百合さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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ザ・フォーリナー/復讐者(2017年製作の映画)

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移民大国イギリスという感じで警視も有色人種ならば主人公も中国人という仕掛けで、しかし実はメッチャ強いこの主人公がこうまでスルスルと動けるのは一見老いぼれたアジア人にすぎないからであり、現代イギリスの構>>続きを読む

スノー・ロワイヤル(2019年製作の映画)

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『ファイテング・ダディ 怒りの除雪車』というノルウェー映画のリメイク。こちらではマフィア役をブルーノ・ガンツがつとめている。
キャッチコピーにもあったが特段除雪車が悪役を文字通り一掃するといった描写は
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さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)

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遊女に捨てられた細面の美少年が女形として大成し、そのパートナーとともに全盛をむかえるが破綻、時の権力者のそばでそれでも器用に生きる女形と落ちぶれる相手、再会…といった、「芸能界バディもの」の典型をいく>>続きを読む

シークレット・サンシャイン(2007年製作の映画)

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宗教的ハイにまかせて刑務所へ向かうまでは本当に苦痛な作品。独特の辛抱強さが求められる。そもそも子どもを抱えて夫を事故で亡くしている時点で悲劇的なのだが母親の愚かさだけで子どもを殺す展開は必要なのか?と>>続きを読む

パプリカ(2006年製作の映画)

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終盤にとってつけられたような恋愛要素は必要だったのか?と思いつつ、光と闇、夢と現、男と女(のみならずもう一人の自分)といった二項対立を原則として持つ世界だから道理ではあるのかもしれません。
失った映画
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ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)

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終盤までの七面倒臭い会話劇にもなっていない言葉の応酬には実はうんざりしていたがラストで納得させられた。この映画では男性も女性も本当によくしゃべるし声がでかいのだが、それは対話とよべるものではまったくな>>続きを読む

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

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映画というものに自己言及しているのがユニークだった。冒頭もそうだが、kkkの市民権を復活させたのはグリフィスだというくだりも、映画作品のなかで再度指摘されると奇妙な感覚になる。フィクションの力を信じて>>続きを読む

天気の子(2019年製作の映画)

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セカイ系とは「きみとぼくの関係が世界の命運に直結するというような物語」ということができる。往々にして世界の命運を握るのは少女であり、主人公の少年は少女か世界かの二者択一をせまられることになるのだが、世>>続きを読む

オーヴァーロード(2018年製作の映画)

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わりと大胆な歴史改変モノ。ナチスは占領したフランスのある村のタールから不思議な血清を作り出すことに成功し現地の人間をゾンビに変えていた…という悪趣味な小学生の夢のようなストーリーであり、時間としてはノ>>続きを読む

ハンターキラー 潜航せよ(2018年製作の映画)

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海中と陸上(と本国)で別々に進行するプロットを混乱しないようにまとめてあり見やすくてよい。また規律が徹底されている潜水艦の中と実力主義の荒くれ者の集まりの特殊部隊という対比が心地よいリズムを生んでいる>>続きを読む

暗殺の森(1970年製作の映画)

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好色で陽気なフィアンセ、心を病んだ父親、淫乱の母親、盲目の同性の友人。もはやファシストの護衛が一番マトモに感じられる異常な状況でいちばんオカシイのは主人公。「みんなと同じ」になりたい主人公はしかしダン>>続きを読む

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

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天使は身体を持たない

わたしたちはまだ身体性を超越した在り方を経験したことがないので、あらゆる芸術は身体性と向き合って、それをいかに克服するかという視点で発展してきた。メルロポンティは、画家は身体を
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天国でまた会おう(2017年製作の映画)

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うつろというあり方

不思議な感覚になる作品。それは仮面の芸術家エドゥアールの意図や心理描写がなされていないからであり、声も表情も失った空虚な主人公の周りでさまざまなキャラクターたちが右往左往する。
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劇場版 幼女戦記(2019年製作の映画)

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ターニャ、戦争する

この作品の突出したところは主人公の特異さにある。中身はおじさんの可憐な幼女という設定は最早いかにもなのだがなによりも他と違うところはその行動原理だ。現代社会の合理主義を信奉する主
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ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)

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横移動と縦移動の世界
小さな二階建ての家をあえて横移動で見せてしまう監督の技量には舌を巻く。以下、冷たい少女の家庭、異常な里親から与えられる少年の二段ベッドや横一列に整然と並んだボーイスカウトのテント
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ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)

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インナーチャイルド

音楽が素晴らしい。タイトルの演出もおしゃれ。近視眼的な撮り方で早々に観客を窒息させ、説明なしに主人公に引きずり込む手腕が見事。
『サイコ』が引用されるように、(そして『少年は残酷
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アメリカン・グラフィティ(1973年製作の映画)

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アメリカングラフィティがアメリカングラフィティ以前の曲をすべてオールディーズにしてしまった。
クルマというのは自由の象徴、というか移動していることを正当な空間に変えてくれる奇妙な装置で、けれど暴走をや
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17歳のカルテ(1999年製作の映画)

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悪趣味邦題シリーズ

主人公は18歳。些末な問題だけども。
ウーマンリブや反戦運動が盛り上がっていた60年代アメリカ、価値観は転倒しロールモデルは混濁した時代で、ベビーブーマー達はみな少なからず恐れや
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グランドフィナーレ(2015年製作の映画)

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2回目。何度見てもきれい。
言葉を通して理解することを怠ってきた老指揮者はもはや言葉の届かなくなってしまった妻へのわだかまりを解消できない。しかし彼が取るのは言葉でのやり取りではなく肉体での接触や‘
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愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像(1998年製作の映画)

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画家自身の絵を映像にするという難しい試みにも成功しているように思う。小説的な間の取り方もいい。
ベイコンはじめスノッブ連中になじめないのに犬のようにどこにでも付いて行くダイアー。それを了解して足早に駆
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シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

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色彩が綺麗。方々で聞いたことのあるI’ll wait for you は名曲すぎて条件反射的に揺さぶられるものがある。周りの登場人物たちの人称性を徹底的に排してるのもいい。世界は恋をする2人のためにあ>>続きを読む