イワシさんの映画レビュー・感想・評価 - 32ページ目

イワシ

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スパイの妻(2020年製作の映画)

3.6

劇中引用される山中貞雄『河内山宗俊』の河原崎長十郎が背中に刀疵を負いつつ死に行くラストは、高橋一生が撮る自主映画で蒼井優が背中に銃弾を受ける瞬間に重なるけど、まさにその映画が上映されたスクリーンに背中>>続きを読む

魔女がいっぱい(2020年製作の映画)

3.2

『パララックス・ビュー』を連想するし、ラストまで観たらこの連想はそんなに間違ってなかった。

キャッスル・フリーク(1995年製作の映画)

4.0

自動車と棺桶という箱型の類似。息子を事故死させたジェフリー・コムズの贖罪のような自己犠牲は、あのとき死んでおけばよかったという彼の望みを叶え、まさにそのように彼を罵ったバーバラ・クランプトンは涙と微笑>>続きを読む

ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

4.5

傑作。『ブルータル・ジャスティス』と『死霊魂』と『La France contre les robots』で今年のベストを争っている。

淡々かつ着々と進み、ユーモアも交え、途中で頭部を粉砕し、行き着
>>続きを読む

ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-(2020年製作の映画)

3.5

過去と現在を行き来する語りは、車で地元に帰りトンネルを通過するという具体的な移動に伴うように描かれる。クライマックスは真夜中のハイウェイを行くガブリエル・バッソに劇中引用された『ターミネーター2』のラ>>続きを読む

トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン(1980年製作の映画)

4.0

アメリカにあるとは思えない古城の精神病院を舞台に実は最も救いを必要としているステイシー・キーチと救いを諦め孤独に苛まれるスコット・ウィンソンとの交流に泣いた。しかし静的で切実なドラマと同じ空間で披露さ>>続きを読む

ガントレット(1977年製作の映画)

4.0

再見。前半でソンドラ・ロックの家が倒壊するほどの銃弾を撃ち込まれるけど、クライマックスのバスへの銃撃は明らかにその倍くらい銃弾が浴びせかけられているのにタイヤには一発も当たらず、ノロノロと、でも着実に>>続きを読む

ジャン=ポール・ベルモンドの 恐怖に襲われた街(1973年製作の映画)

3.5

銃撃戦を交えつつ急角度の屋根を行くシーンはヤバイし、電車の屋根を歩きトンネルが迫ってきたらぺたりと屋根に張り付くスタントもヤバい。ヘリコプターからぶら下がるのはハーネスが着いてるからまだ安心。

ザ・インシデント(2011年製作の映画)

3.8

S・クレイグ・ザラー脚本による精神病院を舞台にしたスリラー映画。病院の食堂でバイトする売れないメタルバンドのメンバーが狂った暴動に巻き込まれるのだが、起こる出来事がザラー的な陰惨さに塗れてる。普通に面>>続きを読む

クリストファー・ウォーケンのアクターズ・ラブ/舞台は恋のキューピット(1982年製作の映画)

4.5

スーザン・サランドンが観客から受け取った花束から一輪を抜き取り、クリストファー・ウォーケンに差し出そうとするもその姿はすでになく、閉じていく幕の前にひとり取り残され茫然とする姿を捉えたそのショットはま>>続きを読む

アクシデント(2009年製作の映画)

4.0

都市とパラノイアと悲劇。陰影の強さはフィルム・ノワールそのものであり基本的に色彩の乏しい画面が続くが、時折トラウマめいた赤い色が現れる。終盤ルイス・クーは『カンバセーション…盗聴…』めいた監視部屋を掃>>続きを読む

クレイジー・ママ(1975年製作の映画)

3.5

ロックンロールをお供に連れた一家総出の拳銃旅の楽しいこと!銃撃戦を繰り広げたあとの警官からの逃亡劇は前作に引き続き、横移動の気持ち良さと今作から取り入れられた手持ちカメラの躍動感も合わさって、活劇作家>>続きを読む

女刑務所・白昼の暴動(1974年製作の映画)

3.5

カットバックのキレの良さ。人質をとり脱獄しようとする囚人に向かって銃を撃つこの縦構図のショットは余りにもカッコいい。イーストウッド『チェンジリング』の精神病院を思わせる治療=虐待もあるが、ダブルブッキ>>続きを読む

雨に唄えば(1952年製作の映画)

3.5

再見。劇中のサイレント映画はダグラス・フェアバンクスへのオマージュなのかな。

平原の待伏せ(1953年製作の映画)

4.0

臆病者、脱走兵と罵られたグレン・フォードが名誉の回復など無視して行動していくのがB級映画的。幌馬車隊の指揮を任されたあとの怒涛の活劇が素晴らしい。馬車は走り馬は走り、『女群西部へ!』もかくやな女と老婆>>続きを読む

バスター・キートン物語(1957年製作の映画)

3.5

キートン本人監修の伝記映画。主演はドナルド・オコナー。『雨に唄えば』よろしくトーキーの到来がキャリア衰退を招くのだが、いざトーキーに挑戦したときの描写があまりにキツい。ピーター・ローレ扮する監督に「動>>続きを読む

とんかつDJアゲ太郎(2020年製作の映画)

3.5

DJととんかつの本質を同一視する脚本は北村匠海を歩かせ、とんかつ屋からクラブへ向かわせる。伊勢谷友介を仲介者として北村匠海の越境する過程を丁寧に描いていたが、煌びやかな向こう側の象徴だった山本舞香のこ>>続きを読む

ジオラマボーイ・パノラマガール(2020年製作の映画)

3.5

血を見ることで始まる恋。鈴木仁の血に塗れた顔を見下ろした瞬間、山田杏奈の背後の空で稲光が瞬き、エドワード・ヤンめいた初恋の瞬間が切り取られる。血のついた顔を見る視線はクライマックスで反転し、夜の雷光は>>続きを読む

ゴルゴ13(1983年製作の映画)

4.5

いわゆる「ぬるぬる動く」アニメーションとは対極にある。鏡面、銃弾の主観、引き延ばされ、そして一瞬になる運動。どれもこれもが「演出」。

未来警察(1985年製作の映画)

3.0

トム・セレックの高所恐怖症は『めまい』由来であることをショットでも説明する律儀さ。銃弾視点のショットは出崎『ゴルゴ13』を直接想起するが、小型ロボットの存在がデ・パルマ『ドミノ』も連想させる。ロボット>>続きを読む

罪の声(2020年製作の映画)

3.5

星野源が踏み台に足を乗せたことからすべてが始まり、そのアクションを反復する宇野祥平と梶芽衣子は(たしか宇崎竜童も)己の肉声を響き渡らせることになる。ここでその内容を回想で示すのではなく肉声のみで押し進>>続きを読む

タイ・カップ/Cobb(1994年製作の映画)

3.3

逸話自体は荒木飛呂彦『変人偏屈列伝』で知っていたので、128分という長さで描かれるのは人間的な弱さや孤独だろうと思っていたらやっぱりそうだった。とはいえ、トミー・リー・ジョーンズが漫画ではついぞ撃たれ>>続きを読む

浅田家!(2020年製作の映画)

3.5

二宮和也がアルバムを持ち込むシーンで、出版社側の人間が多少乱暴にアルバムを返すと表札のようにアルバムに貼られた立体文字「浅田家」の「家」だけが床に落ちる。この「家」は泥塗れの写真や津波によって基礎だけ>>続きを読む

空に住む(2020年製作の映画)

3.8

多部未華子はちょっとびっくりするほど魅力的で色気がある。ラストで脇見えててドキドキした。

岩田剛典が涙を流すシーンの活劇としかいいようがない撮り方が素晴らしかった。些かも心理的ではない純粋な身体表現
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ジャッカルとアラブ人(2012年製作の映画)

3.8

カフカの小説は読んでて爆笑できるんだけど、その爆笑できる感じを映画にできるのはストローブくらいだ。もちろんハサミで爆笑。

魔鬼雨(1975年製作の映画)

3.5

雨の威力がもの凄いというか、聖書に出てくる大洪水(災害)をオカルト映画的に再解釈したらこうなったみたいな感じ。眼の窪んだ信者たちがみな溶けて液状化するなか、頑丈そうな顔面と肥大したかのような眼球を持っ>>続きを読む

絶叫する地球 ロボット大襲撃(1964年製作の映画)

3.0

防護服めいたロボット、陰鬱なモノクロ、寒々しい田舎町の風景が相まってチェルノブイリ的終末の光景が印象的。赤ちゃんを産んだ若い母親に不気味に接近するロボットに『スポンティニアス・コンバッション』を連想し>>続きを読む

漕艇王(1927年製作の映画)

3.8

ボートの試合に主人公が間に合うかどうかのクライマックスに脈絡なく唐突に出現する馬の存在に度肝抜かれて爆笑した。橋から飛び込み舟に引っ張られ、川からボートに乗り込む広瀬恒美。おもしろかった。

レッド・ドラゴン(2002年製作の映画)

3.0

基本的に無難なサスペンスに仕上がっており、『羊たちの沈黙』や『刑事グラハム』の影響下にあることを隠そうともしない(撮影ダンテ・スピノッティ)。クライマックスは一捻りが加えられているが、犯人との決着は奇>>続きを読む

インビジブル 暗殺の旋律を弾く女(2018年製作の映画)

3.5

盲目の女性がアパートの投身事件をきっかけにサスペンスに巻き込まれていく。目の見えない主人公の生活を細かくカットを繋ぎつつ的確に提示していく前半ととある因縁から自ら事件に関わり、前半で提示された要素を用>>続きを読む

実録・安藤昇侠道(アウトロー)伝 烈火(2002年製作の映画)

4.0

最高!アサイヤス『カルロス』の肩透かしを竹内力のロケットランチャーが文字通り吹っ飛ばしてくれた。崩壊し建物ほど燃え上がる炎を見ることのカタルシス。路線橋の竹内力と遠藤憲一の背後の電車、雨の公園と小さい>>続きを読む

獅子座(1959年製作の映画)

4.0

徘徊放浪金なし絶望映画。ジェス・ハーンの目を通してリュミエールが撮ったようなパリの風景が提示されるがその視点人物であるハーンは金なし職なし、徘徊者に落ちぶれ靴底は破れ、歩くこともままならずやたらに座り>>続きを読む