イワシさんの映画レビュー・感想・評価 - 28ページ目

イワシ

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大雷雨(1941年製作の映画)

4.5

エドワード・G・ロビンソンとジョージ・ラフトとマレーネ・ディートリッヒの三角関係が最高に高まった状態で突入するクライマックスの凄まじさ。エモーションも高く、いる場所も高く、さらに高い場所から轟き落ちる>>続きを読む

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

2.7

あんまり。ラストの長回しは長い。『空に住む』の岩田剛典の簡潔で素早い涙のほうがよっぽど良かった。

What Happened Was...(原題)(1994年製作の映画)

3.7

ぎこちない会話、的外れのジョーク、愛想笑い、相手と自分への失望。トム・ヌーナン自身による自作舞台劇の映画化は、時折これは映画だと思い出すようにアクションつなぎを披露するぎこちなさがあるが、食器片付けす>>続きを読む

とびだせ!ならせ! PUI PUI モルカー(2021年製作の映画)

3.8

制約はあるが妥協はない画面づくりが良い。とくに第9話は結婚指輪というモチーフから出発したであろう円/回転運動が全編を貫き、ミュージカルとしての完成度が非常に高い。今までストップモーションで締められてい>>続きを読む

ファイナル・プラン(2020年製作の映画)

3.5

リーアム・ニーソンが自首を願いながら、あくまで他人を動かすことに拘っているように見えるのが良い。ジェイ・コートニーにおつかいを任せたばかりに面倒ごとになったにも関わらず、ラストでもケイト・ウォルシュを>>続きを読む

ビリー・ザ・キッドの冒険(1971年製作の映画)

4.2

ジャン=ピエール・レオーが躓いたり落ちたり転んだりすることにあまりにも秀でているため、銃で撃たれても縛り首になってもすべてが滑稽な演技になってしまう。リュック・ムレは西部劇における死の所作(地面に倒れ>>続きを読む

永遠の戦場(1936年製作の映画)

4.5

ライオネル・バリモアとワーナー・バクスターの父子/戦友関係に泣きまくった。バリモアの存在がチヘイーゼ『戦火を越えて』そのものだし、眼の見えなくなった息子を観測所まで先導し、ラッパを勇ましく吹き上げ、父>>続きを読む

ロボコップ2(1990年製作の映画)

3.5

麻薬組織に解体されるときの主観と同僚の警官たちを見上げるときの主観を同一アングルで撮り、復活を印象つげるアーヴィン・カーシュナーの律儀な職人的演出が良い。ロボコップ2号との対決はより迫力のある仕上がり>>続きを読む

空飛ぶ生首(1960年製作の映画)

3.5

よくできた怪談映画。76分。リチャード・カールソンにしか見えない生首を布に包み階段から落とした際のゴロゴロ落ちるシーンのショッキングさが、カールソンの殺人を目撃したジュリー・レディングの階段下りとして>>続きを読む

邪願霊(1988年製作の映画)

3.2

心霊モキュメンタリーの元祖として見始めたが、車が爆発炎上する場面のショットとか構図がキマってるし画面に進入してくる車もかなり計算してる感じがする。クライマックスは『恐怖の魔力/メドゥーサ・タッチ』ばり>>続きを読む

ゴリラの脅迫状(1939年製作の映画)

3.0

類人猿+ゴシック映画。アラン・ドワン監督、66分。ゴリラの檻がある地下室の陰影が素晴らしく、またゴリラが気絶したアニタ・ルイーズを片手でぶら下げるシーンの緊張感のある画面も良い。雨樋をスルスル下り、パ>>続きを読む

Sh! The Octopus(原題)(1937年製作の映画)

3.5

蛸映画。54分。灯台の天辺に吊り下げられた死体は落下し(人形!)、ヒュー・ハーバートは垂直降下し、地下に下りドアに体当たりしまた落下し、潜水し蛸に襲われる。灯台の垂直構造を活かした体を張ったギャグと発>>続きを読む

A Leap in the Dark(英題)(1980年製作の映画)

4.1

仏語無字幕観たので話はさっぱり不明だが、アヌーク・エーメが狂気から寛解していくのと反比例してミシェル・ピコリが狂気に侵食されていく感じか。子どもたちが部屋を駆け回る幻影が2度あるが、最初の方でピアノを>>続きを読む

懺悔 ~松岡真知子の秘密~(2010年製作の映画)

3.8

松浦ひろみが漕ぐ自転車の颯爽とした運動を捉えた移動撮影が素晴らしいのだが坂道に差し掛かった途端に長く遅い運動へ変化する。自転車は車椅子の、重い足取りは原紗央莉へ向ける感情へのアレゴリーとなる。この上り>>続きを読む

陰謀のセオリー(1997年製作の映画)

3.5

車椅子映画。拷問と脱出で存分に活躍してて満足。あと見たいと思ってた『ライ麦畑でつかまえて』を本屋で買うシーンがけっこう長めでよかったし、直後に窓ガラスに無音でホバリングするヘリが写ってるのが悪夢的でこ>>続きを読む

スター・トレック イントゥ・ダークネス(2013年製作の映画)

3.5

再見。クリス・パインとベネディクト・カンバーバッチがデブリの拡がる空間を移動するシーンやザカリー・クイントが浮上する輸送機に飛びつくシーンなどは『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』に影響を与>>続きを読む

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.5

石岡良治が『オーバー・ザ・シネマ』で提唱していた「逆撫で映画」って感じがする。

歌で心が光として視覚化されるクライマックスは実は説話的な機能を果たしておらず、ただヒロインが光点の集合体を渡っていくこ
>>続きを読む

月は上りぬ(1955年製作の映画)

3.8

後退りする北原三枝が安井昌二にぶつかった瞬間にロングショットにカットが変わる、この繋ぎが素晴らしい。慌てふためきながら三島耕に見つからぬよう門の両側に身を隠す二人の挙動の可笑しさといったら!善意と好奇>>続きを読む

ジャスト 6.5 闘いの証(2019年製作の映画)

4.3

傑作!開閉と無情な落下が極めて印象的なアバンは結末において反復されるが、そういった意味深なアクションの印象を塗り潰す扉の開閉と大量の人物移動をひたすら畳み掛ける中盤に圧倒。ファルハディ『セールスマン』>>続きを読む

暗殺の街 極道捜査線(1997年製作の映画)

3.5

中田秀夫と高橋洋が『女幽霊』と『リング』の間に撮影したフィルム・ノワール。現在時の仲村トオルと回想時の寺田農が同一ショット内で共存する奇妙なフラッシュバックは心霊ノワールと言うべきか。汚職刑事のモロ師>>続きを読む

闇動画12(2015年製作の映画)

3.5

「いすのおじさん」肝試しやってるときの妙なテンションの高さにリアリティがあるのでおじさんが出てきた時の落差がやばい。「黒い人」まともになろうとしてるまともじゃない人の感じがヤバい。「事故物件」恐怖の核>>続きを読む

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)

3.7

工藤遥を見上げる視線と同じくらい重要な水平方向への移動。見上げることへの導入として伊藤健太郎は卓球のボールを追うがやがて見上げるためでなく、卓球そのものへ視線を集中させていく。見上げることを一度止めた>>続きを読む

ホイッスラーズ 誓いの口笛(2019年製作の映画)

3.7

カトリネル・メンギア扮するギルダという名の女、『捜索者』が上映される映画館、『サイコ』のシャワーの引用、他にもうっかり者の映画監督や映画セットでの銃撃戦等「映画」へのオマージュに喜んでしまうが未知のル>>続きを読む

シンクロニック(2019年製作の映画)

3.8

序盤の長回しがあまりにも良い。アンソニー・マッキーとジェイミー・ドーナンの動線越しにどんな事態が起きているか、どんな謎があるのか、どんな奇妙な物があるのかを見せつつ、黒人であるマッキーがどんな扱いを受>>続きを読む

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

3.0

前作よりは好き。既視感がエヴァとモータルコンバットとゼルダの伝説。

親密さ(2012年製作の映画)

4.3

フィクションとドキュメンタリー、映画と演劇をふたつの極にし、どちらかに振れながらもう片方も同時に表出しようとする。演劇がまるまる上映されたあと、映画的な電車が現れる。

ショコラの魔法(2021年製作の映画)

3.5

内側からの切り返しによって山口真帆と岡田結実とのあいだに何らかの関係性が芽生えかけるも、前のめり気味に突入してくるヤバげな桜田ひよりがすべてを破綻させる。ラストカット、画面外へ消える岡田結実の顔には当>>続きを読む

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.5

バス内でのアクションが良い。手摺や座席に頭部を打ちつけたときの固い音や時計をメリケンサックにして殴りつけるときの鈍い音とその執拗さ、ナイフで切るのではなく突き刺すという痛覚に訴える動作を捉え続ける。『>>続きを読む

カポネ(2020年製作の映画)

3.5

主人公のケア要員としてのマット・ディロンは『約束の宇宙』に続き本日2度目だが、過去の開陳により主人公の精神に及ぼす作用は真逆。脳内で無限に反復される惨劇で流される血が口からは痰、尿道から尿、肛門から糞>>続きを読む

フランケンシュタインの花嫁(1935年製作の映画)

4.0

メアリー・シェリー(エルザ・ランチェスターが花嫁との一人二役)を登場させもし続編があったらという仮定で物語が始まるが、映画版の続きを話させているという……。二次創作的な展開が広げられるなか、クライマッ>>続きを読む

モータルコンバット(2021年製作の映画)

3.0

冒頭の真田広之邸への襲撃にエリック・レッド『ジャッカー』を連想したり。血みどろ真っ二つバトルも楽しかったが、ルイス・タン、ジェシカ・マクナミー、ジョシュ・ローソンらが寺院へと向かう歩き旅の行程の心地よ>>続きを読む

約束の宇宙(そら)(2019年製作の映画)

4.2

今年ベスト。エヴァ・グリーンに対し性役割やアドバイス的抑圧を口にするマット・ディロンとのさりげない融和が良い。焚火を囲んでの詩による対話、不利を報告しないという現場の人間の価値観が共有され、ディロンは>>続きを読む

乗合馬車(1921年製作の映画)

4.5

敵討に走る息子を必死で止める母親は、全身不随になった兄を反復し、その不随は産まれたばかりでろくに動けない赤ん坊の反復である。幸福から悲劇への転落はおそろしい反復を伴。故にリチャード・バーセルメスが揺籠>>続きを読む

ティングラー/背すじに潜む恐怖(1959年製作の映画)

4.0

ウィリアム・キャッスルの商業的な企図を越え、映画そのものが叫び声を欲望しているかのよう。その欲望はサイレント映画『乗合馬車』の上映中に臨界点を越える。スクリーンから光が消え、ヴィンセント・プライスの声>>続きを読む

話の話(1979年製作の映画)

4.5

騒がしきロシア的フィルム。火の中から転がり出てくるジャガイモをうかつに触ったときの灰色オオカミの子の挙動がたまらないし、ふたつに割れたジャガイモが美しく光り輝くのも素晴らしい。