アラシサン弐さんの映画レビュー・感想・評価 - 13ページ目

ハッピー・デス・デイ 2U(2019年製作の映画)

4.0

まさか時をかけるビッチに感動させられてしまうとは思わなかった、悔しい。
自殺シーンをあんなポップに観れる映画は他に無いでしょう。

前作の伏線や謎を補完するどころかさらにややこしく拡張してキャラクター
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ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)

3.8

「時をかけるビッチ」というパワーワード。

ギャルが多種多様な方法でギャアギャア悲鳴上げて殺られるスラッシャー映画でありながらも、タイムループものならではの伏線回収や、殺られては何度も立ち上がることで
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オールド(2021年製作の映画)

3.6

大胆な設定を活かすためかツッコミ所満載な展開ではあるが、人が老いていく中で体験する出会いと別れや加齢による感情の変化、歳を取って良いこと、悪いこと、変わらないことがほぼワンシチュエーションの中に入って>>続きを読む

ドント・ウォーリー・ダーリン(2022年製作の映画)

4.0

フローレンス・ピューって精神衰弱ギリギリの人やらせたら右に出るものいないのでは。
みんな大好きミッドサマーとは違うタイプの怪演が観れる。

鑑賞していて「男の考えてることってしょうもないなぁ‥」と切な
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ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

3.9

陰険さと可愛げが同居してるこの妙な感覚はさすが北欧のホラー。

心臓に悪くて分かりやすいホラー描写もありながら、人間の内側のグロテスクさでグリグリ責めてくる。

母親がシンプルにヤバい奴なので観てる側
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.7

相変わらず新海誠監督には若者の将来を尊重する視点を通底して感じる。
コミカルでアクションもあったりと広い間口のエンタメになってるけど、自分たちがいつでも死と隣り合わせで生きてることを突き付けてくる鋭さ
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天気の子(2019年製作の映画)

3.9

監督の若者達の選択を尊重する視点が炸裂している。

新海誠全開という感じではないが、「若者の貧困」と「気候変動」という現代の社会問題に根ざしたモチーフに、相変わらず繊細過ぎる風景や大胆な設定を使う監督
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君の名は。(2016年製作の映画)

4.3

新海誠マラソンをして分かったが、この人は若者に容赦なく不条理や社会性を突き付けるドライさがある一方で、それに巻き込まれた若者の選択や行動を決して否定的に描かず尊重する優しさがあると思う。

二人の個人
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言の葉の庭(2013年製作の映画)

3.9

実際は蚊だらけでジメジメしてる新宿御苑も、新海誠監督の手にかかれば、なにか現実から隔絶された別の世界のように見えてくる。

社会から切り離されそうになって別世界に逃避していた二人が「今が一番幸せかもし
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秒速5センチメートル(2007年製作の映画)

3.7

監督の作家性全開ながらも、厨二で突き放した内容の前作よりも格段に親しみやすく、心にスッと入ってくる。

もともと繊細だった作画はそのままに、駅やコンビニなど日常生活の細かいディティールまで鮮明に描画さ
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雲のむこう、約束の場所(2004年製作の映画)

3.5

サブカル必修科目、新海誠の初期作品。
ヲタクの大好物である平行世界モノ。

若者の恋愛と孤独を大胆な設定と繊細な作画で見せる作家性はこの頃から確立されてたのが分かる。

詩的な台詞とSF的な用語が喧嘩
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アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

4.0

受験を控えた高校三年生って、部活や恋愛など一通りの青春は一段落していて、その中には取り組んだことに対して諦めたり割り切ったり未だに活動してる人に嫉妬したり、悶々とした気持ちで過ごしている子たちって多い>>続きを読む

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

3.7

椿三十郎なんだよな、七人の侍とかではなく。わかる。

可愛らしい青春映画の中に、加速する映画のファスト化や、時代劇を相手にすらしない陽キャ組、内容の無い陽キャ映画に盛り上がる高校生達など、映画愛ゆえの
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.2

外から入ることも内から出ていくことも難しい上流階級の構図の歪さを描いて、東京の内部も外部も平等にイジりながら二種類の「抑圧された女性の自立」を見せてくれる。

東京のご貴族様と地方に根ざした人の対比を
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窓辺にて(2022年製作の映画)

4.0

今泉監督は、他者から見たら「何、それ?」と訝しがられるけど当人からしたら大切な感情同士をぶつけ合わせるのが本当に上手だと思う。

ぶつけ合うといってもそこにはその感情を何とかして肯定してやろうとする優
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パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

4.0

一つの映画内でここまで「子供の喪失」を何回も何種類もぶつけてくる作品も珍しいんじゃないだろうか。

娘が取り違えられたと知ったとき、本当の娘は亡くなっていたと知ったとき、その事実を告白したとき、母親で
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ヒューマン・ボイス(2020年製作の映画)

3.7

30分ほぼ一人と一匹による会話劇。
短編だからこその余白がこちらに想像させる隙間を与えてくれる。

出ていった相方に思いを馳せるマダムだが、本当に出ていったのか、斧を振るう凶暴性にもしかしたら殺してし
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セクシリア(1982年製作の映画)

3.7

目まぐるしく登場する変な人達が交わったり交わらなかったり。

監督の作家性全開で相変わらずセックス関連の変態達がわちゃわちゃと個性の大渋滞を起こしながらも、ラブストーリーと脱出劇にまとめてサラッと着地
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神経衰弱ぎりぎりの女たち(1987年製作の映画)

3.8

邦題通りのぎりぎりな女性しか出てこないからか、展開も破綻ぎりぎりで中々カオス。

出てった恋人と話したかっただけなのに突然テロに巻き込まれた友人に頼られたり、弁護士とガチ喧嘩したり、恋敵とカーチェイス
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アンラッキー・セックス またはイカれたポルノ(2021年製作の映画)

3.7

やんちゃな放題に釣り合う問題作では。
検閲さえも味方にしてあらゆる方法で観てる方を挑発してユーモアに変えてしまう末恐ろしさ。
なんとなくエロい映画だと思って釣られたオッサンにカウンターを食らわせるよう
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ドライビング・バニー(2021年製作の映画)

3.9

バニーが感情を最優先にした行動しか取れないのは、彼女の不器用さだけではなく、感情しか武器に出来るものが無いくらい虐げられてるからではないだろうかと思う。

ムカついた奴の車に小便をかけるくらい論理を無
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RRR(2022年製作の映画)

4.5

今まで観た映画のダンスシーンの中で一番楽しかったかもしれない。インドの本気を見た。

王道なのにパワープレイでこちらの想定を軽々と超えてくるこの感じ。
目で接種するタイプのエナドリ。

二人の登場シー
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バーフバリ 王の凱旋(2017年製作の映画)

4.2

Part1の比じゃないくらい人が塵のよう。

父バーフバリの恋愛や姑とのマウント合戦や伏線回収やら色々ありつつも、全てが前作でヘラヘラしてるだけだった子バーフバリを覚醒させる為に機能してて、ラスト30
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バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)

3.8

この大予算に悪びれない感じ!笑

思わずツッコミ入れながら笑ってしまいそうな場面が連発されるけど、圧倒的なスケール感で「え、でもカッコいいでしょう?」と力技でねじ伏せてくる感じがもう清々しい。

王道
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

3.9

人工知能が人間の感情を理解するか否か、はもはや旧態依然なテーマで、人工知能が「どういう人間であるか」まで踏み込めることに気付かせてくれる。

映画内で人工知能やクローンに対して偏見があることを描く一方
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荒野にて(2017年製作の映画)

3.7

物語自体は意外とシンプルながらも、10代特有の不安定で無謀な行動にずっとヒヤヒヤさせられる。
それでいて、父親にも馬主にもホームレスのチンピラにも、関わる大人全てに対して感情を直球でぶつけていく純真さ
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夏時間(2019年製作の映画)

3.9

派手な演出も無ければ過度にエモーショナルな展開も無いヘルシーな作品、けど年頃の心理描写が非常に繊細で、リアルで、ジワジワとノスタルジーにさせられる。

弟が親戚にチヤホヤされてるときのむず痒さ、警察の
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コロンバス(2017年製作の映画)

3.6

小津映画特有の冷徹さすら感じるくらい俯瞰的に景色を切り取る構図と、モダニズム建築のずっと見ていられそうな美しさは相性が良いんだろうな。

親に振り回されながらもその親元から自立するか留まるかの葛藤にも
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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

3.7

この監督、どこかに行きたいけどどこにも行けない人の鬱屈さを描くのがお上手。
貧困層に降りかかる不条理を描くだけなら数多くあるけど、そこに動物が投入されるだけで段違いに辛い。

劇中で「家と仕事を手に入
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スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

4.0

結末の開放感が尋常ではない。
実在の人物をモチーフとしていながらも、史実に隠された真実を追うことを主旨とした映画ではなくて、抑圧された女性が自分にとって一番大切な存在を取り戻すまでを描いた女性映画であ
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チェンジリング(2008年製作の映画)

4.2

夫人と警察との戦いで引っ張っていくのかと思いきや、その裏で起きているもっとヤバい事件が警察に攻撃される恐怖とは別の最悪な結末を想像させてきて、自分は観ていて全く飽きなかった。

また後半になると、警察
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ミスト(2007年製作の映画)

4.0

他コミュニティを侵害してまで自分たちを正当化しようとする集団心理への回答と警鐘を提示するラスト。

極限状態で集団錯乱が起きる要因って、単なる恐怖や不寛容さとか価値観の違いによる分断だけでなく、麻痺し
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セブン(1995年製作の映画)

4.0

デヴィッド・フィンチャー監督は生理的に嫌悪感を催すビジュアルをスタイリッシュに見せる天才だと思う。

七つの大罪をモチーフにした殺人が行われると判明した時点で次にどんな凄惨な現場が来るのか身構える訳だ
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ガンパウダー・ミルクシェイク(2021年製作の映画)

3.7

スカジャン。笑
ジャニス・ジョプリン最高だな。

ヴィレヴァン通いが好みそうなキラキラポップとバイオレンスの融合に、オッサンホイホイな映画オマージュがてんこ盛りにトッピングされた偏差値下げて楽しめるエ
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友情にSOS(2022年製作の映画)

4.0

アマプラに全然宣伝されてないけどかなり好みだった。

アフリカ系とラテン系の若者が不条理に巻き込まれてドタバタと奔走するブラックコメディで、笑ってしまうようなシーンを挟んで進みながらも、ラストに垣間見
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.3

男の見栄や世間体が女性に迷惑かけるのは中世でも変わらずで、それが名誉至上主義の騎士の価値観なら尚更なんだろうな。

女性映画ではあるけど、MeToo以降の価値観を説教的に押し付けるのではなく、最後にち
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