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罪と悪のragaのレビュー・感想・評価

罪と悪(2024年製作の映画)
2.5
「ミスティック・リバー」を想起させる物語内容はまだしも、肝心の真相を全て説明的台詞によって仕上げてしまう脚本に難がある。この閉鎖的なムラ社会を忌み嫌う少年たちの思惑はどのような将来を目指していくのか、そこに刺さりこむべき主題があまりに浅薄なのでもどかしい。罪を被った春(高良健吾)は何故彼に立ちはだかる人びとの生命を軽視してしまうのか。彼が守る家族や仲間、そして旧友の集団意識こそ忌み嫌ったムラ社会の核心ではないだろうか。暴力でしか対処できない悲運を被害者意識でおさめようとするラストには違和感を感じてしまう。要は刑事となったアキラの視点で終始描くべきだったのだ。良い場面としては、小林少年を追いかけるアキラの疾走、アキラの上司・佐藤(椎名桔平)の食べっぷり、どちらも今作が初となる齊藤勇起監督ではなく、スタッフや演者の手腕だと推測してしまう。次回作に期待する。
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