くまやまさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

  • List view
  • Grid view

ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

5.0

公開前に「娯楽性を投げ捨てている」というレビューを見かけて、まぁ確かにそういう向きもあるし、画面も暗いし、理解しづらいところもたくさんあると思うけど、それでも観てるうちにエモーショナルな高揚がしっかり>>続きを読む

ビースト(2022年製作の映画)

3.0

ポスターのイドリス・エルバとライオンが対マン張ってるやつ、てっきり「※写真はイメージです、実物とは異なる場合があります」かと思ったらマジでやっててよかった。あと最近のサメ映画のトレンド?"特に説明もな>>続きを読む

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)

4.0

ジョナサン・メジャーズの"地元のちょっと面倒な先輩"みたいなドロッとした雰囲気が敵役としてけっこう斬新だった。「今ある材料でやらなきゃな」という、そのままこのシリーズの在り方を示すようなクリードの台詞>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.0

こういう、どうしようもなく"くらってしまう"映画がたまにある。今の自分は子供たちの記憶にどういう形で残るのだろうか(もしくは残らないのだろうか)。それと同時に自分の中の記憶もよみがえる。徐々にテンポが>>続きを読む

ワイルド・スピード/ファイヤーブースト(2023年製作の映画)

4.0

眼がギンギンのブリー・ラーソン、なにもかもがギンギンのモモアちゃん、強烈な面々に取り囲まれて気の毒なダニエラ・メルシオール…新メンバーみんなよかった。

反対に前作あたりからローマンとテズのシーンがこ
>>続きを読む

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

4.0

ファイヤーブーストからの落差がすごい。でもどちらもファミリーについての映画ではある。主人公と叔父さんの静かな生活を見守る観客としては「こうしたほうが〜」とか思っちゃうけど、そんなのは関係なく粛々と生き>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

4.0

"ナイキのキャッチコピー「JUST DO IT」の由来は囚人が処刑される前に言った最期の言葉"という最高の蘊蓄が披露された最初から最後まで抜かりなくおもしろくて、ずっと笑顔で観てた。タイトルに商品名が>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

冒頭のインタビューのシーン(普通にためになる内容じゃないですかあれ)からばっちり引き込まれた。そして起承転結のうち突然ギアがあがって観客を突き放しにかかる"転"から不思議な後味の残る"結"への流れがた>>続きを読む

アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

4.0

自伝的な内容にしてはあまりに救いのない結末に「このことを語って(懺悔して)おかないときっと後悔する」というジェームズ・グレイの切実さを感じた。作中唯一の癒しことアンソニー・ホプキンスの語るエピソードは>>続きを読む

セイント・フランシス(2019年製作の映画)

4.0

なんとなく「名作っぽい雰囲気の普通の映画」だと思ってあんまり期待せずに観て申し訳ありませんでした。名作でした。ひと夏を通して主人公の人生が目に見えて前進したわけではないかもしれないけど、そこにはなにか>>続きを読む

ファイブ・デビルズ(2021年製作の映画)

3.0

あんまり詳しいことを知らずに観たら全然思ってたのと違う、変てこな内容だった。5人の悪魔とかも出てこなかった。「ブルーは熱い色」以来のアデル・エグザルコプロス、相変わらずの半開きの口が今回はどうしようも>>続きを読む

冬の旅(1985年製作の映画)

4.0

大学の図書館で借りて観た当時のタイトルは「さすらう女」だった。最近になってまた観たいなと思った頃には軒並み上映終了してたけど、今回最高の2本立てで(しかも1300円で!)観られてよかった。そしてほぼな>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.0

アニャ・テイラー・ジョイさんのピーチ姫はさぞかしよかっただろうな…(吹替もよかった)。映画館もほぼ満席で、30年前の大雨の日に「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」を観に行ったら客が0人だったことを思うと>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

5.0

ジェームズ・ガンは天才。言うことなし。とびきりの楽しさと感動、そして90年代の強烈な映画(「トータル・リコール」とか「JM」とか)みたいな仄暗さがあって、この後味も懐かしい。あとダニエラ・メルシオール>>続きを読む

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.0

「サーチライトの作品だからすぐに配信されるな」などと思わず映画館で観るべきだったな…。"外側"のすごさに比べたらお話は普通かもしれないけど(好きだったけど)、とにかく映像、音楽、美術、撮影、その他の技>>続きを読む

モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

3.0

「アルゴ」しかり「ベンガジ〜」しかり非戦闘員が巻き込まれる"大使館もの"はどれもスリリングだけど、さらに南北問題も絡む特盛っぷり。韓国と北朝鮮の交流を描いていくと最後はこうなるしかないって終わり方なん>>続きを読む

三姉妹(2020年製作の映画)

4.0

これは"思ってたんとちがう"大賞を狙える予想外にパワフルな映画。ペース配分もおかしいし、終盤のテンションも凄まじい。ムン・ソリもすごいけど個人的には長女(キム・ソニョン)のキャラ造形に感服した。心底関>>続きを読む

犯罪都市 THE ROUNDUP(2022年製作の映画)

3.0

課題1→暴力で解決、課題2→暴力で解決…が延々と続く凄まじいワンパターン!でも観客が求めてるものは結局マブリーパンチ一発なので問題ない。ほとんどのことが力で解決してしまうのでアレだけど、ボクは韓国映画>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.0

実に久しぶりにダーレン・アロノフスキーと固い握手を交わせる作品だった。主演男優賞にふさわしいブレンダンはもちろん、とにかく素晴らしいホン・チャウ!セイディー・シンク!近くに座ってた人が近年稀に見る号泣>>続きを読む

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

5.0

気づけば「フロリダ・プロジェクト」から 5年も経ってるけど、相変わらずショーン・ベイカーは天才。今回も"テキサス・プロジェクト"的な魅力あふれる風景満載。世界から取り残された街のしけた毎日なのにこの人>>続きを読む

茶飲友達(2022年製作の映画)

4.0

(そういう感想でいいのかわからないけど)すごくおもしろかった。一歩間違えばキツい感じになりそうなところを俳優陣の素晴らしい仕事がうまく回避させてる。135分もあっていろいろと盛り込んでるけど、長いとは>>続きを読む

EO イーオー(2022年製作の映画)

4.0

サーカスでそれなりに楽しく暮らしてたロバのEOくんが"動物愛護"の名の下に家族から引き離され、流転の旅に放り出される導入からして示唆的。EOくんの瞳に映る人間たちは愚かで、勝手で、たまに優しい。アカデ>>続きを読む

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)

4.0

セーヌ河に浮かぶ(!)デイケアセンター"アダマン号"に通う男性がTéléphone「La bombe humaine(人間爆弾)」を熱唱する初っ端の最高のシーンから引き込まれる。そこに集う様々な人たち>>続きを読む

マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.0

難民申請を却下されたクルド人のお父さんがひとしきり憤った後に、担当者が「…はい、では次ですが〜」と淡々と話を進めていく感じがリアルでいやだった。細部に抜かりがない。サーリャがあまりに気の毒で、演じてる>>続きを読む

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

3.0

「イニシェリン島の精霊」「ベルイマン島にて」と"島映画"が続いてて、よく考えたらこれも島が出てくるなと思ったらあの島は前作で崩壊しちゃったんでしたね…。別につまらなくはないし、新旧キャストが勢揃いして>>続きを読む

ベルイマン島にて(2021年製作の映画)

3.0

かの名監督の聖地がめちゃくちゃ観光地化してておもしろい(ベルイマンサファリ!)。「野いちご」しか観てない自分にはベルイマン作品との相似を指摘するとかはできないんだけど、ヴィッキー・クリープスがちょっと>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.0

「スリー・ビルボード」の時もそうだけど、マーティン・マクドナーは100年前に起きたおじさんの仲違いみたいな「なんでこれを映画に…?」という話を通して我々を思いもやらない心境に導いてくれる。"驚天動地の>>続きを読む

親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)

3.0

国家と自分を同一化していたお母さんは娘が反体制のストライキの末に行方不明になった時、どのように身を振るのか…。ソ連がどうとかの前にまず人間自体がいい加減で自分勝手な生き物なんだぞということを、冷徹さと>>続きを読む

キル・ボクスン(2023年製作の映画)

3.0

「藁にもすがる獣たち」に続いてチョン・ドヨンのやさぐれ具合は最高。「ジョン・ウィック」と別の切り口を求めて"子育てに悩むシングルマザー"の要素を入れたんだと思うけど、むしろキル・ボクスンが(面倒くさそ>>続きを読む

主戦場(2018年製作の映画)

4.0

ずっと観ようと思いながらも結局各所で見放題になるまでかかってしまった。こういう映画がアクセスしやすくなるのは本当にありがたいし、素晴らしい。聞くのも見るのも耐えない魑魅魍魎を改めて見つめるとやはり「顔>>続きを読む

X エックス(2022年製作の映画)

3.0

「悪魔のいけにえ」的質感といい、古今東西のホラー映画を読み込んだ優秀なAIが撮ったような印象だけど、それだけにじいさんばあさんのベッドの下で息を潜めてる時のミア・ゴスちゃんの顔とか、ジェナ・オルテガの>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

-

ボウイ先生の時代ごとの変化の歴史を追う内容で、コラージュされた映像はちょっと飽きるんだけど、全ての話が(関係者とかじゃなく)本人から語られるのでこれはもうおとなしく拝聴するしかない。IMAXで観る(聴>>続きを読む

幻滅(2021年製作の映画)

4.0

現代では"幻滅"という言葉はすっかり卑近なものになってしまったけど、19世紀のパリでは「Lost Illusions」という響きどおりの悲哀と儚さが感じられる。フランス映画界の才能が一堂に会してるだけ>>続きを読む

キャンディマン(2021年製作の映画)

3.0

恐怖よりむしろ「やっちまえ!キャンディマン!」的に盛り上がるナウな内容。殺戮シーンの見せ方が毎回凝っててすごくよかった。見せすぎず、でもしっかり印象に残る。あとどうでもいいけど、画家をけなす時に「小さ>>続きを読む

ブラック・フォン(2022年製作の映画)

3.0

やたらと口が悪いけど兄思いの妹がめちゃよかった。もういっそ予知夢とかじゃなくて普通にそこらへんの石でイーサン・ホークを思いっきり殴打してほしかった。でも最初から最後まで、心霊的にも物理的にも黒電話がタ>>続きを読む

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.0

犯罪者と世論の関係と展開、形は違えど日本も全く他人事ではなくて震えあがった。"巣を張る蜘蛛"に何重にもかかったメタファーと、「THE LAST OF US」の監督回からの流れでアリ・アッバシの仕事の一>>続きを読む