コロナ禍というリアルタイムで様々な障壁に当たる飲食業界を背景に「ザ・ベア」で働く人びとの衝突が展開する。前シーズンよりも深く描かれる群像は退屈しないが、主人公カーミーのこだわりがそれほど魅力的でなくな>>続きを読む
消したい過去と消せない過去、前者は隠蔽・後者は義憤へとつながる。そこに寛容や和解はないのか。一度できた溝は易々と修復できない。それは善悪ではない、感情という制御できない心の動きが絶えず悔恨し乗り越えよ>>続きを読む
運命は必然か偶然か。脚本・監督のアレックス・ガーランドはこの哲学的思考と禅問答のはざまで科学的見地を投じる。では、科学のために人命の犠牲は肯定されるのか、この暴論に賛同しかねる。主導者の私情をはさんだ>>続きを読む
現実は理想になかなか近づけない。これはたどり着けない絶望なのか、必ずや歩み寄れると心に抱く希望なのか。儘ならぬ日々はそんな苦悩をよそに流れていく。本来ならば、そこに "怒り" や "嫌悪" という負の>>続きを読む
今シーズンは新規店舗開業までのタイムリミットという要素を加えた物語構成で盛り上がっていく。群像劇として一人ひとりの心情を深掘りしていく様は最終話のチームワークに成就する。そこで起きる "ボタンの掛け違>>続きを読む
人生における転換期は様々な偶然やモチベーションの向上によって巡ってくる。舞台となるレストランで働く人びとの群像はまさにその瞬間をクライマックスに持ってくる。彼らはそれぞれの思惑に交錯、すれ違いが起きる>>続きを読む
壮大な戦国絵巻として太閤の跡取り問題が迷走する中で、漂流してきた英国人が異国の言語や風習をどのように受け止めていくのか、そしてこの時代における死生観の是非を主題としていく。ただ主人公の按針や虎永の心情>>続きを読む
推理ミステリーとして序盤から不穏な感覚に陥る。その脚本、大丈夫か?その疑念は最終話見事に的中する。そう、真犯人がわかってもモヤモヤは残る。ツッコミどころ満載なのだ。全然エレガントじゃない結末に憤る。ゾ>>続きを読む
岩明均原作「寄生獣」から着想を得た全く異なる物語。ベースは原作コミックや「デビルマン」等のプロットが活かされているのだが、登場人物の造形が浅薄だし肝心のバトルもパワー対決に終始する趣向の乏しさが目立つ>>続きを読む
犯人探しのミステリーかと思いきや、家族の群像がテーマとなっていき、クライマックスはそれぞれの再生が描かれる。それにしてもあのドレッドの黒人兄ちゃんは一体何者なのか、釈然としないまま姿を消してしまう。そ>>続きを読む
極北の集落で起きた不可解な事件。オカルト要素満点なので、これって都市伝説的なオチにしちゃうとミステリーとしてどうよ?と思いきや、しっかり事件解明へと誘っていく構成が巧い。裏に潜むのが超常現象ではなく俗>>続きを読む
法廷ドラマとして意外性に乏しい展開なので終盤の盛り上がらない顛末に “それってうっすら分かってたよ” とツッコミたくなる。そうではなく、被害者が実は加害者だった、という社会の理不尽を主題にすれば、主人>>続きを読む
クライマックスにおける未確認生命体とのコンタクト場面は「未知との遭遇」「メッセージ」に並ぶ高揚感があるのだが、そこに至るエピソードの弱さが否めない。サブストーリーにもっと交錯させる要素を加味すれば、良>>続きを読む
相手のウソを見抜ける能力がある女性チャーリーが友人の死の真相を探っていく果てに追われる運命になるロードムービー形式のミステリードラマ。各話完結する事件は、冒頭から犯人を視聴者に明らかにした上でチャーリ>>続きを読む
外国人記者から見た日本という閉鎖社会を捉える主題は良い。それが前半のガイジン差別であったり、警察広報の域を出ない新聞社デスクの指針が、主人公ジェイク(アンセル・エルゴート)の憤る日々を通して、日本とい>>続きを読む
私たちは社会的な分断や差別とは無関係に日常を謳歌する。些細な言動によって喜怒哀楽の感情を伴いながらもコミュニケーションを育む。大切なのは、マジョリティ・マイノリティ共に偏見を排除できるか、その先にある>>続きを読む
鎮痛薬オキシコンチンによる被害は中毒による死や犯罪へと拡大していく。被害者であるはずの利用者を薬漬けになったメンタルが弱い加害者だと退けて拝金主義へと邁進する製薬会社パーデューの経営者と販売員、そこに>>続きを読む
着眼点はいいんだけど、毎話ひねりが無いので物語に深みが乏しい。スパイ稼業の主人公にある二面性を描くならば、周囲の人びとの二面性もドラマとして捉えていくべきであろう。危険なミッション同様謎のままスルーし>>続きを読む
ダイアナ妃に対するイギリス王室の冷遇は自尊心の歪さや妬みからくる無関心の果てに悲劇へと転がっていく。誰が悪いという責任追及は問題の核心を射抜いていない。王室の人びともまた悔恨や苦悩する、主軸となるエリ>>続きを読む
もったいつけた物語は、登場人物の心情のゆくえを時折見失ってしまうので、何を目的としているのか判然としないまま進行する。ほとんど一人芝居のように語られるので互いの感情の衝突がなく、起伏しない展開は退屈し>>続きを読む
ハラスメントという弱者への抑圧、真実を伝えるべきマスメディアの沈黙、そこに焦点を当てた今までの経緯からひと段落した今シーズンは企業の合併買収が主軸を担う。となれば、活躍するのは上層部の人びとばかりで現>>続きを読む
原作コミックに忠実なのか否か、未読の私には分からないが、登場人物の行動心理にイマイチ整合性がなくモヤっとする。主人公役の柳楽優弥の演技がすこぶる良い点がこのドラマの見どころだが、ならば物語設定をもっと>>続きを読む
震災をきっかけに知り合ったコミュニティーを舞台にした群像劇は、背景に命の尊厳や人権の大切さをテーマにする構成なのだが、彼らを抑圧するのは行政ではなく民間に丸投げしている仕組みに納得できない。権力の横暴>>続きを読む
利権に走る製薬会社は、本来の理念とは程遠い "人びとの尊厳" を軽視する横暴へと突き進む。鎮痛剤オキシコンチンの悪用や乱用が、過剰摂取による中毒や死に至る不幸をもたらしてしまう。より過剰に摂取するよう>>続きを読む
今シーズンではアーンとペーパーボーイ、そしてダリウスの三人が奔走する絶妙な騒動は希少となる。各話それぞれのソロ活動的な内容になってしまうのは、あまりに人気者になった役者陣の撮影スケジュールが調整できな>>続きを読む
オーストラリアの移民拘留センター内で何が起きているのか、人権を軽視するシステムは弱者にしわ寄せが強いられる。そこには異民族による分断、自由という権利の脆弱性が全ての関係者を疲弊させる。
つかみは良かっ>>続きを読む
様々な映画のワンシーンを彷彿させるオマージュという表現、対象となる作品のリスペクトから血肉となった作り手の再構築へと登り詰めたものは喜ばしい。しかし今作はコラージュ、切って貼っただけの “情報” でし>>続きを読む
主人公・清(一ノ瀬ワタル)、ライバル力士静内、相撲オタク清水(染谷将太)の演技力に引き込まれる相撲を題材にしたドラマ。取組で連勝して慢心の清がドン底に落ちる局面や再起に向けた特訓場面などツボを押さえた>>続きを読む
各事件が前後編に分かれた謎解きミステリーとして面白い。前編で登場した人物の中に真犯人がいるのだが、意外な展開になるのでこちらの推理力も試される。ただ主人公リドリーが共同経営しているジャズバーに時折訪れ>>続きを読む
ゲーム世界を映像化する企画として今作は製作チームの手腕が見事に結実している。謎の寄生菌によってパンデミックに陥った世界はゾンビ映画の系譜を辿るが、そこで感染者とのバトルを繰り広げるサバイバルロードムー>>続きを読む
良い意味でも悪い意味でもアメリカ文学に見受けられる生死にとらわれる悲喜劇が展開するのだが、人間関係の起伏が時折途切れるような違和感があって彼らの悩みにイマイチ寄り添えない。田舎町におけるヒエラルキーを>>続きを読む
リゾート地 “ホワイトロータス” で繰り広げられる群像劇は、もっと人間関係が交錯していくかな、と思いきや、ハメを外すのはホテル側でしかも終始空回り気味で盛り上がってるの?コレ、と興ざめしてしまう。今作>>続きを読む
正義の暴走がエスカレートして友人や元旦那を裏切ったりする主人公エイミーは、よこしまな未来を夢見て社会の変革を求める。結果、変わったのは隣人である同僚や元旦那、そしてエイミー自身だった。大きな舞台に立て>>続きを読む
主人公・ブルムは亡き夫の復讐すべく次々とターゲットを見定めるが、彼女の精神状態にこちらは戸惑ってしまう。彼女はかなり残酷な仕打ちを遂行するのに躊躇わない。過去の出来事にも影響あるのだろうが、そんな私刑>>続きを読む
正義と復讐が混同してしまうと、理想は私利私欲に陥ってしまう。他者はそれに賛同する訳もなく不快な空気が蔓延してしまう。社会運動の無力を焦点に当てるのではなく、主人公・エイミーの自己チューな言動にイデオロ>>続きを読む
ロンドンオリンピックの準備に勤しむ集団は何をやってもポカばかり、そんなイケてない男女が織りなす奮闘がユーモアへと転化するのはイギリスっぽさが詰め込まれている。なにせ小ネタの応酬で映像の隅々まで趣向が凝>>続きを読む