shishiraizouさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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イメージの本(2018年製作の映画)

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ラストシーン。皆でダンスをしているモノクロの場面、音がやがて無音となり、狂騒的にハシャいで踊りまわるシルクハットの男がバッタリ倒れ、振り返る着飾った女の見おろす眼が醒めている。
これが遺作となるかもし
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喜劇 男は愛嬌(1970年製作の映画)

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少年院から春子(倍賞美津子)が帰ってくるのと時を同じくして、マグロ漁船から帰還するオケラの五郎(渥美清)。春子の非行は兄・五郎のせいだと信じる弟・民夫(寺尾聰)は、春子を兄から引き離し、真っ当な道に戻>>続きを読む

私の奴隷になりなさい第3章 おまえ次第(2018年製作の映画)

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直接第2章の続編。前作の明乃の幻影とともに虚ろに生きつつ、様々な女性と関係を持つ。その虚無が形式だけで、切なくない。これが例えば石井隆だったらもっと豊かな男性像になったんじゃないかとか
スキあらばすぐ
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私の奴隷になりなさい第2章 ご主人様と呼ばせてください(2018年製作の映画)

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亀井亨監督の前作『私の奴隷になりなさい』。女遊びの激しい若造が、人妻の壇蜜・カナさんにちょっかいを出すがいいようにされ、そのカナさんはセンセイこと板尾創路にいいようにされ・・というソフトな奴隷の連鎖。>>続きを読む

方舟の女たち(2016年製作の映画)

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中央線ならぬ中丸線、朝のピークの車内。同じとき、三件の痴漢行為が行われていた・・。
被害者である三人の女性にスポットが当たり、時間を遡ってそれぞれの流転が各10分ほどのパートで描かれる。
ムダのない、
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マレフィセント(2014年製作の映画)

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ディズニー版『お伽噺草子』、ゴツゴツしたぎこちない顔のマレフィセントの、オーロラ姫へのツンデレ具合が楽しく、怨み対怨みの陰険なトーンの話のなかで心待ちにするアクセントになる。昔話の風味ということでか、>>続きを読む

ニッポン国 vs 泉南石綿村(2017年製作の映画)

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振り回すトリックスターに齧りつくようにして映画が成立した前二作と異なり、対象は市井の大勢の人々、公害の被害者たち。いっけん、普通のドキュメンタリー映画(というか番組)のように進んでゆくが、後半、亡くな>>続きを読む

三姉妹 〜雲南の子(2012年製作の映画)

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地球がいよいよ滅びるとき、この星と人類があった証として、データベースの方舟が宇宙へ射出される。その方舟には是非この『三姉妹』も載せて、どこかに伝えたいと思うような、人類文明のマスターピースのひとつじゃ>>続きを読む

嵐電(2019年製作の映画)

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闇夜に線路が画面奥へと伸び、オフで電車が近づく案外大きい音が響く、停車する車両の先頭が見え、乗客が降りてくることで、そこがホームであることが判る。
そこへ反対側からも列車がカーブするレールに沿って鉄の
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無言歌(2010年製作の映画)

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2回目の観賞

倒れた者は抱え起こされ、命の灯がきえた死体は、布団とともに紐で縛られて荷車で運ばれる。人間の肉体の、そのちょうどひとりの重さ、まずは物質性。
その物質である人間から、かすかに立ちのぼる
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僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

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雪景色のなか、世界から切り離された、信仰を推奨する学校。荒れるでも吹雪くでもない、静かな雪の光。その静謐なトーン。撮影期間は7日間、冬、雪の風景のなかで撮りたいという希望はあったものの、それも天候次第>>続きを読む

アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

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ラスト、ぐるりと一回まわる恒松祐里。引きのワンショットで撮られていることに、彼女のコケットな輝き、その希望のベクトルに信頼が寄せられていると感じる。じっさい登下校の場面で、他の女生徒らに混じっていても>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

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11章11節とか、ウサギとか、しゃらくさいなーと
面白げな雰囲気はあるのだけれど、ルール設定が曖昧でどうとでもなるから、サスペンスが盛り上がりきらない。襲撃者たちの動きや表情は、この世界より発したもの
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全身小説家(1994年製作の映画)

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猫の声。鳩、ウミネコの鳴き声。猫の鳴き声は、数ヶ所、恣意的に挿入したわざとらしさがある。これも劇映画への指向でしょうか。

○井上荒野『あちらにいる鬼』
長編小説『あちらにいる鬼』は父・井上光晴(小説
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私の優しくない先輩(2010年製作の映画)

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2005年の夏。
<家族で初めて渋谷へ行ったとき、スクランブル交差点で声をかけられた>小6の川島海荷は、スカウトされてレプロのジュニア部門に所属することになり、芸能活動を開始します。レプロ的には、ガッ
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僕らはみんな生きている(1992年製作の映画)

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「どの現場でも必ず何か起きるけど、『僕らは』の時に比べたら全然どうってことない」(滝田)


『木村家の人びと』(88)のときメリエスの事務所で滝田洋二郎は小林壽夫と出会う。気が合ったふたりは『シャ乱
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東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2007年製作の映画)

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松岡錠司のイイ話系映画は苦手な部類。

良かったところは、若い母が居酒屋で働き、画面手前のカウンターに光石研がいて、寺島進が来店し奥のカウンターに座り注文する。その時の、光石研の気配の動き
笠松キャメ
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スカイ・クロラ The Sky Crawlers(2008年製作の映画)

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微妙にクドいボウリング描写、重いものを投げる力感、ピンに当たる衝撃、ゴトゴト還ってくる球。繰り返し。触覚的体感がズレてやって来ること。喫煙の、吸ってから肺胞にしみわたり、吐き出す、実感が遅れてくること>>続きを読む

マリアンヌ(2016年製作の映画)

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奇妙な世界の法則に支配される謎の地へ、ソクーロフ『日蝕の日々』の冒頭のカメラが降下していったように、面白い視点で砂漠に舞い降りるブラピ。ヴェンダース『パリ、テキサス』でゼロにリセットされた男が砂漠に佇>>続きを読む

ホットロード(2014年製作の映画)

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和希がハルヤマと出会う場面、近寄ってきた男に気づいた和希が男の顔を見たあとの切り返し、和希の見た目ショットぽいのに下からゆっくりパンアップしてハルヤマの顔に到達。時間感覚も繋ぎもおかしい

和希と母親
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わたしはわたし ~OL葉子の深夜残業~(2018年製作の映画)

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女と女の対立項が物語中に生まれる。しかしその異なる価値観の対決に発展するのでなく、案外早くにお互いを思いやる優しさに転化するのがジョージョー映画の風通しの良さとスピード。部屋やオフィスに窓から光が射し>>続きを読む

PARKS パークス(2016年製作の映画)

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当時の感想:
『PARKS パークス』@テアトル新宿。この題材とキャスト、多少遠慮するかと思ったがリアルと物語の基準が独特な瀬田節全開。ギターを弾き歌い走り回る橋本愛の美しさ、今を生きることにピントが
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コレラの時代の愛(2007年製作の映画)

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マルケス原作の映画のなかで最低のものでは・・ラテンアメリカの匂いがしない、アメリカ映画にしか見えない。メインの男優も女優も魅力を欠いて2時間18分もの時間を支えられない
比較的好きなのはロージ『予告さ
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三匹の侍(1964年製作の映画)

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日本映画史上初のテレビディレクターから映画監督に進出をはたした五社英雄の、記念すべき劇場映画第一作である本作は、テレビドラマ版『三匹の侍』第一話の脚本を30分ぶんふくらませたものだという。現代でも根強>>続きを読む

Another アナザー(2011年製作の映画)

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『Another』『Another エピソードS』既読
大筋は忠実
人形の店は、イメージに近い
土地の空気、田舎の道路の感じの、映画的になりそうな原作にはあった独特な魅力は欠落していて残念
全体的には
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母なる証明(2009年製作の映画)

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小さい、唯物的な「痛み」を起点として、走って走って、ゴルフ場の広大な空間まであっという間に世界が拡大するダイナミズム。斜面の林があり、緑のうねる大地があり、池が水をたたえている。そこから物語が転がり始>>続きを読む

累 かさね(2018年製作の映画)

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意匠たっぷり充填し、必要な場面ばかり隙なく連打してハイテンションで押しきるダークスリラー、美と演技にまつわるスタンド使い同士の対決といった趣、画ヅラは映画というよりはアニメ的なビジュアル

すんドめNew(2017年製作の映画)

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主人公の少年は渡瀬恒彦ふうの非現代的顔立ち
歴代胡桃役の鈴木茜、鎌田紘子より親しみやすいルックスの小田島渚はS度低く、キャラクターに一貫性はないがやわらかい雰囲気がヌルイ映画の温度にはなっている
小倉
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R-18文学賞 Vol.2 ジェリー・フィッシュ(2013年製作の映画)

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性的未分化の季節、少年のように細い肢体の、いかにも金子的少女ふたり。
並んで歩くとき、あるいはベッドに下着姿で並列に横たわるとき、その棒のようなフォルムが際立つ。

カメラの熱視線は二人が手を繋ぐカッ
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新宿パンチ(2018年製作の映画)

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父母の馴れ初めを主人公のナレーションで語りつつ、画面は家を出てゆく母。この語りの速度、簡潔な話法。
いっけん、たまたま選ばれたかにみえるバッティングセンターという舞台装置だが、球状のもの→出血→傷に触
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20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

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インテリアに最適なポストカードみたいな画面、考えさせられる脚本、魅力あるキャスト陣・・

しかしこれは映画ではなく、流麗な映像作品だと思った

1979年。コスチュームはそれらしくても、非フィルム的で
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226(1989年製作の映画)

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1988年2月26日、奥山和由は毎年二・二六事件の法要がおこなわれる賢崇寺に初めて訪れる。松竹のなかにあって体制内改革を試み続けていた奥山は、二・二六事件に「想いを積も」らせていた。「自分が本当に()>>続きを読む

風に濡れた女(2016年製作の映画)

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みる前は、神代かドワイヨンかといった、糞袋たる身体がぶつかり合う生理的な映画と予想していたが、だいぶ違いました

女が自転車で水辺につっこむ場面、また別の男女が草の枯れた砂まじりの丘に走ってゆき性交を
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屍人荘の殺人(2019年製作の映画)

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開巻まもなく、学生食堂で依頼者に寄っていくカメラの動き、映画の呼吸じゃない。映画としてじゃなく映像コンテンツとして楽しむべきと早々に覚悟する。冒頭の大学名などのテロップも、観ていくうちに別に要らなかっ>>続きを読む

多十郎殉愛記(2019年製作の映画)

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大阪芸大で中島貞夫に教えを受けた子らが、日本映画の中心を担うようになったのち老いた監督の20年ぶりの映画制作を支えるというだけでも、この映画の存在を全肯定したくなる

ベタで大仰、いっけんダサイ劇伴だ
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麻雀放浪記2020(2019年製作の映画)

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学生映画ふうのクオリティ
警察や警備員から逃れる何度かある場面、逃れかたが毎回安易すぎて脱力する
荒井晴彦に「お前のあの映画見てないけど酷いらしいなとか、白石の映画は見なくてもダメなのわかってるから見
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