アラシサン弐さんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

ゴースト/ニューヨークの幻(1990年製作の映画)

4.2

亡くした側の喪失と亡くなった側の見守るしかないもどかしさをビジュアルで観させられるのが切ない。
触れ合うことが出来ないからこそ濃密に触れ合う“ろくろ回し”のシーンが後から効いてくる。

死んだ状態でい
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ミザリー(1990年製作の映画)

3.8

やっかいなファンに絡まれて可哀想。笑

シンプルな監禁脱出スリラーながらもキャシー・ベイツの振り切ってる怪演と下からの顔面アップなどの悪意あるカットや、クライマックスにかけて起こる中々カオスな画が強烈
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ロッキー・ザ・ファイナル(2006年製作の映画)

4.0

とにかく多幸感が凄まじくて、細かい事など忘れてロッキー劇場のフィナーレによって力技で興奮させられてしまう良い完結編。
スタローンもロッキーシリーズも5のあの感じでは絶対に終わりたくなかったんだろうなと
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ロッキー5/最後のドラマ(1990年製作の映画)

3.8

ラジー賞ノミネート作品な上に各所で黒歴史扱いされてるということでどれだけ酷い作品なのかと身構えていたけど、確かに前作までの熱さを期待すると肩透かしを食らう部分はあるけど、むしろ個人的には広いスケールか>>続きを読む

ロッキー4/炎の友情(1985年製作の映画)

3.9

3ラストがあってからこの展開は辛い。
エキシビションの死亡フラグが凄い、
JBのそっくりさんかと思ってたら本物だった。

前作までよりも試合と特訓シーンが長くてエンタメに振ってる印象があるけど、ソ連国
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ロッキー3(1982年製作の映画)

4.0

ほとんどお約束の展開で変わらないのにずっと飽きさせずに観ていられる凄いシリーズ。

負け犬から全てを掴んだロッキーをもう一度負け犬にさせて、そこに大切な人の喪失も加わったリベンジとなるからかとことん盛
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ロッキー2(1979年製作の映画)

4.2

前作ラスト“あの試合”の直後から始まるので冒頭から引き込み方が尋常じゃない。

結婚して新婚生活が始まってから微妙にダメ男ぶりを発揮するロッキーの成長物語でもある。
奥さんが良い人すぎる。
ありえない
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JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)

3.9

シンプルながらも後に続く全てのZ級サメ映画の始祖なだけあって、アイデアとロマン全開で展開分かってるのに結構引き込まれる。

サメ討伐の3オジさん達が海上でヘラヘラ楽しそう。
サメとの直接対決もあくまで
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アルマゲドン(1998年製作の映画)

3.9

巨大過ぎて鑑賞出来てなかった。
人と火薬の量と王道の展開にエアロスミス、大予算を使ってスケールをデカくすることにここまで悪びれずに振り切ってると清々しい。
爆弾の赤と青どっち切る?のやつ、アレ本当にや
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ノーカントリー(2007年製作の映画)

4.2

物語自体はシンプルな逃亡劇なのにそこはコーエン兄弟なので一筋縄ではいかなくて、観客側を挑発するような突き放し方をされて観た後に虚無感すら残る作品だった。

ハビエル・バルデムがマジで殺人鬼史上トップレ
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ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)

3.8

あらすじも教授についても前情報無しで鑑賞したのでかなり揺さぶられた。
サスペンスな前半から真実が判明した後も、どちらが本当なのか何度もミスリードさせられる。
思えば主人公が不安や孤独な時にチャーリーが
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ブラック・スワン(2010年製作の映画)

4.0

この監督は本当にドSな追い詰め方をするなぁ。
その場所で輝こうともがく人物を描いている点では「レスラー」の兄妹みたいな作品なのかもしれない。

「レスラー」が輝かしい存在であるために堕ちないよう踏ん張
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.2

社会制度に追い詰められていく若者の描き方に一切の容赦が無い。
ケン・ローチ作品を観てるかのよう。

とにかく現実の突き付け方がえげつなくて、生活、友人、進路、と徐々に一つ一つ奪われていくドライさによっ
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.0

耳が聞こえないハンデを持つ人、を決してお涙頂戴の道具にはしないという監督の強い気概を感じる。

聾唖のボクサーが閉鎖寸前のジムで試合に望む、という誰もが王道で熱い展開にしたがるであろうプロットながらも
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そばかす(2022年製作の映画)

4.0

三浦透子さんに海とタバコが合い過ぎる。
彼女の歌う主題歌が最後に流れるのが何ともメタ的に救われた気持ちになる。

狭いスケールの中で決して大きな事件が起きるわけでもない話だけど、分からない人には一生分
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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

3.7

トランプ政権下の上映年なだけあって、真実を報道することや報道の自由を真正面から正義として描いている縁があるが、政府側にも後ろめたさを持ってる人がいたり単なる政府批判で終わらないドラマになってると思う。>>続きを読む

ウインド・リバー(2017年製作の映画)

3.9

世に出てないだけで、こういった事件が実は多発して泣き寝入りさせられてると思うと非常に後に引くものがある重厚な社会派映画だった。

田舎には楽しみがないし出ていくことも入ってくることもない、が一番悪い方
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ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)

4.3

人種間にある根本的な壁を表す秀逸なタイトル。
オープニングの車窓映像でオークランドがどんな街か説明されなくても感じ取ることが出来る。

3日間を問題行動ばっかり起こす相棒と治安の悪い街で何も無く過ごす
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Never Goin' Back ネバー・ゴーイン・バック(2018年製作の映画)

4.0

海行きたいだけなのに。笑

先の見えない貧困層の若者を描いた話なのに、Fワードの洪水とヤクと汚物にまみれて倫理観がバグってる彼女たちからは悲壮感の欠片もなくて、むしろ汚らわしさ全開なのに謎の幸福感も貰
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スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

3.9

よくこんなシチュエーションで映画一本撮ろうと思ったなというような、正気の沙汰でない発想とクレイジーな画の連発でコント好きには堪らない作品。
銀魂とか好きな人は好きかも。

水死体役にハリーポッターって
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明日に向って撃て!(1969年製作の映画)

3.9

ある意味、西部劇のアウトロー=イケてる存在という価値観へのリスペクトと終焉を同時に感じさせられる作品だった。

地元で名を挙げるも追い詰められ潮時を感じ、新しい人生を夢見てボリビアに渡ってみるも何か思
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暴力脱獄(1967年製作の映画)

4.0

やんちゃな邦題が付いてるが決してマッチョで暴力的なアクション物ではなくて、人間の繊細な心理や登場人物の余白も含めてとても深みを感じるドラマ。

主人公ルークのキャラクター像が本当に良い。
ボクシングで
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狩人の夜(1955年製作の映画)

3.8

ヒッチコックのサイコより5年も前にこのサイコホラーは早すぎる。
殺人鬼から逃げる子供、という一番ハラハラする構図。

金の在り処は割りとあっさりバレるが、犯人に懐いてる妹を抱えながらの逃亡になるからス
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黒い罠(1958年製作の映画)

3.6

車降りて出てくる登場だけで一言も発さなくても悪徳警官だと一発で分かる素晴らしいビジュアル。

有名作品の元ネタと思われるシーンが沢山出てきて影響力の高さを伺える作品。

アパートの鍵貸します(1960年製作の映画)

4.3

上司へのゴマスリで自分の部屋を情事用に提供するっていう面白くなるに決まってる設定に、アイデアに富んだ構成と小気味良い台詞の掛け合いにどこまでも観ていられそうな娯楽映画。
昇進とかキャリア至上主義への皮
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情婦(1957年製作の映画)

4.0

おじいちゃん、酒飲み過ぎ。

法廷劇だが判決や真相で引っ張るだけでなく種明かしされた後からの情報量が怒涛で、サラッと衝撃展開を迎えて想像もしない着地をするので呆気に取られた。
タイトルが若干ネタバレか
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お熱いのがお好き(1959年製作の映画)

4.0

力技でハッピーにさせられてしまう‥凄い。

マフィアに追われる物騒な話なのにとにかくひたすらにコミカル。
どのシーンを切り取ってもアイコニックになってしまうマリリンモンローのお色気だけに頼ってる訳でも
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麗しのサブリナ(1954年製作の映画)

3.9

留学して垢抜けまくって帰国した娘が現金な兄弟二人に揺さぶられたり揺さぶったりする王道なラブストーリーだが、洒落た台詞回しや脚本と文字通りサブリナの麗しさのおかげか、構図は三角関係のようなのに観ていてド>>続きを読む

エデンの東(1954年製作の映画)

3.6

最初から最後までジェームズ・ディーンがずっと拗ねてる。

純朴で不器用な子供のようなキャラクターで、勝手にロックンロールや不良カルチャーの印象があったから意外。

原作の前半が丸々カットされてるらしく
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波止場(1954年製作の映画)

4.0

全てのブラック企業の役人たちに観せてやりたい。

漢・マーロンブランドのアイドル映画かと勝手に思ってたが、社会派でシリアスな人間ドラマであり、最後もどう着地するか分からない展開で飽きなかった。

労働
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あのこと(2021年製作の映画)

4.5

単に「中絶という女性の権利を主張する映画」では終わらない、観ている時にまるで当事者の女性と一体化したかのような感覚にされ、彼女の焦りと怒りと痛みがダイレクトに入り込んでくる体験型スリラーとして緊張感が>>続きを読む

ポゼッサー(2020年製作の映画)

3.9

ぶっ飛んだ設定と父親譲りのアナログで悪趣味なビジュアルにだいぶ精神的にやられるが、もしかしたら自身らしさを押さえつけて生きている人が自分らしさを開放して受け入れるまでを描いた話なのかもしれない。

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ヴィデオドローム(1982年製作の映画)

3.8

監督はテレビに対してブチギレてるような気がする。
単に統合失調症の男が観てる変態世界という印象だけでなく、過激なビデオばっかり観てるような人は脳が馬鹿になったり精神がおかしくなったりして、現実と虚構の
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スキャナーズ(1981年製作の映画)

3.8

クライマックスの異能バトルは流石の変態。
大予算の特殊技術には頼らず絶対にアナログな方法でSFをやるという気概を感じ、結果的にそれが他のSFエンタメ映画とは一線を画す独特な雰囲気になってると思う。
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母性(2022年製作の映画)

3.6

良くも悪くも日本のエンタメ映画といった印象を受ける作品だけど、大振りな演出と演技に耐えられればテーマは面白い部分もあると思う。

原作:湊かなえ という単語とセンセーショナルな予告から、倫理観を揺さぶ
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