ピロシキさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

ピロシキ

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蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

3.7

シェイクスピア「マクベス」を時代劇でやってみたかったので、やってみた。それに付き合った三船敏郎は、あんな至近距離で大量の矢を射たれてしまった。監督への殺意は、じゅうぶんに理解できる。ただこの「蜘蛛巣城>>続きを読む

素晴らしき日曜日(1947年製作の映画)

3.7

途中だいぶだるんだるんでかなり眠いけど、印象的なのは2つ。コンサート会場へ向かう2人の疾走のシーン、そして落ち葉のステージのクライマックス。

共通しているのはシューベルト。音楽にふれ「楽興の時」を過
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PASSION(2008年製作の映画)

4.4

『寝ても覚めても』にあまりハマらず、『ハッピーアワー』も、5時間はチョット、と敬遠し今に至る。では『PASSION』は?うーーん、素晴らしかった。卒業制作と聞いて唖然となるほどに。演者のパフォーマンス>>続きを読む

悪魔(1972年製作の映画)

4.3

ぼくがズラウスキー童貞を喪失した「ポゼッション」では、イザベル・アジャーニが牛乳をぶちまけながら股と口から謎の汁を噴き出して絶叫する、地下鉄のシーンのあまりの異様さにひっくり返ったものである。

そん
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東京上空いらっしゃいませ(1990年製作の映画)

3.9

この世の鶴瓶は関東弁。
あの世の鶴瓶は関西弁。

共に過ごす最後の時間、踊り明かして抱き合って、それでもなかなか「帰れない二人」に泣いちゃった。

おてんばを絵に描いたような牧瀬里穂はもちろん、階下に
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(1985年製作の映画)

3.6

「乱」を観た。これが世に言う「乱」か、といった印象である。オトウチャンの気まぐれに端を発する、大乱闘スマッシュブラザーズ。三兄弟の軍勢を分かりやすく色分けしてくれたワダ・エミ師匠に感謝。撮影のためだけ>>続きを読む

砂の器(1974年製作の映画)

3.8

「砂の器」を観た。これが世に言う「砂の器」か、といった印象である。題材からしても、二度と同じリメイクはできないだろう。劇的すぎる音楽。譜面に「観客ここで泣く」と書かれていたのかもしれない。荘厳!! M>>続きを読む

青春の殺人者(1976年製作の映画)

4.0

じゅんちゃ〜ん じゅんちゃん じゅんちゃん じゅんちゃ〜ん とものすごくうるさくて可愛くていじらしくてありえないほどうるさい原田美枝子が、ここから10年足らずで黒澤明の「乱」へ繋がると思うと相当感慨深>>続きを読む

アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)

3.7

 小学生だった自分が「R-18指定」という言葉を知ったのは、たしかCMでやっていたこの映画の予告がきっかけだったはず。何度も何度もテイクをやり直して、長い長い撮影期間をかけて出来上がった、巨匠キューブ>>続きを読む

あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.2

例えばもし「タイタニック」でディカプリオが生き残ったとして、身分の違う2人があの後結婚しても果たしてうまくいっただろうかって話には、まあなるわな。

人間誰しも選ぶことのできないもの、境遇。それは、こ
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泣く子はいねぇが(2020年製作の映画)

3.7

本作は第68回サン・セバスティアン国際映画祭で最優秀撮影賞を受賞したらしい。その一方で、酔いが回った勢いで全裸になって走り回ってしまった太賀をわざわざ舐め回すように追い回した生中継のカメラは、間違いな>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

4.2

チーズケーキのなんとかを弾き語り始めた時点で「あー友達にはなれないな」と確信し、10何テイクも撮る前に「監督なら本の位置ぐらい指導しろよ」と苛立つ。自然な不自然さと、不自然な自然さの間を揺れ動く2時間>>続きを読む

パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

3.8

愛しているからこそ、元の世界に戻りたい女。愛しているからこそ、今の世界に留まりたい男。……あらそう、と男を残して先を進む女。

後になってじつは、じつは、じつは、の種明かしが効いてくる。似たような比較
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.6

前作同様、今回も演技未経験者のオンパレード。「役名=役者名」があんなにも長々と続くエンドロールはあまり見たことがない。

ノマドとよばれる彼らをとくべつに美化するわけでも、風刺するわけでもない。そんな
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JUNK HEAD(2017年製作の映画)

3.5

いろいろヤバい。なかでも、たいそうなセット組んで気持ち悪いクリーチャーたちをコマ送りで動かして痰吐いてるみたいな訳わからない言葉を自作自演でアテレコして編集するという孤独で途方もない作業にすでに7年も>>続きを読む

SLEEP マックス・リヒターからの招待状(2019年製作の映画)

3.4

3分先の未来も読めないようなこんな世の中で「8時間ぶっ通しで音楽を演奏する」という試み自体が固定観念を覆してる、と誰かが言ってたのは納得できる。「聴くのも自由・寝るのも自由」のオールナイト公演、マック>>続きを読む

新聞記者(2019年製作の映画)

3.8

追い詰められる松坂闘莉王、それに応えるシム・ウンギョン、最近あんまり笑わない役の多い西田尚美、現実世界同様クソ丸出しの官僚軍団エトセトラ、そして本田翼の「何も知らない嫁っぷり」も含めて、キャスティング>>続きを読む

まともじゃないのは君も一緒(2020年製作の映画)

3.7

「定量的に」……星を付けるなら、こんな感じだろか。とにかく不健全な話である。作品の雰囲気に惑わされそうになるけど、女子高校生がひと様の恋愛に介入して後を尾け回したり盗聴したり、やっていることは決して誉>>続きを読む

ミナリ(2020年製作の映画)

3.8

今このコロナ禍において、アメリカ国内でのアジア人に対してのヘイトクライムがまた激化しているという話を聞く。タイムリーな公開である。

アメリカで生まれて育った韓国系移民2世である小さな息子からすると、
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続·ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画(2020年製作の映画)

3.3

この手の作品にBEST PICTUREの称号が与えられるという事実が腑に落ちることは一生ないと思うが、現実はちょっと大袈裟な感じにして笑い飛ばすしかないぐらい酷いってわけか。解せぬが、解さねばなるまい>>続きを読む

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.6

碇ゲンドウによる人類補完計画ならぬ、庵野秀明によるエヴァンゲリオン補完計画。すなわち(劇中でいうところの)「落とし前をつける」ための、長い完結編。今の時点で何を言っても誰かのためにはならないとは思うが>>続きを読む

回路(2000年製作の映画)

3.6

急な「飛行機ドーーン」と、加藤晴彦のファッションセンスのリアルな大学生感に少し笑った。それ以外はだいたい全部恐かった。

春を告げる町(2019年製作の映画)

4.7

ちょうど10年というこの大きな節目に、改めて震災について考え直すキッカケになった、それは間違いない。でも。このドキュメンタリーが見せてくれるのは、もっとありふれた、そしてもっと根本的なものだ。状況がど>>続きを読む

さくらももこワールド ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌(1992年製作の映画)

4.5

ウォルト・ディズニー「ファンタジア」の影響もあると聞いていたので、さくらももこが独断で選ぶ「わたしの好きな歌」にシンクロした映像がひたすら流れる、もっと実験的な作品をイメージしていました。それはある意>>続きを読む

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.4

少なくともキューブリック版「シャイニング」を観てから臨むべきなのは、議論の余地がない。終盤に関しては、あぁあそこもここも、出るわ出るわの再現オンパレード。一方で、シャイニングの能力をフル活用するあたり>>続きを読む

あの夜、マイアミで(2020年製作の映画)

3.1

全然部屋から出ないなあ……と思ったらやっぱり舞台がベースだった。純粋にマイアミでのワン・ナイトが映画になりました、といった具合でそこが見所なのだから仕方ないのだけど、映画だからこそ!というような表現の>>続きを読む

私というパズル(2020年製作の映画)

3.7

自分の一部を失ったひとりの女性。出産が成功して完成するはずだったパズルの、最後のピースは永遠に喪われ、空虚な日々が始まる。なかなかズドンと重い物語だった。

そんな主人公と、彼女を励まし守ろうとする母
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あの頃。(2021年製作の映画)

3.5

松浦亜弥のPV観てなんであんなにボロボロ泣いたのか、何が良くて沼にハマったのかはどうでもいい。とにかくそれでヲタ活が始まって出会えた仲間がいたってことが重要なのだろう。後半は思いもよらぬ展開でハロプロ>>続きを読む

浮草(1959年製作の映画)

3.9

おやっさんが年下の女性たちを「アホタレ!このアマ!」と罵倒し尽くし、バッチンバッチン叩く。テンプレ的な頑固親父は、今ならコンプラ的に炎上必至だろう。

だがしかし一方で、溢れるおやっさんの情愛。ラスト
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パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)

3.5

裸一貫で起こす革命。フレデリック・ワイズマンのニューヨーク公共図書館のドキュメンタリー観た時も、職業・所得・境遇に関係なく全ての市民に開かれた「知の殿堂」としての図書館の威厳を感じたものだが、これもま>>続きを読む

在りし日の歌(2019年製作の映画)

4.1

So Long, My Son

やっぱり3時間超えはさすがにSo Long、ってそう意味ではない。

長かったね、シンシン

忌まわしき一人っ子政策に翻弄されながらも、たった一人の息子シンシンを愛し
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ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)

3.2

伝記映画というには、なかなか異色。子役時代と亡くなる間際の日々のみを行ったり来たりする、とても断片的な構成だ。

それにしてもゼルウィガー、よく頑張っておられた。「シカゴ」で飛び跳ねてた頃の若さがここ
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テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018年製作の映画)

2.5

好きな人には申し訳ないが、テリー・ギリアムの映画に今まで一度も感銘を受けたことのない自分がなぜわざわざこれを選んで観たのかはよく説明できない。時間かけてようやく完成したっていうことらしいし、一応観てみ>>続きを読む

マ・レイニーのブラックボトム(2020年製作の映画)

3.0

ドアを突き破った先は行き止まり、高い壁が立ちはだかって外へは抜け出せない。それがアメリカの直面する現実。とはいえ、、

そろそろ「BLM映画」などという呼称が一般化しそうなほど、この手の映画が次々に生
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.0

エンドロールで「NPO法人なんとかなる」という名前が流れてきたので、気になってググってしまった。ホームページには「人生は何度倒れても必ず立ち直ることができる、過去のことばかり振り返るのではなく前を向い>>続きを読む

象は静かに座っている(2018年製作の映画)

3.5

主要人物4人の群像劇に4時間かけたとしても、1人引いて3時間にしたとしても、たいして違いはわからない。この世は腐っている、みたいな台詞言わせる映画を作って監督が自ら死んでしまうなんて、マジで笑えないし>>続きを読む