの日の友情、策略や暴力や殺人は流れていくものでしかない...とでもいうように、それらが燃え上がるような瞬間として描かれることはな>>続きを読む

ブロークン・フラワーズ(2005年製作の映画)

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探偵小説の主人公の名前を台詞の中に織り混ぜたりしているのを観ていたら、ファム・ファタル(で良いんだったか)に振り回される主人公、という構図が物語展開のベースにあるのかなと思った。

そしてこの映画にお
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最初の晩餐(2019年製作の映画)

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冒頭から不在と、人物同士が座った時や立っている時に出来る狭間が強調されていて(なんなら引き画で室内の空いてる空間を際立たせてる)、それが物語の展開に沿った演出になっていたから良かった。
近すぎず離れす
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アド・アストラ(2019年製作の映画)

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90年代後半に作られた宇宙が舞台のアメリカ映画。それらの記憶をキャスティングを通して半ば背負っているような作品になっていて、なんだか懐かしい気持ちになる。
宇宙版『地獄の黙示録』と云われていたりするの
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ゾディアック(2006年製作の映画)

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妄執的な面すら感じさせる執念が様々な人の人生を翻弄していく。未解決事件とはそれほどまでに人の心をとらえ、離さないのかもしれない。底が見えないからこそ余計に。

時が流れていく様子を建築物が完成していく
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じゃりン子チエ(1981年製作の映画)

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大阪の街角の風景を切り取ったかのような日常の描写に惹かれる。主軸となる親子関係の物語を猫同士のステゴロとチエテツで纏めてしまう構成が凄い。

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

力関係の板挟みにある人々の物語だった。
一見強力なようでいて実は不安定で曖昧な権力を取るのか、目の前で交流を深めた確かな相手の為に冒険するのか。民衆ではなく権力の内側から物語を展開させながら1人1人個
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天気の子(2019年製作の映画)

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青臭い男の子が突っ走る様を、傍から見た目線という現実を多数織り混ぜながら描いていて、もう若手映画監督ではないんだろうなぁと思った。「グランドエスケープ」以外の曲の使い方は特に効果を感じず、拳銃の出し方>>続きを読む

さらば愛しきアウトロー(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ラストショットで『ホットロック』思い出したので、映画作りは引退しないよってことなんだろうなと解釈した。
シシー・スペイセクへの『キャリー』的照明は賛否分かれそう。自分はこういう映画だし、ありかなって。

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

子ども達にとっておもちゃとはどういう存在なのか?
その子ども達にとってたとえ選ばれなかったとして、おもちゃはそれで終わりなのか?
前者は『3』から継続したテーマで、今回新たに描かれるのは後者。
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ワイルドライフ(2018年製作の映画)

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ポール・ダノが書いた脚本をゾーイ・カザンが書き直したらしいけど、初監督とは思えないほど距離を大事にした演出が多かったので、この二人にはこれからも映画を撮り続けて貰いたい。

映画冒頭からジェイク・ギレ
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別離(2011年製作の映画)

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問いかけで始まり問いかけで終わるこの映画は、登場人物に決断を迫る。その決断を下す手前には、イランという国に深く根差した文化、国民性、宗教が立ちはだかっていて、人々にとって決断することはこんなに苦しくて>>続きを読む