nagashingさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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映画(780)
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劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel II. lost butterfly(2019年製作の映画)

3.5

原作では断片的な背景にすぎなかった冬木市がある程度具体的に書き込まれているのがいちばん嬉しい。地図まで出てきてアガる。少なくとも第三新東京市よりは生活の気配がする。それが風景の中にいる人物のカットを地>>続きを読む

あとのまつり(2009年製作の映画)

3.5

みーまー以前からラノベ的な感性と親和性があり。キャロル的ナンセンスというより西尾維新的な言葉との戯れで軽やかに忘却と向き合う。言葉遊びと編集の遊びで、日常を異化したり日常の外部に想いを馳せたりする。「>>続きを読む

コジョーの埋葬(2018年製作の映画)

3.0

神話めいたファミリーフォークロアとリアルな社会背景に根ざしたカインコンプレックスメロドラマが終盤できれいに交わる。というかぜんぶ台詞で説明される……。「天と地が出会い人が逆さまに歩く場所」という抽象的>>続きを読む

インクレディブル・ハルク(2008年製作の映画)

3.5

セリフなしのやりとりとニュース記事で進行するオープニングが瞬間的にサイレント映画っぽさを発揮しててよかった。リオデジャネイロの縦にも横にもごちゃごちゃしたロケーションも最高。アメコミの世界に『キングコ>>続きを読む

アイアンマン(2008年製作の映画)

2.5

便乗虚心坦懐。なにもわかってなかったので、エンジニアも兼ねるセルフメイドスーパーヒーローというのは意外だった。一方、おそらく意図的だろうが、不意打ちのはずの爆発や攻撃がまったく不意打ちになってない。あ>>続きを読む

ケープ・フィアー(1991年製作の映画)

2.5

これも『ジョーカー』のネタ元? 髪型とか笑いのツボがズレている点など共通。悪い意味で90年代的なニューロティック演出には閉口しかけるも、ズームや派手なアクションをカット頭にすえた編集は過剰で楽しい。マ>>続きを読む

サイコ2(1983年製作の映画)

3.5

神待ち少女がママになってくれるので傑作。ヒッチの金髪美女に対する偏執には及ばないけど、おっさんの狂気を引き受けて母親のコスプレまでしてくれる神対応にはハイレベルなバブみを感じる。それが裏目に出て古典悲>>続きを読む

戦火を越えて(1965年製作の映画)

2.5

口うるさい奥さんから解放されるやいなや冗舌になるおじいちゃんが戦場でめっちゃ生き生きとしはじめてホッコリ。第二の青春。ニコニコ大百科にも記事がある「ウラー!」がたくさん堪能できたのもよかった。国境の看>>続きを読む

秋のマラソン(1979年製作の映画)

3.0

異邦人に対して有無を言わさずロシア的洗礼(歓待)をくらわすエフゲニー・レオーノフを見て、やっばり『キン・ザ・ザ』は自国の寓意像だったんだなあ、と嬉しくなる。地下鉄のエスカレーターの構図やアパートの中と>>続きを読む

名前のない男(2009年製作の映画)

3.5

ワン・ビン版「ハイパーハードボイルドグルメリポート」。始まるなり「吐瀉物の中のクトゥルフ」みたいなヌードルが供される。これは強い。環境音などから周囲に文明の気配は感じられるのに、かなり世紀末感あふれる>>続きを読む

ぼくらの7日間戦争(2019年製作の映画)

3.0

現実の現代的なトピックをアニメで扱おうとする野心と、ヒット作やトレンドをあからさまに参照する節度のなさが混在。両者が乖離してるキメラ感がヤバいし、いろいろ盛りすぎててペラい。とか思ってたら、その溝を「>>続きを読む

石炭、金(2009年製作の映画)

3.0

勝手に『鉱 ARAGANE』みたいな炭鉱と金鉱の採掘ものかと思ってたら石炭行商ロードムービーだった。朦々と砂塵が舞い上がる道、延々と難航する価格交渉、煤だらけになる荷下ろし。売り手も買い手も仲介者もみ>>続きを読む

世界の現状(2007年製作の映画)

3.5

アテネ、空気が淀みすぎてて秒で帰りたくなる。「ブランケット貸し出ししてます」という当節にあって強気すぎる姿勢にもビビる。そして容赦なく席の両隣を埋めてくる映画狂たち。。。左のオッサンふたりがフツーに雑>>続きを読む

棒の哀しみ(1994年製作の映画)

3.5

刺し傷つくってはセルフ縫合するヤクザと、その傷口に欲情する情婦がいいカップルすぎてホッコリ。神代的アンニュイさと極道の無常観もマッチ。原作の地の文?を奥田瑛二の独り言として処理するのはアクロバティック>>続きを読む

オペラNo.1(1994年製作の映画)

3.5

岡崎京子と矢沢あいとCLAMPと樋上いたるを横断している感があるエイドリアン・シェリー。サブカルとオタクを包摂しているので90年代の覇者。

レディ・バード(2017年製作の映画)

3.5

母と妹の摩擦を傍観していた兄だったので他人事とは思えず。上手下手を意識した二度の横移動や母娘ドライブのマッチカットなど、編集の遊びが効果的。でもホームシックみたいな保守回帰にはズッコケる。複雑な愛憎が>>続きを読む

コードギアス 復活のルルーシュ(2019年製作の映画)

2.5

Boxの映像特典ならまだしも、約10年ぶりの新作劇場版でこれは脱力。蛇足の続編をいまさら作ること=ルルーシュを復活させることの是非を二重に問い直すことから出発しなければならなかったのではなかろーか。い>>続きを読む

恋人たちは濡れた(1973年製作の映画)

3.0

神代スタンダード。転げ落ちるフィルムに始まり、喫茶店や砂浜で半円を描く運動とカメラの回り込みが繰り返され、そして総決算の自転車大回転へ。流転=戯れの時間はおしまいだというばかりに円環から脱線して海へと>>続きを読む

TOKYO TELEPATH 2020(2020年製作の映画)

1.5

昭和を想起させるモチーフや大林特撮ライクなチープな合成が散見されるイメージに次々とノイズを混入し、往年のSFジュブナイルっぽいプロットを脱臼させ、64年東京五輪が用意したような希望に満ちた未来観を毀損>>続きを読む

波のした、土のうえ(2014年製作の映画)

4.0

記憶と復興の間で引き裂かれる被災者の声が、被災地の風景に複層的なイメージを浮かび上がらせる。遺品の衣服をあつかう儀式のような所作に畏まり、生々しく首をもたげるショベルカーの不気味さとパワフルに土山を降>>続きを読む

羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来(2019年製作の映画)

3.0

ジブリの諸作に新伝綺エッセンスをまぶしたみたいな印象。バトルになるとナルトやAKIRAに。日本のアニメの影響がモロすぎてビビる。いい感じに上澄みをすくっていて、日テレがポノックに求めていたのはこれだっ>>続きを読む

セノーテ(2019年製作の映画)

2.5

直前にベン・リヴァースの展示でナマケモノが延々と怠けているハードコア映像を見せられていたため、十分スペクタクルに体感。WMPのビジュアライゼーションみたいになってる瞬間もあったが、完全に異空間な水中世>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.0

緻密に計算されまくった動線設計とカメラワークには頭が下がるけど、空間がゲーム画面っぽく切り取られていくがゆえに、コントロール不能なカメラに縛りつけられる受動性にだんだん耐えられなくなる。役者の顔を映さ>>続きを読む

メディア(1988年製作の映画)

3.5

水、火、霧、光などのタルコフスキー顔負けの美しい自然描写と、チープな合成や野暮ったいディゾルブの混淆で脳がやられそう。トリアーのハードコアヒロインの中では突出しないおぞましさだが、主演女優の顔面は即物>>続きを読む

ジャックポット2(1982年製作の映画)

3.0

ピンボールとかのモチーフの使い方がイキりすぎててついていけないし、すっとぼけた台詞や唐突なダンスや狂人の闖入など、個人的に苦手なハル・ハートリーのユーモアに通じるナンセンスもキツかった。前半のトラック>>続きを読む

嘘つき(1981年製作の映画)

4.0

「シネフィル趣味全開で好き」と「あざとすぎて白ける」の間を行ったり来たり。でもドストエフスキーの写真が部屋に貼ってある時点で嫌いになれるはずがない。若き日のアキはイケメンすぎてビビる。長髪、流れるよう>>続きを読む

生恋死恋(1917年製作の映画)

3.0

背景のアイスランドの自然、険しい山岳や大規模な瀑布や激しい吹雪に煽られる熟年メロドラマ。オバさんをめぐる三(四?)角関係とか誰得なんだろうと思わないでもないが、洗濯中の豊満な胸チラには無防備なエロスが>>続きを読む

同窓会/アンナの場合(2013年製作の映画)

3.0

かなりヒリついた妄想同窓会で楽しめた。第1部フィクション、第2部(たぶん)擬似ドキュメタリー。かつてのいじめや疎外を告発されたクラスメイトたちの反応を二段構えで先回りし、彼らの反駁をあらかじめ代弁して>>続きを読む

寄宿舎 悲しみの天使(1965年製作の映画)

3.0

萩尾や竹宮の寄宿舎ものの元ネタらしい。穹窿の移動ショットの異次元感、パイプオルガンに空気を送る謎の装置や、ドミノ式に点火する祭壇の蝋燭などの美術ディテールに冒頭からワクワク。ヒロイン枠のショタが子羊抱>>続きを読む

ウィ・アー・ザ・ベスト!(2013年製作の映画)

3.5

キレキレの編集、不安定で臨場感のあるカメラ、女の子たちのアドリブっぽい戯れで、瞬間的に『オルエットの方へ』に肉薄するような楽しさがあったはずなのに、パンクスのパブリックイメージに追従させる終盤でわりと>>続きを読む

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

2.0

過去作の遺産を再利用した2次創作展開に萎え、お使いクエストのまどろっこしさの一方で性急すぎる編集に呆然とし、お定まりのダークサイド堕ちる堕ちる詐欺で緊張感もなく、雑なピント送りや素っ頓狂なズームにズッ>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

3.0

洗礼と新生、抑圧と覚醒という図式的な状況設定にガン萎えするし、即物的なエログロと隠喩的な色彩の露悪的でスタイリッシュなセンスも鼻につくが、姉妹の立ちションは全力で支持。その正統的(?)な百合描写からさ>>続きを読む

ツクシのエロいい話(2012年製作の映画)

3.5

本当にいい話。シチュエーションの構築がいちいち秀逸でクソ楽しい。弁当、カエル、押入れの引き戸、包帯、編み物といった装置や小道具の使い方も絶品。『タクシードライバー』のポスターのデ・ニーロとベッドの上の>>続きを読む

8月の終わり、9月の初め(1998年製作の映画)

4.0

車窓を流れていく玉ボケ夜景と涙目ルドワイヤンのコンボ、100点。デプレシャンの映画と同様、マチューが体現する「私」性みたいなものにとことん感じ入る(ぼくはルドワイヤンとは付き合えませんが……)。しれっ>>続きを読む

玄海灘は知っている(1961年製作の映画)

3.0

海外映画がしばしばやりたがるニッポン擬態シリーズ韓国版。さすがに元植民地の隣国なだけあって、欧米に比べれば美術や衣装のディテールが「惜しい」のだが、そのぶん「チョーセンジン死すべし慈悲はない」みたいな>>続きを読む

レンの哀歌(1969年製作の映画)

2.0

池の波紋に浮かび上がる女の派手な衣装と、ベッケルの『怪盗ルパン』みたいな照明の点灯は悪くなかったが、内面ダダ漏れモノローグと中年男性慰撫のフルコースに辟易。さすがに「おっさんシャキっとしろ」と言いたく>>続きを読む