ピロシキさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

ピロシキ

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マッドバウンド 哀しき友情(2017年製作の映画)

3.9

なんやろなーあの、白装束が出てきた瞬間のガッカリ感は…

あの日あの時あの場所で、人種を超えた友情を育むことはすなわち、相手を傷つけて危険に晒す可能性があった。仲良くすればするほど近くまで忍び寄る、レ
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浮き雲(1996年製作の映画)

4.6

止まない雨はないと、頭では分かってるつもりだが、最近は、そんなに降らなくてもってぐらいに激烈な雨ばっかりで、どうしても気が滅入ってしまう。

失業した夫婦のふんだりけったり具合があまりにも悲惨で涙も出
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愛しのタチアナ(1994年製作の映画)

3.8

音楽がかかっても踊らねえ。無言でタバコをふかし続ける無骨なオジサン。でも本当は、「愛した女はお前だけ」とか書いてるデコトラ乗れちゃいそうなぐらい一途なオジサン。

いつの間にか「愛しのタチアナ」になっ
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キナタイ -マニラ・アンダーグラウンド-(2009年製作の映画)

3.8

「警察官になって、市民の安全をお守りするんダ!」というそれなりの熱意を持っていたであろうドングリ眼の若者ペピンくんが、フィリピンのクッッッソヤバイ闇を知ってゲロ吐いちゃうっていう話。「ディアハンター」>>続きを読む

アフター・アワーズ(1985年製作の映画)

2.0

帰ってきましたよ〜!と言わんばかりにカメラがグルングルン周るエンドクレジット

もう歩いて帰るか公園で寝とけや、とは思った

ザ・プレイヤー(1992年製作の映画)

3.5

「主演はジュリア・ロバーツ!ヒット間違いなし」と、売れっ子スターをいっぱい起用してあくまで質より話題性を重視、そして出来上がったお粗末な作品を試写で流して拍手喝采する「ハリウッド映画」のお偉がた。>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.0

メメントの頃から、伸ばして縮めて歪めてバラバラにしてきた「時間」、今回もノーランは完全にこれを掌握し、配置している。と思う。たぶん。いや、自信ない。そうかな。知らない。莫大な金掛けて、爆破したり戻した>>続きを読む

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

3.8

「映画の半分は音だ」とのことである。

優秀なフィルムメーカーほど、音に気を配る。そして名作とよばれる映画の陰には、優秀なサウンドメーカーがいる。

サイレント時代からの映画音響の歴史を紐解き、知る人
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

3.4

音量がデカい。ヒソヒソ話もワイセツ動画も口ゲンカも、全部デフォルトより高めに設定されている。のっけからぶっ飛ばすこの感じについていけるかどうかが分かれ道、自分は最後まで「ギャーギャーうるさいな」ぐらい>>続きを読む

(1997年製作の映画)

3.9

次作「ヴァンダの部屋」で見て軽く衝撃を受けた「不衛生さ」が、ここですでに顔を見せている。

血→溶岩→骨 と、液体から固体へ状態変化することで、作風は様変わりした。サラサラと流れる美しい非現実よりも、
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溶岩の家(1994年製作の映画)

4.0

精気を失い、地面に横たわる子どもたち。
彼らを尻目に、音楽を奏でて踊り狂う大人たち。
その狭間に立ち戸惑う、美しく若い女。

バイオリン爺さんが「子どもには死、老人には生」的な発言をしていて、おやおや
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(1989年製作の映画)

4.0

それぞれにまったく個性が異なる、ペドロ・コスタ初期3作品を鑑賞した。

血を分けた父子の間に、なにが起こったのか。ラストシーンの解釈は「大人はわかってくれなかった」というより「大人がいなかったから自分
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ザ・ファイブ・ブラッズ(2020年製作の映画)

3.8

おい!みんな!どれだけ多くの黒人がベトナムへ送られて戦ったか、知っているかい?教えてやろう!ブラック・ライブズ・マター!さあみんなも一緒に!ブラック!ライブズ!マター!これが最新の、スパイク・リー・ジ>>続きを読む

マッドマックス/サンダードーム(1985年製作の映画)

3.6

結局サンダードームは何だったんだ、ってぐらい後半全く関係なくなってたけど、そもそも物語としての違和感なんて挙げればいとまが無い。この「とにかく映画観て楽しんでもらえればOKッス‼︎ 」的な突き抜けたス>>続きを読む

ランデヴー(1985年製作の映画)

3.4

「抱くのね?どうせ抱くならサッサと入れなさい!床がいいの?さぁ!早くしな!」とまくし立て、男の目の前に裸で横たわるビノシュ。付き合ってる彼女にあれをやられたら一生モノのトラウマである。

でもさ、ビノ
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青いガーディニア/ブルー・ガーディニア(1953年製作の映画)

3.7

男に手紙でフラれる時代も、失恋の憂さは酒で晴らした。

遠キョリ恋愛の彼氏にフラれてヤケクソになってうっかりヤリチ○野郎に誘われて飲みに行ったら案の定ぐでんぐでんになってしまって、翌朝起きたらなんとそ
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読まれなかった小説(2018年製作の映画)

3.5

「歴史に興味はない。私はその土地に生きる人々に寄り添った物語を書きたかった。」
若い作家志望の息子が逆ギレ気味にまくしたてるこの言葉、まさにこの映画そのものではないか。

フォーカスが当たるのは、人。
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桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

4.4

「桐島、部活やめちゃったらしいぜ」ではなくて「やめるってよ」っていうのがよい。受け入れたくないのだ、信じたくないのだ、真偽を確かめたいのだ。どうやらものすごく重要人物らしい桐島は、登場しない。カメラに>>続きを読む

アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

4.0

自分、このタイトルだけ見ると、古賀シュウが長島三奈のものまねで、アルプトゥトゥタンドのブラトゥバンドの演奏がこだまとぅる、と言うていたのを真っ先に思い出すような人間ではある。野球は詳しくない。細かすぎ>>続きを読む

ハニーボーイ(2019年製作の映画)

2.5

暴れる父親を自ら演じることによって、シャイア・ラブーフが自分自身に救済を得られたのであればそれに越したことはない。しかし、天才子役ノア君に、なおかつ声変わり寸前の刹那的なこの尊い瞬間に、タバコを吸った>>続きを読む

ザ・ライダー(2017年製作の映画)

3.9

俳優が馬の調教を習うのか、馬の調教師が演じてみせるのか……いずれにせよ「初めて見たこのイケメンの俳優、役作り相当頑張ったな」と信じて疑わなかったこと、そして主要キャストたちの苗字が揃いも揃ってジャンド>>続きを読む

海辺の映画館―キネマの玉手箱(2019年製作の映画)

4.2

映画という虚構を通して歴史をハッピーに作り変えることはいくらでもできるのかもしれない。大林監督は、日本の戦渦の歴史を映画の中で振り返って「この歴史はけっして過去形ではない」というメッセージを我々に残し>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

4.7

美しいラストカットが暗転して、エンドロールで込み上げてしまった。内容を思い返そうとすると、やはりこの主人公の「顔」がまず先に浮かんでくる。うつろな眼差しの14歳の少女に、「はちどり」というタイトルが重>>続きを読む

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

3.4

ゾンビ映画とはいっても、ビル・マーレイがまたしても室外犬みたいな表情で突っ立っており、すでに締まりがない。会話もどこか噛み合っておらず、死人が出ても切迫感がない。挙げ句の果てにはティルダ・スウィントン>>続きを読む

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

3.9

前半パートでは、三浦春馬のこととか槇原敬之のこととか勝手にいろいろ思い出してグングン気分が落ち込んだ。悩みを打ち明けられる人はいない。鬱積したストレスはドラッグを誘発する。そして薬物依存の悪循環と、フ>>続きを読む

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

4.6

初見は中1… 劇場鑑賞は19年ぶりということで、オープニングでタイトルが現れた瞬間、えもいわれぬ感動に襲われてしまった。これから2時間にわたって繰り広げられるとんでもない出来事の数々が、今から目の前の>>続きを読む

仕組まれた罠(1954年製作の映画)

3.5

原題はHuman Desire、邦題は仕組まれた罠

ポスターのイメージからして、初めは「女によって仕組まれた罠が、男たちを酷い目に遭わせる」話かと思った。実際は「女へのHuman Desireをあら
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召使(1963年製作の映画)

3.7

いかにも騙されそうなボンボンが少しずつ壊れていき、従順な召使いがしだいに支配的になっていく。

しかしなぜだろうか、ふたりともこの関係性の倒錯を楽しんでいるようにも見える。

召使おじさんが「え...
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シルバー・グローブ/銀の惑星(1987年製作の映画)

3.9

こんな映画はケシカラン!製作中止ダァッッ!と聞かされた瞬間、監督の落胆と怒りは相当なものだっただろうが、自分がもしあの主演の男優として「お蔵入り」を告げられたらーーーーずっと訳わからないセリフ言わされ>>続きを読む

飾窓の女(1944年製作の映画)

3.9

最後のオチはズッコケもんで、メタメタで、どないやねん!である。もうちょっと頭使えるやつはおらんのかとか、ジジイええ加減にせえよとか叫びたくなる。しかし最後にあのオチを持ってこられると、今までの「はぁ」>>続きを読む

コブラ・ヴェルデ(1988年製作の映画)

3.7

相変わらず、写真映えはするが絵葉書にはしたくない、濃厚な映像のオンパレード。物語がよく頭に入ってこないので、いったい何を見せられているのかずっと分からないけどもはやどうでもいい。

孤独の見せつけ方に
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キンスキー、我が最愛の敵(1999年製作の映画)

3.9

キチガイ映画監督の代表格ヴェルナー・ヘルツォークと、彼の怪作のうち5本で怪演を見せつけた怪優クラウス・キンスキーの、奇妙な関係性についてのドキュメンタリー。

こりゃタイトルを「キンスキー、我が最愛の
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死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)

3.7

複数の登場人物があっちへ行きこっちへ行き、誰かを引っ掛け誰かに引っ掛けられ、捕まり放たれ逃げまた捕まり、ポンポンと話が進んで135分

前作に引き続いて主題は反ナチ、しかし怒りに任せて作ったならば、こ
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マン・ハント(1941年製作の映画)

3.4

「ちょっと遠くから撃ってみちゃおっかなぁヒトラー君!」などと、出来心で銃を構えてみたら案の定捕まって、問い詰められたら「そりゃ狙うわ!あんなヤツ死ねばいい!」と逆ギレ

チャップリンの独裁者ほどあから
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リリオム(1934年製作の映画)

3.0

死後の世界で「生きてた頃の自分の愚かさを省みなさい」と言われ「うるせえ、アホはアホのまま結構」と開き直る主人公リリオム。「妻よ、娘よ…俺が、悪かった…俺は…生きたいッッ‼︎」と叫んだらそれを見ていた神>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.0

「若草物語」および「続 若草物語」のお話、まったく知らない。何度も何度も作られてる映画も全部みてない。ほんで、そういう話だったのかとこのたび初めて理解する。オテンバ娘たちがとにかくやかましく乱闘しまく>>続きを読む