アラシサン弐さんの映画レビュー・感想・評価 - 15ページ目

Zolaゾラ(2021年製作の映画)

3.8

性風俗産業に巻き込まれてひどい目に合う女性を描いた作品に有りがちな、エロとか社会の闇全開の退廃的な空気がユーモアに昇華されていて、良くも悪くも暗い気持ちにはならない映画。

出来事自体は悲惨なのに、A
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トラスト・ミー(1990年製作の映画)

4.0

社会的に生きづらさを抱える男女の恋愛と自立が、よく見ると凄い変なタッチで描かれててシュール。

冒頭からずっとシチュエーション事態はシリアスなのに、真面目なのかとぼけてるのか分からない独特な空気感で一
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アンタッチャブル(1987年製作の映画)

3.7

デニーロ成分が欲しくなり鑑賞。
頭刈っても隠しきれない狂気性。

ギャングとシカゴ警察の暴力性に監督の作家性が相まって、終始血生臭い不穏な空気が漂ってるが、お約束な展開や死亡フラグに大味なアクションで
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アンダーグラウンド(1995年製作の映画)

4.0

一つの国家が終わっていく中で起きている出来事は確実に悲劇なのに、やけくそみたいなバイタリティの尋常でない騒がしさが、ファンタジーでも見せられてるかのように可笑しい映像にさせてる。

起きてるカオスはい
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セイント・フランシス(2019年製作の映画)

4.3

周囲やSNSから溢れる充実した生活や幸せハラスメントに圧迫されて焦ったり自己嫌悪に陥ったりしても、「それでも立派」とフランシスがさらっと救済してくれる優しい保健体育映画。
タイトルも素晴らしい。

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ディナー・イン・アメリカ(2020年製作の映画)

3.7

アナーキーなのに意外と恋愛に真面目で可愛い。

冒頭から何度も出てくる食事シーンが最後に効いてきて、地味にアメリカ社会へ皮肉かましてる。
ディナーインアメリカってそういうことね。

音楽モチーフの作品
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ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

4.5

みんなが不謹慎だから触れないようにしてるヒューマニズムの盲点みたいな所を容赦なく告発する好きなやつ。

たとえば日本の2○時間テレビみたいな、過度に道徳観を煽ることを「思いやり」とするような媒体も、そ
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こわれゆく女(1974年製作の映画)

4.2

序盤の最小限の台詞でも明らかに正常ではないと分かる妻と、何とかしてやりたいとは思いながらも妻への愛情と自身の感情に揺さぶられ苛立つ夫の演技合戦が凄まじく、口論になる場面とかは離婚劇なんかよりもしんどい>>続きを読む

冒険者たち(1967年製作の映画)

4.2

脚本凄い。
廃材置場スタートからアフリカの海や要塞島まで描いてしまうのはまさに冒険。
ご都合主義的な展開でリアリティは薄くあるけれど、むしろ夢を追って挫折した3人の新たな目標が本当に夢物語なファンタジ
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軽蔑(1963年製作の映画)

3.9

ゴダール、ハリウッド嫌い過ぎ。

アメリカ人プロデューサーの描き方が悪意全開で、監督が当時いかにハリウッド映画に対して中指立ててたかよく分かる。

妻が夫を軽蔑する本当の理由は最後まで明言されないけど
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シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

3.5

美術学校の参考書1ページ目に掲載されてそうな映画。

通行人に違う色の傘を持たせたり、色の違う部屋を行き来させたり、どうしても色が変化しなさそうなら上着脱がせたり着せたりと、同じような色彩の画を続かさ
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ミッション:インポッシブル3(2006年製作の映画)

3.9

イーサン・ハントを1,2で完全無欠のヒーロー像に創り上げたからこそ、冒頭の絶望具合が凄まじくて一瞬で引き込まれてくし、何があってそのシーンに至るかと、そのシーンの後に何が起こるかの二重でハラハラさせら>>続きを読む

ミッション:インポッシブル2(2000年製作の映画)

3.5

細かいことには何もツッコミを入れずノーヘルグラサントムクルーズのスタントにガッツポーズするのが正解の映画。

本人が制作指揮だからか、前作よりアクションの無謀さに磨きがかかってる感じがした。冒頭の崖登
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ミッション:インポッシブル(1996年製作の映画)

3.7

顔マスク変装とか宙吊り潜入とか、他のスパイ物で似た描写が出てきたら「ミッションインポッシブルのアレね」となるくらいアイコニックな場面が沢山。

ブライアン・デ・パルマが監督してるの知らなくて、血生臭い
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.0

破綻してそうでギリギリ成立してそうで、
入り込めそうでギリギリ突き放される作品。

時が止まって欲しい男と前に進みたい女。
男の詩を女は理解しないし、
女の詩を男は理解できない。
最後までぜんっぜん分
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(1960年製作の映画)

4.2

“バレないようにひたすら穴を掘る”だけなのに異様にスリリング。

穴を通して向側に行く→道具が要るから来た道を戻る→起床時間だから穴を隠すなど、一連の行動の中に刑務所ならではの音や時間の制約、さらには
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女と男のいる舗道(1962年製作の映画)

4.0

芸術家志望の貧困層が、身体を売る仕事に没入して気づけば夢や目的も見失っていく様は、どの時代に切り取られても切ない。

アンナ・カリーナは「女は女である」でのアホの娘的な可憐さから一転して、章が進むごと
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8 1/2(1963年製作の映画)

3.8

何一つ理解が追いつかなかったのに全てのシーンが脳裏に焼き付いてる不思議な映画。

一回目の鑑賞で何も理解できず、
解説等を拝読してからの二回目でクリエイター生活の苦悩の一端と、それに対する監督の自問自
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女は女である(1961年製作の映画)

4.0

「半熟卵いる?」
「つくってくれ」
「条件があるの、子供が欲しい」
なんだこのやり取り。
どうやったら思いつくんだこれ。

カップルの割とどうでもいい日常に、男女の価値観のもつれで三角関係が出来上がる
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フレンチ・コネクション(1971年製作の映画)

3.6

日常的な風景から唐突に暴力が生まれる場面がかなり怖い。
ゲリラ撮影ゆえのリアルな街並みに潜んだ悪意の緊張感や生々しさがある。

ただ、平穏な裏で麻薬が平然と出回って悪い奴が暴力を行使してるという恐怖よ
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ダーティハリー(1971年製作の映画)

3.8

犯人の正体とか事件のトリックではなく、ハリーVS犯人の対決をずっと追っていく話。
途中でメディアや法律の壁なんかに邪魔されはするものの、関係なく真っ向からブチのめしに行く泥臭さが分かりやすい。

暴力
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ハズバンズ(1970年製作の映画)

3.7

家庭も仕事もあって、それでも何かのきっかけで全て投げ捨てて爆発させてしまう中年達の悲哀が見てて辛い。
もう周りが見えずに自分達だけではしゃいでハッピーになっちゃうオッサンいるよなあ。

常軌を逸した行
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アメリカン・グラフィティ(1973年製作の映画)

3.7

アメリカに憧れを抱く外国人が撮ったんじゃないかと思うほど純粋無垢なアメリカ。

青春と呼んで間違いない一夜を過ごすアメリカの若者達からは、ベトナム戦争の影もヒッピーカルチャーの混沌も、ブリティッシュイ
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都会のアリス(1973年製作の映画)

4.0

アリスと主人公が互いに寄り添い過ぎず突き放し過ぎず、何となく相手の事を思ってるその「何となく」具合が良い。

決して派手な演出や劇的な展開がある訳ではないけど、回転扉でグルグル遊んだり、空港でサンドイ
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ほとぼりメルトサウンズ(2021年製作の映画)

3.9

何気なく入った回が舞台挨拶付きで、監督のお話が興味深かった。

「xiangyuの友達のドヤ街に住んでる爺さんのコラム」っていう割とツッコミどころ満載なところから着想を得たらしく、確かに高齢者の貧困を
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お嬢ちゃん(2018年製作の映画)

3.5

鎌倉ヌーヴェル・ヴァーグ。
途中までジェンダー論を問う作品だと思ってたけど、鑑賞後はどうやらそれだけではないのかなと。

最初は主人公の攻撃がポリコネ作品にしては「やり過ぎてない」ように感じて、

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ゆるキャン△(2022年製作の映画)

4.5

日常アニメの終わりの寂しさにまさかここまでハッとさせられるとは思わなかった。
鑑賞後に少なくとも自分は、今過ごしている日常に少しだけ優しくなれるような気がした。

確かに社会人となれば、趣味に対する楽
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

3.6

おっさん二人のゆるキャンを淡々と見守るだけの映画。

これといったアクシデントも起こらず、何となく気まずい関係ながらも癒やしを浴びる二人の姿から、情報を拾うというより感じるというか、ある意味では難解映
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デスプルーフ in グラインドハウス(2007年製作の映画)

4.3

ギャルの駄話に唐突のバイオレンス。
大声でギャアギャア泣くおっさんってなんでこんなに笑っちゃうんだろう。

めちゃくちゃ馬鹿みたいな話なのにカースタンドが凄まじすぎてまんまと手に汗握らせられるのが悔し
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オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013年製作の映画)

3.7

夜道をドライブして、ダンスを踊って、部屋でダラダラと気怠い会話を紡ぐ二人の姿は、ヴァンパイアの日常アニメでも見せられてるかのような穏やかな映像ながらも、そこからは長いこと生きてきたからこその人間に対す>>続きを読む

水の中のつぼみ(2007年製作の映画)

3.7

これぞフランス映画という感じだけど、少女達の不安定さが交差する様は青春映画の雰囲気があるし、ラストカットは清々しさすら感じる。

「燃ゆる女の肖像」に感じた、視線と表情から心理状態を発信していく演出は
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エレファント(2003年製作の映画)

3.9

緊張感と圧迫感が凄まじくて苦しい。

思えば学校生活で湧き上がる鬱屈さって、いつでも暴力の加害者と被害者が生まれる要因があるなと再認識させられてしまう。

家庭の問題を学校に言えずに涙する姿や、周囲か
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.0

画も人も台詞も展開も笑っちゃうほど華がない。凄く良い意味で。

撮影料が払えなくて圧力かけられながら隠し撮りしたなんていう面白すぎる逸話の緊張感なんて微塵も感じないほど、2人の退屈な人生を体現したかの
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スモーク(1995年製作の映画)

3.9

登場人物達みんな嘘ばっかついてるのになんか不思議と柔らかくて優しい映画。
大都会のそんなに栄えてない煙草屋って舞台から漂う何とも言えない老練さがもう優しい。

その場をやり過ごす為や自分を取り繕う為の
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ターミネーター ニュー・フェイト(2019年製作の映画)

3.9

舞台のメキシコに合わせてデデンデンデデンがラテンアレンジになってるの笑う。

冒頭、自動化機械に失業させられそうになる主人公たちの姿が、ターミネーターシリーズが背負ってる「機械に取って代わら
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ターミネーター:新起動/ジェニシス(2015年製作の映画)

3.8

シリーズモノのお祭り雰囲気やパラレルワールド展開にアレルギーがなければ、言われてるほど酷く感じないしそれなりに楽しい作品だと思う。

自分達の息子になる存在と敵対することで、既に決定してる未来を否定し
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