ピロシキさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

ピロシキ

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タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

4.7

観てしばらく放置していました。いまだにこの作品のことを考えると、しばし放心状態になります。もはや好き嫌いという尺度を超えて、「称賛せざるを得ない」レベルに達している稀有な作品であることに、疑いの余地は>>続きを読む

ルース・エドガー(2019年製作の映画)

3.7

周り: 君は優秀なんだよ、周りの模範になるような存在なんだよ!

青年: そうだ、僕は優秀なんだ、周りの模範になるような存在なのだ!

先生: いや別にそんな大したことないし。てか論文見たけど、あんた
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コロンバス(2017年製作の映画)

3.7

小津安二郎作品の脚本家「野田高梧」から取られた「コゴナダ」という監督の名前。無国籍な響きだと思ったら、オリジナルは日本語だった。

名前同様、撮り方もたぶん、どことなく小津っぽい。何より「親を気にして
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幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

3.7

アメリカ国民にとって、国民的MCフレッド・ロジャースの赤いカーディガンは、我々にとってのタモさんのサングラスのようなものか。それだけ「当たり前」のものとして浸透しているのであれば、それを国民的役者トム>>続きを読む

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)

4.0

「桐島、部活やめるってよ」みたいに、登場人物ごとに章を分けて少しずつ群像劇が動いていくスタイル。ただしこちらは圧倒的にポジティブな熱量、まさしく「小寺、部活やりすぎだってば」状態。きらきらすぎて爽やか>>続きを読む

レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

2.6

若いフレッシュな役者がニューヨークの街並みをウロウロしてるってだけでなんとなくキラキラした雰囲気は出てるけど「85歳のおじいさんが作ったファンタジー」と聞けば吹き出しそうになる。もう良くも悪くも超ウデ>>続きを読む

丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935年製作の映画)

4.4

片手で刀振り回して、悪党を成敗する瞬間には
「坊や、目つぶっていな。目を、開けるんじゃねえぞ」

というわけで、お子様も安心してご覧いただけるあったかいヒューマン・ドラマ。たまにクスッと、だいたいはド
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ムーラン(1998年製作の映画)

3.5

クリースティーナ・アギレラが青春どまんなかの僕にとって、Reflectionをムーランが唄い始めた瞬間「いやお前が唄うんかい!」とデカめにツッコんでしまったのは、きわめて自然な反応。じゃディズニー・マ>>続きを読む

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.6

ピクサー、だいぶ「ゾーン」に入っておられる。アニメーションの技術的進化によって、映像美はマジハンパねえ次元に達している。トイストーリー4もじゅうぶんにすさまじかったが、そこからまたさらに。ニューヨーク>>続きを読む

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020年製作の映画)

4.4

劇場だからこそより一層、作画の美しさには目を見張るものがあった。石畳に打ち付ける雨なんてほぼ実写並みの描写力で焦る。

「連絡手段」としての手紙は廃れて、しだいに電話に取って代わられる運命が暗示される
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CURE キュア(1997年製作の映画)

4.1

1997年は、ミヒャエル・ハネケが『ファニーゲーム』を発表して「何がファニーだ」と総ツッコミを食らった年。しかし日本の黒沢清も、負けず劣らず相当ブッとんだ映画を生み出していたのだな。これが『CURE』>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年製作の映画)

4.2

初見は大学生のときで、社会人になってから今日初めて劇場で観直してみたら、ミサトさんと加持さんが飲み屋でクダ巻いて「せっかく再会したのに結局仕事の話かよ」「シンジくんたちも頑張ってるんだからさ」みたいな>>続きを読む

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

3.9

ひょんなことからこのタイミングで観始めたら止まらなくなってしまった。最初の20分ぐらいのカージャックのくだりだけでもじゅうぶん一つの作品にできそうな濃厚さなのに、そっから原爆作るて!?って感じです。k>>続きを読む

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

4.0

ひょんなことからこのタイミングで観始めたら止まらなくなってしまった。てゆうかすんなりラジオ流して終わった、って本気で思ってた。すいません。これが、75年前の実話なのか。人の命を奪うところだけではなく、>>続きを読む

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

4.0

うる星やつら劇場版2作目がなにやら日本映画史に残る名作であるとの情報をどこかで聞きつけてしまい、試しに観てみたらこれはたしかに凄かった。発想も作画も音楽も何もかもがやばい。「あんまりソワソワしないで」>>続きを読む

ブラック アンド ブルー(2019年製作の映画)

3.8

ブラック アンド ブルー と言いながら、レンタル専用のDVDは思いっきり赤色で、「レッドやん!」という独り言が部屋にこだました。2020年代には、もうこういう映画がストリーミングでも劇場でも溢れすぎる>>続きを読む

ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

3.6

「2時間40分という長尺は、全くもって必然だ」と無理矢理納得させるような、製作者側のブルータルなジャスティスを感じた。初っ端のモザイクのシーンは、たしかに全く必然ではないかもしれない。モッッサリしてい>>続きを読む

ハッピー・オールド・イヤー(2019年製作の映画)

4.1

この映画、「断捨離ムービー」という肩書きが付いたとしても、別にミニマリズムを肯定も否定もしていない。とはいえ、断捨離を趣味にしながら今日まで生きてきた自分にとって、なかなか刺さる物語ではあった。部屋が>>続きを読む

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.6

構図も光も計算ずくのショットの数々、洗練された台詞の数々、そしてそれを補う演者たちが見せる表情の数々。しかしなによりも、エンドロールの瞬間にひっくり返りそうになってしまったのは、音楽の巧みさであった。>>続きを読む

ホモ・サピエンスの涙(2019年製作の映画)

3.5

「散歩する惑星」を初めて観た時は、たまんねぇなおいとゾックゾクしたもんだが、さすがにそのスタイルが4回目となれば「またかよ」「出涸らしが」ともなってしまいかねないリスクは、ある。好きな人は熱狂し、嫌い>>続きを読む

Mank/マンク(2020年製作の映画)

3.5

あのドナルド・トランプも大好きな、オーソン・ウェルズによるザ・名作「市民ケーン」を観直してから、一応マンを持して臨んだつもりだったけどなあ。(シャロン・テート殺害事件について知っておいた方が「ワンスア>>続きを読む

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

3.2

後半60分ワンカットのアイデアとその構図と映像美に加えて、そこにただよう程よい緊張感があったことは認めるが、最後まで観て今年一大きな「で?」が漏れた

劇場で観てたらイビキかいてたと思う
家で観るのも
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天使/L’ANGE デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

4.5

一人でこっそりイメージ・フォーラムまで観に来るにはピッタリの前衛藝術。「難解」といわれても、私の理解の範疇はとっくに超えているので、もはや「不可解」である。天井から吊るされた人形、牛乳の入った壺、浴室>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

4.0

戦争映画と思いきや、実情は旦那と妻のラブ・ゲーム。と思いきや、あるはずのラブの実体もよくわからないまま、物語は展開していく。妻を突き動かしたのは、旦那への愛よりも、円満な一組の夫婦としての形をなんとか>>続きを読む

緋色の街/スカーレット・ストリート(1945年製作の映画)

3.9

「好きだよ、もう嫁とも別れた。結婚してくれ」
「え、きも 無理っすw てか死ねジジイ!」

という容赦のなさ。それだけではない。皆んな嘘ばっかついて引っ込み付かなくなってしまっている。そして物語は確実
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オアシス(2002年製作の映画)

4.4

踊り子と象と少年、接吻する男女。このイメージだけではどんな話か1ミリも伝わらなかったけど、全てを見た今もう一度見返すと、温かい気持ちになる。これこそがまさしく、二人にしか見えないオアシス。君を怖がらせ>>続きを読む

エスター(2009年製作の映画)

3.7

ものすごい偏見なのだけど、なんか大学生とか専門学校生が宅飲みで集まって「怖いやつ観ようぜ」みたいな悪ノリで安易に選ばれがちな、「みんなのエスター」的な市民権を得てしまっていたように感じられて、長らく敬>>続きを読む

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -(2019年製作の映画)

3.9

アニメ版の幕切れが100点すぎてもう外伝なんていらないッて思ってたけど、まんまと泣いた。

若干の百合要素は個人的に必要性を感じなかったけども、なにはともあれ劇場版への御膳立てはこれでバッチリである。
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大学は出たけれど(1929年製作の映画)

3.6

ミュートでオヅ

本当は70分あったらしいが、現存するフィルムは11分ということで、解説入れながらもちゃんと起承転結見せてくる。あらゆる長編映画も、全部11分にできそうな可能性すら感じる。

家族なの
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ビースト・オブ・ノー・ネーション(2015年製作の映画)

3.2

目の前で家族を失い、一人になってしまった少年が内戦下で生き延びるには、彼自身が兵士になるしかなかった。

PTSD不可避の壮絶な戦場体験が、少年から無邪気さを奪っていたことがわかるラストシーンは良かっ
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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

3.5

ひょんなことから、公開後3日間のうちに劇場で観た342万493人のうちの1人になった。繁華街を避けたつもりではあったが、それでも劇場はかなりの熱気だった。幸いなことに、5分おきに携帯見たり動画撮りだす>>続きを読む

陽炎座(1981年製作の映画)

4.0

金髪の女を乗せて爆走する舟
崩れ落ちる舞台
水面を覆い隠す大量のほおずき

PCのスクリーンセイバーにしたい映像美の畳み掛け、実際のところは松田優作が大楠道代を追いかけてRomanticが止まらないっ
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シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

3.9

Netflixの映画を劇場で観るメリット
 音響
 スクリーン
 臨場感
 エンドロールが始まった瞬間全然興味ない映画を「次はこちら」とサジェストされて腹が立たない

たまにNetflixがむちゃくち
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生きちゃった(2020年製作の映画)

2.0

いちばんの見せ場は予告でほぼ全て出尽くしている。あとはそこに至るまでの出涸らしのような90分をひたすら耐え忍ぶ。というのが率直な印象でした。なんというか、うーん、まあいいや、俺日本人やから、あんまり言>>続きを読む

ヴィタリナ(2019年製作の映画)

3.7

現時点で、作品にありつけるチャンスの恐ろしく乏しいペドロ・コスタ。前作、というか姉妹作らしい「ホース・マネー」は観ていない。観たところで多少理解が深まる程度なのだろうけど、またいずれ後追いできる日を楽>>続きを読む

お引越し(1993年製作の映画)

4.4

離婚の話と聞いて「なるほど。こりゃ今となっては、相米慎二版マリッジ・ストーリー」などとヌカして大変失敬。これは両親の離婚に対する少女の戸惑いと成長についての物語、視点がまるで違う…!

「なんで生んだ
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