penさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

グリーンブック(2018年製作の映画)

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家やパーティーに人を招待する、訪れた人を客人として迎え入れるといった行動を「多様性を受け入れること」に重ねて笑いあり涙ありで描いているので、こりゃ良い映画だなーと思いながら観ていた。

シャーリーが置
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バンブルビー(2018年製作の映画)

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父親の記憶を持っているから悩むチャーリーと、父親的な存在のオプティマスの記憶を失ったからこそ逆に自身の存在について悩むバンブルビーの、二人の関係性が興味深い映画だった。

一方はビデオ、もう一方はホロ
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JOKER ジョーカー(1996年製作の映画)

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劇中の季節が夏だし、若者3人組と男女に夏休みのような怠惰な日常がもう少しそれぞれあっても良かったような気がする。監督もそれを分かっていたのか、過去回想として3人組のそういう場面を入れているし、スタッフ>>続きを読む

ねことじいちゃん(2019年製作の映画)

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全体的に撮影が素晴らしい映画だけど、その中でも猫に対する拘りが尋常でなかった。
脇腹から尻、尻尾にかけての色気。躍動に対するスロー。接写の髭。
人の顔も寄りで撮っていることもあるけど、結果的には人より
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回路(2000年製作の映画)

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映画館で鑑賞するのは初めてだったのだが、自宅で観た時以上に妙に心に残った。
鑑賞環境が変わると気付くことも変わる。
今回初めて気付かされたのは、無音の場内で聞こえてくるダイヤルアップ接続の音は不気味と
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アクアマン(2018年製作の映画)

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ジェームズ・ワン監督の凄味を観た。
王の血を継ぐ男の英雄譚とプリンセスの冒険、二つの側面を持つ物語をこの人が手掛けると、こんなにも豪快で壮大なファンタジー映画になるのかと驚嘆した。

『MoS』『Bv
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劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ(2018年製作の映画)

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仰々しく「復活」を強調することはない。
まるで先週まで放送していたかのような、流れた長い時間に対してある意味素っ気なく行われる幕開け。けどこの素っ気なさが本作の変わらなさでもあり、あらゆるものを凌駕す
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カルロス(1991年製作の映画)

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銃弾装填してからもう一発銃弾を仕込む冒頭の描写で「この人は銃が大好きなんだ!」という愛情が痛いほど伝わってしまう。
銃を描くことはそれを扱う人も描くことにもなり、描き方によって映画の方向性は決定される
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サスペリア(2018年製作の映画)

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劇中で傷が作られる描写が度々繰り返されていて、印象に残る。
呪いの力によって身体はあり得ない方向に曲がり結果として痣が生まれ、
倒れた女性に対して集団が刺し傷を作る。
そんな外傷の数々が舞踏団の学校内
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ジュリアン(2017年製作の映画)

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DV癖のある夫と逃げる親子の構図に胸が張り裂けそうになる。
沈黙の時間が生む緊張に息が詰まり、終了後に思わず息を吐いた。圧迫感の原因は父親の存在だろう。画面と空気を父親が支配している雰囲気が終始流れる
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リング0 バースデイ(2000年製作の映画)

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神保町シアターにて鑑賞。
エンドクレジットに表示する製作年を見て、つまり自分は約18年ぶりにこれを再見したことになるのかと驚いた。

『リング』というと連想されるのはどうしても初代になってしまうけど、
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ミスター・ガラス(2019年製作の映画)

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現実の中には常に信じられないような物語が潜んでいて、誰かの意思によって掬い取ることが出来る。そのことをこんなにも純粋に真っ直ぐに描いた映画に泣く他ない。
劇中で映る散らばったガラスの破片は、この映画が
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トイレの花子さん(1995年製作の映画)

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今は失われたジュブナイル映画。
トイレの花子さん、コックリさんといった懐かしい怪談を絡めつつ、学校の近くで起こる凄惨な事件で不穏な雰囲気を漂わせてきているのが非常に好み。

小学校って授業や掃除や給食
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クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)

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『ロッキー』『クリード』シリーズで初めて対戦相手の勝利を願っていた。
ヴィクター・ドラゴが視線を向ける先、それを見ている時の彼の表情から一瞬も目が離せなくて。あんな瞳されたら泣くしかない。
本作は多分
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女が階段を上る時(1960年製作の映画)

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東宝オールキャスト映画でびっくりいたしました。
衣装も兼ねた主演・高峰秀子が身に纏う戦闘服たるお着物、
モノクロ映画でも艶やかに見える素晴らしさ。
作中では地味とされていたけど(確かに黒基調で派手な色
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山の音(1954年製作の映画)

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夫役の上原謙が凄すぎて驚いてしまった。
同じ監督の『めし』でも原節子と夫婦を演じていたけど、その時は地に足着いた男女のすれ違いという感じで、二人の関係性をいじらしく見ていた。
しかしこっちはそれを凌駕
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ロッキー・ザ・ファイナル(2006年製作の映画)

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闇の中でロッキーに対して光が差すカットが繰り返し登場していて、ロッキーシリーズは運命に導かれていく人間の物語だったんだろうな、と感じた。
光はロッキーやポーリーがいる時に注がれていて、この光の正体はエ
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ロッキー5/最後のドラマ(1990年製作の映画)

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街の片隅で生きる一人の男の物語が一度栄光を掴んだ後、街の片隅で終わっていく。物語の流れとしては素敵な着地をしているように感じる。
ただ個人的に、そもそも原点回帰に持っていく為の流れがあまりノレなかった
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ロッキー3(1982年製作の映画)

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ロッキーとアポロの友情トレーニングが目玉というか印象的な本作。
観直す前もそのイメージが結構強かった。
改めて観ると冒頭、今回の対戦相手であるクラバー・ラングの快進撃とロッキーのスターとしての日々が対
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(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

片山萌美が過去、日南響子が現在、広瀬アリスが未来を象徴する女性といった感じの配置になっている気がして、じゃあこの中で村上虹郎の運命を狂わせるファム・ファタールは誰だ? となるとこの3人ではなく銃だった>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ルーニー・マーラが夫を亡くして1人で延々とパイを食べる場面。座り込んで黙々と口に頬張っていく中で、幽霊となりシーツを被ったケイシー・アフレックが、ずっと彼女の近くにいる。しかし彼女からは一定の距離で離>>続きを読む

運命は踊る(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

何とはなしにしたこと、善かれと思った選択が、人の人生を翻弄していく。その連鎖と円環の物語展開の見事さを感じつつも、個人的に楽しかったのは検問所のダラダラとした若者達の日々だった。
傾いた床で缶詰を転が
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愛しのアイリーン(2018年製作の映画)

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厭らしさも汚さも下品さも暴力性も陰湿さも引っ括めて、愛の形、親子関係の呪いと祝福を描いた映画。
徐々に凶暴性を露にして獣化していく安田顕、息子を思い暴れる木野花、巻き込まれる形で田舎へと足を踏み入れる
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プーと大人になった僕(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

思っていた以上に「父親」の映画だった。
妻や娘との関係がギクシャクし、仕事も上手くいかない。ここしばらく笑うことを忘れてしまった。そんな父親の前に現れるのが、幼い頃に一緒に過ごしたプーとその仲間たち。
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1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

男たちの武骨なぶつかり合い、闇に葬られそうになる事件の真相を解き明かそうとする記者たちの奮闘、民主化を目指す活動家達の情報戦、激動の時代に出会った男女の切ない恋物語……。
その1つ1つでそれぞれ映画に
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寝ても覚めても(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

素通りしてしまいそうな平穏な日々が一摘まみの邪悪さを大きな衝撃にする。爆弾のような秘密があることを頭の片隅に追いやってしまうほど平和な日々の描写、それがひと押しで一気に崩壊する影の濃くなる描写、その一>>続きを読む

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

話すことで見えてくる人との付き合いで大事なものは、作品の中で主に描かれる恋愛だけでなく、どんな人間関係でも大切なんだなと。ちょっとした一言の言った、言わない、使われた言葉が実は後々の選択の根拠にだって>>続きを読む

アントマン&ワスプ(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

映画全体に満ちた圧倒的多幸感の正体は、登場する面々の表情の変化が一々可愛くて楽しいからだと思う。その為に寄り道・回り道的な展開やしばしば脱線する会話が起こるんだけど、この幸せの前には自分には欠点になら>>続きを読む

暴力金脈(1975年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

銀行が出てくるし日曜劇場でリメイクすればどうだろうと思ったが、総会屋が題材なので多分無理だろうなとも思ったりする。

コメディをやってる時の松方弘樹は顔も身体もその動きを観ているだけで楽しい。仮に音を
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失われた少女(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

人身売買が題材のスペイン発のサスペンス映画は、雪の風景や降りしきる雨の画が似合う陰鬱さが印象的な良作だった。
主人公の警官、彼女をサポートする情報屋、そして物語に措いて重要な存在となる人物。題材が題材
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最後の追跡(2016年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

安心と信頼のテイラー・シェリダン印で大満足。
最早定番のような車の縦列走行で興奮しつつ、素晴らしく西部劇で堪らないことこの上ない。
当然明確に繋がってる訳じゃないにしろ、先住民達に関する事柄が描かれる
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君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

通行人、トンネルの向こうで遊ぶ子ども達、仕事に励む人。
街の風景やそこに生きる人々が画面の隅々に映り込むのが良い。
その人達にはその人達それぞれの物語がある。その様子は本筋とは関係無いのかもしれないけ
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マイキー&ニッキー(1976年製作の映画)

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俺は殺される。
疑心暗鬼の男は長年の友に助けを求めた。
何かが起こるかもしれない一夜が始まる。

沈黙の時間が長いほど緊張感が増す会話劇と寄り道が描くサスペンス。
沈黙が流れる中で漂う煙草の煙が、二人
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いま、輝くときに(2013年製作の映画)

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外から見たら酒浸りで軽口ばかりの遊び人な高校生。
でも父親不在の家庭環境が内側に暗い影を落とす。
『セッション』前のマイルズ・テラーはそんな二面性を持った青年を見事に好演。ボーイミーツガールを通じて自
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ポルト(2016年製作の映画)

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着ているコート、相手を探るような目の動き、
猫背気味の身体、ゆったりとした動作。
この映画のアントン・イェルチンは、
まるで愛を求めてさ迷う犬のようだった。個人的にはそれで充分。
ただ喫茶店での出会い
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ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

男は絶望し、自殺しようとしていた。なぜ?
ある一人の男の人生を遡りながらその理由、彼が抱えている傷を探っていくような形で物語は進んでいく。

自殺しようとしていた男の慟哭が描かれてからその姿に関係する
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