何にも言葉では語らない。暗闇で小刀が光るだけで、紙風船が地面へ落ちて転がるだけで、それだけでじゅうぶんに伝わる、ああこれは悲劇なのだ、と。
大雨のシーンが綺麗すぎて驚く
1980年のカンヌ・パルムドールを「オール・ザット・ジャズ」と分け合った黒澤明の「影武者」。当時すでに世界的に確立されていたクロサワブランドに対しての評価だったのではと、思わざるを得ない。正直娯楽作品>>続きを読む
長いし汚いしまた時代劇だし三船はここでも絶対ヒーローだし、これだけ黒澤明観まくってると真新しさをさほど感じなくなってしまうものなのか、、と前半は少しボンヤリしながら眺めてしまったが、後半で一転、バキッ>>続きを読む
誰が何と言おうと、名作の部類には入ると思う。このたび約10年ぶりに見返して、それはそれは沁みた。
誰しも死を目前にすれば、残りの人生を悔いなく過ごしたいと思うことだろう。そんな主人公が、空虚な日々か>>続きを読む
2部構成でさすがに信じられないほど長いが、吹雪のシーンとか川流れのシーンあたりのヘルツォーク並みに過酷な映像、そして第2部からどんどん悲惨な方向へ進むストーリーに引き込まれ、全然観られた。デルス、ウザ>>続きを読む
えー。。
親族全員集まって絆深め合っていいなあ家族っていいなあ的なのを勝手に想像していた。実際はビッシバッシとあまりに容赦ない。なおかつ別に大して面白くはない。この内容で3時間を前提に考えるなよと編>>続きを読む
戦時中に製作、終戦後に完成、って時点で色々ヤバすぎる。しかも戦争プロパガンダでもなんでもなく、ただただエンターテインメントで、これまたヤバい。源義経ご一行が山伏に扮装して関所を越える、というだけのもの>>続きを読む
UAが言うところの「ドンズバ」の世代ではない。その声や音や言葉には触れてきたつもりでいたが、この映画によってようやくフィッシュマンズをちゃんと知る機会を与えられたという実感がある。孤独ではなく、孤高。>>続きを読む
アカデミー脚本賞作品。フェミニズム剥き出し?と初めは乗り切れないでいたが、後半からの華麗な巻き返し。伏線回収、という表現はあまり好きではないのだけれど、冒頭からたくさん浮かんだ「?」はちゃんと「!」に>>続きを読む
ロックミュージシャンのドキュメンタリー映画のようなイメージは、激しいドラムパフォーマンスの冒頭から程なくしてあっさりと覆る。ものっっっすごい繊細な作品である。
くぐもった生活音、人工内耳のシャリシャ>>続きを読む
ジャケというかイメージ写真というか、これが、よい。向き合っているが見つめ合ってはいない新米刑事とベテラン刑事、その足下にしゃがみこむ虚ろな表情の若い女。
手錠をかけられた人間が倒れ込んだまま アァァ>>続きを読む
黒澤明最後のモノクロ作品かつ最後の三船敏郎出演作品。三船を撮り尽くしてしまった、とまで言われた「赤ひげ」は、その有終の美を飾るに相応しい超大作、いや、のけぞるほどの大傑作でござった。
のちに巨匠とよ>>続きを読む
前作の直後という設定なのに、長男くんがわりと大きく育っちゃったことには目をつぶるしかない。階段のクギも「あれ、前こんなに出てたっけ」ってぐらい伸びてた気がするけど、それは単に気のせい。しかし今回は、そ>>続きを読む
姉貴に嘘ついて逃げ回って夜な夜な遊び呆けて、挙げ句の果てには若いチャンネーと川に飛び込んで心中未遂し、自分だけ生き残ってケロッとウチに帰ってくるヒロ太郎のクズっぷりが、「疾走」のラストカットへ向けてグ>>続きを読む
世界の黒澤、もはや無双状態。スティーブン・スピルバーグが金貸してくれて、マーティン・スコセッシが体貸してくれるなんて、それだけでじゅうぶん「夢」じゃないか。寺尾聰が雪山から火山まで走り回ったり、いかり>>続きを読む
原節子が田植えを始めたあたりから、いつこちらを向いて「タラ…」と言い出すのかヒヤヒヤするぐらい、めちゃくちゃ風と共に去りぬだった。小津映画に慣れすぎていると、こんなにも動き回っている原節子の姿はなかな>>続きを読む
オナゴの姿を見つけてしまって気まずい敵兄弟の長男が「人力車の幌を下ろしてくれないか」と三四郎に頼むシーンがエモかった。とはいえ、それ以外は……まるで「ロッキー」から一気に「ロッキー5」までスキップした>>続きを読む
豪快に投げ飛ばされる志村喬。
当時の日本人がこれを観て熱狂していたのであれば、こんなに微笑ましく、喜ばしいことはない。声が出かかるほど激しい映像のダイナミズムと、ときに愚直なまでにエモいヒューマニズ>>続きを読む
シューベルトの野ばらをソラで唄い、初対面のアメリカ人をジョン・ウェインに喩える、屈託のない子どもたち…。いかにも「老人が書いた」脚本といった印象で、古臭さと説教臭さが目立ち、瑞々しさは感じられない。む>>続きを読む
オシャレというより、ハイカラというほうがこの時代には即しているのかもしれぬ。アンディー・ウォーホル印の激烈なオープニングから何やら只ならぬエネルギーを放ち、最後までそれが途切れることはない。巨大な製菓>>続きを読む
5年経ったけど、夫とは一度も離れたことないんだ。彼が言うんです、愛し合ってるならずっと一緒にいるべきだって。
そう。5年経ったのに、夫と離れたのはこれが初めて。一度も離れてこなかった。彼がね、お互い>>続きを読む
タイトルの出るタイミングと、
趣味の悪いウエディングケーキ
冒頭のやたら長い挙式のシーン。どうやらこれに影響を受けたコッポラが「ゴッドファーザー」で結婚式のシーンを最初に入れたとかなんとかで、古典映>>続きを読む
時代劇っていうか西部劇、ピストル使ってもうてるし。最後の40分ぐらいから右肩上がりでエンタメ要素強くなってくる。血生臭い内輪揉めを高みからあぐらかいて見物する三船敏郎、てかいや、時代劇っていうか三船の>>続きを読む
原作は知らなかった。映画界の重鎮を祖父に持ち、英才教育を経て自然と業界で名を馳せるようになったサラブレッドのポンポさんよりも、映画が大好きなのはむしろジーンくんのほうだったりしてる。そんな無名の彼が、>>続きを読む
冒頭から煽るブラックのシンデレラ城、監督は「アイ、トーニャ」の人というわけで、スケートリンクの上を動き回っていたあのグワングワンのカメラワークは、ここでも発揮されている。アイトーニャのほうはドギツめの>>続きを読む
デイヴィッド・バーン本人は自分自身のことを「こんな"中年の白人男性"を」と言った。そんな中年の白人男性アーティストのライブパフォーマンスを映画にしたのは、スパイク・リーだった。それを証明するかのように>>続きを読む
原水爆の恐怖は、街を破壊して焼き尽くすだけではない。被曝の恐怖に怯えて周囲を振り回す男と、彼を精神科へ送り込んで沈黙させようとする家族たち。果たして異常なのはどちらなのでしょうか。
虚しいラストカッ>>続きを読む
巨匠の自伝的作品であると聞いて、ヘロインでキマるのはさすがにマズイだろうと心配になっていたが、やっぱりそのへんはちゃんとフィクションだったみたいで安心。
栄光の裏に痛みあり、痛みの裏に栄光あり。当事>>続きを読む
黒澤明、半世紀にわたる監督人生の集大成は、猫を探すおじいさんの話だった。どいつもこいつもゲラすぎる教え子たちと、あんなに多量のビールを一気飲みしてもなかなかくたばらない強肝臓の先生とのやり取り。正直、>>続きを読む
ほぼ室内劇。室といっても穴だらけのあばら屋。物語の鍵を握る左ボクゼンが「助けてパパーヤー」といつ言い出してもおかしくないレベルで劣悪な生活環境。どん底からのどんな飛躍があるのかと思いきや最後の最後まで>>続きを読む
ヤクザの世界は、浮世離れしすぎている。北野武の映画にあんまりのめり込めないでいたのも、それが理由だったりする。しかし「キッズ・リターン」は、個人的には別次元だった。エモくてしかたない。指が減ろうが刺青>>続きを読む
ゴシツプ、パパラツチ、スキヤンダル、アラヤダ、ハレンチネエ
1950年の日本人にとってなかなか先鋭的なトピックだったのかもしれない。黒澤明は、やはり昭和という時代を先駆けて、草を分け続けた存在だった>>続きを読む
治らない結核、汚れたドブ川
三船敏郎との名コンビはここから産声をあげた。まるで欲望という名の電車の中のマーロン・ブランドのような、無骨で粗野な三船敏郎、爆誕である。
これ、黒澤明がメンタル最悪の時に撮った映画なのですね。新世紀エヴァンゲリオンの最終話ちょっと前の空気すら感じる。まな板の上に食材バアーッと広げて、一個一個に味付けだけして調理せず終わる感じ。本当に欲し>>続きを読む
感動作。その宣伝文句を鵜呑みにしてはなるまい。切実さ、容赦のなさは、今年のオスカー作品『ノマドランド』に何倍も、何十倍も勝る。
誰の身にも起こりうる認知症。古いCDが音飛びを繰り返すように、記憶は幾>>続きを読む
国のために、涙を流して働く。
それが、オンナのカガミ!
こんな映画作れるのは戦時中の日本か現代の北朝鮮ぐらいなもんで、テーマ的にはやっぱり観るに堪えない。それでもとりあえず、なんとなく最後まで観届け>>続きを読む