SNさんの映画レビュー・感想・評価

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恐怖の報酬(1953年製作の映画)

4.5

昨今の映画的潮流とは全く逆向きの作品というべきであろうか。アンチ・スピードな映画である。それもそのはず、急加速急停止はイコール、即座に死をもたらすから。
南米の強い太陽に照らされた小さな町(おそらくペ
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恐怖省(1944年製作の映画)

4.0

名作と呼ばれるに値するだけの雰囲気を纏っているのに、かなり乱暴なプロットの断裂が目につく。

愛のコリーダ(1976年製作の映画)

4.1

「エロチシズムとは、死に至るまでの生の称賛であるということもできる」とのバタイユの箴言は、そのまま大島渚の最も有名な作品の要約となる。

澁澤龍彦が広く知れ渡ることになった「悪徳の栄え事件」のように、
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カサノヴァ'70(1965年製作の映画)

3.5

食指が動いたというよりも、たまには分かりやすい駄作でもと思いたち、手に取ってみたものの、その期待は裏切られることはなかった。マストロヤンニの無駄遣いでありながら、そんな彼の三枚目的な素養の全てが詰まっ>>続きを読む

たそがれの女心(1953年製作の映画)

4.6

偉大なるコメディアン、ジャン・ロシュフォールの死に埋もれる形とはなったが、昨年、ダニエル・ダリューが静かに息を引き取った。享年100歳(あのケネディ大統領と同い年!)。トーキーの出現とともに銀幕デビュ>>続きを読む

夜と霧(1955年製作の映画)

4.2

だいぶ躊躇をしていたが、避けては通れない作品ゆえに、背すじを正し、正視した。

まず第一に、これは映画という媒体がうみだした偉功でありながら、これ以上の表現を許さない限界点でもある。この限界は、映画の
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素晴らしき放浪者(1932年製作の映画)

4.5

なぜなら、手なずけていたワンちゃんが逃げ出し、この社会に嫌気がさしたからだ。

ある日、ミシェル・シモン演じるブドゥは橋から身投げする決意をする。本屋の店主、レスタンゴワは窓越しにその光景を目の当たり
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ハッピーエンド(2017年製作の映画)

4.4

この表題、そして透き通るようなカレーの海と、光に満ちた青空。実際に作品を見ることはなくとも、ジャケットに散りばめられた要素は単なる皮肉に過ぎず、これが月並みなヴァカンス映画ではないことは容易に想像でき>>続きを読む

ピンポン(2002年製作の映画)

4.0

見返してみて初めて井浦新だったことに気づく。とにかく若い。個人的にスーパーカーがツボだから結構ハマる。

ピクニック(1936年製作の映画)

4.7

ひどく暑い夏の日、ドュフュール一家はパリを抜け出し、ブゾン(Bezons、パリ近郊Nanterreの北に位置する。だが、実際の撮影が行われたのはLe Loingというパリから100キロほど南に離れた田>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.5

どこにでもいそうな主婦が起こした殺人事件(映画的な主題)を、限りなく非映画的、あるいは超映画的な視点から描きだした傑作。
わずかばかりの劇的効果も齎さない固定カメラ。ただ、ありのままの日常を切り取るこ
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牝犬(1931年製作の映画)

4.3

モーリス・ルグランは(ミシェルシモン)憂鬱だ。仕事は退屈この上なく、家に帰っても口喧しい妻がいる。だが幸運なことに彼には絵画の心得があった。キャンバスに向かう時だけは、自分を取り囲むあらゆる煩わしさか>>続きを読む

明日はない(1939年製作の映画)

4.1

「善良な市民は目を背けたくなるような連中のあいだで、夜毎に体験をしたことから受けたパリの印象によって、この映画は生まれた。そこに生きる女と、ヒモと呼ばれる男の世界に、私はいつも強く心を惹かれたのだった>>続きを読む

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

3.6

ララランドまだ観てないんだよねって言わなくて済むようになったことが嬉しい。

アーティスト(2011年製作の映画)

4.6

この時代にサイレント?なんて考えだすと現代映画に対する警鐘めいた代物を見せられるのではないかと身構えていたが、そんなことは微塵もなかった。すごく面白い。
小道具を含めて、細部まで行き届いた拘りには脱帽
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赤い手のグッピー(1944年製作の映画)

4.3

クルゾーやジャックターナーを想起させる、なんともおどろおどろしい世界観。ベッケルの多才っぷりには脱帽。サスペンスともホラーともとれるこの作品でも彼の手腕がいかんなく発揮させれている。隠れた秀作。
オー
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憎しみ(1995年製作の映画)

4.2

熱量と疾走感はすごい。細かく割ったカットも、常に複数の人間が画角に収まる構図に馴染んでいる。ただし、同時並行で何人も話すシーンが多くて、聞き取りにくい箇所は多々ある。
パリのシーン。美術展の懇談会から
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オーケストラ・リハーサル(1978年製作の映画)

4.5

「音楽の調だけが我々を救ってくれる」すったもんだの大騒動のあとに、指揮者がボソッと言うことひと言がすごく印象的で、思わず胸を打たれる。
無給で働くオケの一員のプチ革命を描く小品。真面目な語り口からはじ
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幸福の設計(1946年製作の映画)

4.5

演出が緻密で、庶民の生活の豊かな広がりを感じさせてくれる。
パリの安アパートに暮らす中産階級の恋人どうし、アントワーヌとアントワネット。薄給ゆえに映画も観れずじまいで、つましい生活を送っていた。そんな
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早春(1970年製作の映画)

3.4

期待していただけに物足りなかった。
剥き出しのエゴに疲弊してしまった。15歳の多感さを生々しく描き切ったといえばそれまでだが。
工夫が欲しい。見せすぎ。とてもじゃないがエドワードヤンとの比較されるほど
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甘い生活(1959年製作の映画)

4.7

おそらく、メディアという媒体を自覚的に撮った初めての作品であろう。この後「8 1/2」と「そして船は行く」で映画産業を、「ジンジャーとフレッド」ではテレビ業界とフェリーニ作品の中核をなす重要なテーマを>>続きを読む

いぬ(1963年製作の映画)

4.4

冒頭のトンネルのシーンでもうすごいよね。名作の予感しかしない。

ノスタルジア(1983年製作の映画)

3.8

散文を好む人には厳しいかもしれない。プロットに重きをおく人には苦痛かもしれない。理解可能か、そうでないかで判断する人には2時間の拷問であるに違いない。そういう作品。
文字に置き換えるならば、散文(小説
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七月のランデヴー(1949年製作の映画)

4.7

1957年の『大運河』(ロジェ・ヴァディルム)が「シネ・ジャズ」というムーブメントの先駆けといわれているが、なんだ49年のこの作品において、すでにベッケルが映画にジャズを持ち込み、それも見事なまでにエ>>続きを読む

サレムの魔女(1956年製作の映画)

4.0

断末魔の叫び。サルトルが脚本を担当。ピューリタンに対する魔女狩りを描く。

肉屋(1969年製作の映画)

4.6

結末に差し掛かっていくにつれて密度を増していく感じがたまらなくいい。ブレッソンやヒッチコックの色は強いが、ただの二番煎じで終わらないところにシャブロルの力量の高さがうかがい知れる。

真実(1960年製作の映画)

4.4

ブリジット・バルドーのプリケツ見たさで手に取ってしまうとおそらく後悔することだろう。
実際にあった事件(ポーリーヌ・ドビュイッソン事件)に想を得た作品。ブリジット・バルドーが演じる主人公ドミニック・マ
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ここに幸あり(2006年製作の映画)

4.0

押し付けがましい邦題も日本版の予告編も見ていて腹がたつが、作品自体はああイオセリアーニって感じ。どこまでもノンシャランで穏やかな時間が流れている。

偽れる装い(1945年製作の映画)

4.6

実に恐ろしい。
オートクチュールを題材にしたベッケル最初期の作品。いちいち怖い。もう冒頭から背筋が凍るよう。無表情のまま、下の見つめながらボソボソと話す女たち。状況の深刻さ(これはラストで明かされるの
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自転車泥棒(1948年製作の映画)

4.3

ブルーノくんと一緒に、降りしきる雨の中、自転車を探しに行くシークエンスが素晴らしい。あまりに美しくて、これが悲しいお話だということを忘れてしまうほど。

オルエットの方へ(1970年製作の映画)

4.4

ホームビデオを見ているかのような、あたたかな作品。長尺が気にならないのは、この作品が、映画を取り巻くどこか暑苦しい規則や統一性に絡みとられぬ証拠か。
題材のくだらなさがいい。飛んで跳ねて笑って食って。
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悪魔のような女(1955年製作の映画)

4.4

BGMを徹底的に排することによって、この映画に特異な環境音(時計や水音、ラジオなど)の張り詰めた空気感を生み出すことに成功している。厳格なカメラワークはもちろんのこと、音響に対するこだわりは並々ならぬ>>続きを読む

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)

3.9

ざらついた質感も張り詰めた空気感も嫌いじゃないが、戦争映画に特有の教条主義的なところが肌に合わない。