シュローダーさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

5.0

最高すぎる。僕の求めるものしか入っていない最強の映画だった。「ヴィンランドサガ」が流行ってる昨今ではとても飲み込みやすいヴァイキングの復讐譚を描くのは「ウィッチ」「ライトハウス」の鬼才ロバートエガース>>続きを読む

そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)

4.8

好みドストレートの物語だった。クソ野郎のクソ野郎ぶりを天丼ギャグとして見せる前半部分はゲラゲラ笑いながら見ていたが、それが後半には思いがけない地獄へと観客を突き落としてくれるのがとにかく最高だった。監>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

4.5

Fan's Voice試写にて。今時珍しい程に「古典的」なフィルムノワールにしてラブロマンスど真ん中を堂々たる語り口で見せつける映画だった。故に物語それ自体は意外性はなく、観てる途中で「まあ大体こんな>>続きを読む

ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

本当に「前作と全く変わらない」続編であるが、この映画シリーズにおいては、それは最高の美徳となる。よって、基本的な褒めポイントに関しても前作と殆ど同じなのでどういう部分を気に入ってるのかについては前作の>>続きを読む

カラフル(2010年製作の映画)

3.0

実は観てなかったので原恵一の新作に備えて観てみたら、物凄〜く嫌いな映画に出会ってしまったので頭を抱えている。物語が全く肌に合わなかったのは勿論なのだが、カット割と台詞回しがとにかく苦痛で仕方なかった。>>続きを読む

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

賛否両論パックリ分かれる映画なのも納得だが、自分は絶賛派ですね。「悍ましい」という感情をここまで掻き立てられる映画はそうそう無い。この映画を要約してしまうと、「夫の死のトラウマに囚われた女性が"有害な>>続きを読む

ブラックアダム(2022年製作の映画)

4.5

まさしく''快作"という言葉が相応しい楽しい映画だった。話としてはよくある「アメコミ映画1作目」の基本に忠実なよくあるものであるが、これまでのアメコミ映画で100回くらい観た展開やキャラ配置をタランテ>>続きを読む

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

4.0

蓮實重彦大先生が異常なまでに大絶賛しているのを見て観に行ったが、やはりシネフィルの考えていることはわからんと思わされる作品だった。監督のデヴィッドロウリーの特徴と言えば、時に1発のカットの切り替えで、>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

5.0

観てから少し時間が経ってしまったが、今でも余韻が残っている。今年観た"娯楽映画"の中で、この映画を超える映画は無い。前作「バーフバリ」ですら映画史に残るレベルの凄まじい作品だったというのに、今作はそれ>>続きを読む

バルド、偽りの記録と一握りの真実(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

「映画史に残る映画」とはこういう映画の事を言うのだろうと思えた。それ程までに映像の力だけで全てを語り切ってしまうイニャリトゥ監督の天才ぶりに打ち震えた。この映画はイニャリトゥ自身の体験に基づいた自伝的>>続きを読む

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

4.5

かなり好み。「エターナルズ」がとても好きなタイプの人間である自分からすると、この作品の作風は近いものであった様に感じられた。つまり、作家性全開の演出によって過去のヒーロー映画へのアンチテーゼをカマすと>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ものすご〜く豪華なフルコースを期待して観に行ったら給食で出てくるようなけんちん汁を飲まされた様な感じ。最後まで観終わった時の感情の「無」ぶりに僕自身が1番驚愕している。取り敢えず良い所はある映画なので>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

5.0

Fan's voice試写にて。この映画を観た後だと、この後作られる日本映画は、果たして何を撮る事があるのだろうか。と思わされてしまう。2022年にここまで映画という表現に対して真摯で誠実な作品に出会>>続きを読む

アムステルダム(2022年製作の映画)

4.3

巷に溢れる不満意見…「長い」「セリフばっかりで退屈」「眠くなる」全部分かる…分かるのだが、そういう所を自分でも意外なほど楽しんでしまったのでこの映画は嫌いになれません。デヴィッドOラッセルの作品の中で>>続きを読む

私に天使が舞い降りた!プレシャス・フレンズ(2022年製作の映画)

3.8

モチベーションも湧かない無いままに友人の付き合いで観たが、それにしては楽しめた。リアルタイムでTVアニメ版を観ていたのが遠い昔に思えてならないが、映画が始まって早々に「あぁ そういえばこういう犯罪的な>>続きを読む

B/B(2020年製作の映画)

5.0

初めてゴダールの映画を観た時だったり、初めてギャスパーノエの映画を観た時だったり、初めて「花に嵐」を観た時の様な、ブッ飛ばされる映画体験。こういう思いがけない傑作に出会うんだから映画を観るのはやめられ>>続きを読む

ヘルドッグス(2022年製作の映画)

4.3

決して嫌いな映画ではないのだが、大して好きという訳でもない映画だった。僕は今回初めて原田眞人の映画を観たのだが、確かに画は物凄くスタイリッシュでカット割も気が利いているのが感じられて視覚的な満足度は高>>続きを読む

グッバイ・クルエル・ワールド(2022年製作の映画)

2.5

世の中には俗に言う「フランケンシュタイン型映画」が沢山ある。つまり「何故作った…」と言いたくなるような映画という事だが、この映画はまさにそういう映画だ。誰のために作られた映画なのか全くわからなかった。>>続きを読む

LOVE LIFE(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

これは、痛みを忘れない様にする映画であり、交わらない視線についての映画であり、置いていかれた人たちの映画であり、他者を直視する為の映画である。

深田晃司の映画を観ると、毎回背筋が凍る思いを味わう事に
>>続きを読む

海がきこえる(1993年製作の映画)

-

生涯ベストにして、生涯ワースト。この映画に対して明確な点数をつけ、客観的に評価することは今の自分には出来ない。何故ならば、この映画のヒロインである武藤さんの生き写しの様な女性…人の気持ちを測ろうとせず>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

4.8

非常に楽しかった。雑念を忘れて癖者たちのデタラメな殺し合いに没頭することが出来た。伊坂幸太郎原作、デビッドリーチ監督、ブラッドピット主演という、面白くならない筈がない座組みで送るこの作品。雑に要約して>>続きを読む

最強殺し屋伝説国岡 外伝 国岡ツアーズ大阪編 蘇る金のドラゴン なにわアサシンの逆襲(2022年製作の映画)

4.5

現代邦画界で白石晃士の一連のホラー作品と並び、「トラック野郎」的プログラムピクチャーを実践出来ている唯一のコンテンツ、阪元裕吾シネマティックユニバースこと、国岡シリーズの「グリーンバレット」と並ぶ最新>>続きを読む

ヒットマンズ・レクイエム(2008年製作の映画)

5.0

ちょっとどうかしてるレベルの大傑作。こういう人間のダメな部分が滲み出た映画こそ、僕は愛好してしまう。マーティンマクドナーの長編第1作であるこの映画、彼の作家性は既に完成され尽くしている。キリスト教的価>>続きを読む

激怒(2022年製作の映画)

4.5

決して全面的に褒めるという訳ではないが、どうにも僕にとってこの映画は忘れがたい魅力を放っている。私事ではあるが、この映画を観た日に僕は晴れて仕事を辞めた。何故辞めたかと言えば、和民の社長みたいな綺麗事>>続きを読む

グリーンバレット(2022年製作の映画)

4.8

今年の「映画そのものに恋をした映画」部門1位はこの映画じゃないかなと思ってます。そのくらい愛おしくて気に入った映画になりましたね。僕は「最強殺し屋伝説国岡」にエキストラで出演出来たことを今でも誇りに思>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

超単純に要約して仕舞えば「MAC全滅!円盤は生物だった」を大予算で撮ってしまったゴキゲンな大バカ超大作。しかしこれだけだと流石に締まりが悪いので、もう少し文章を書く。ジョーダンピールと言えば「ゲットア>>続きを読む

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)

3.8

僕は原作はドレスローザ編くらいまでしか読んでない程の人間ではあるが、今回の映画は監督が「コードギアス 反逆のルルーシュ」などでお馴染みの谷口吾郎であったり、周りの感想を見るととかなり評判が良かったので>>続きを読む

プレデター:ザ・プレイ(2022年製作の映画)

4.8

歴代プレデターシリーズの中でもトップクラスの面白さ。前作「ザ・プレデター」も宇宙一面白い映画で僕は大好きなのだが、今作はある意味であちらとは全く真逆の映画である。ボンクラチームアクションやおい物だった>>続きを読む

劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト(2021年製作の映画)

5.0

ちょっと前に観ていたのに感想を書き忘れていた身で言うのも何だが、今のところ今年観た旧作で1番好き。ここまで気の狂ったバロックな映画を拝んだのは久しぶりであった。元々TV版は全話観ていた。しかし、突飛が>>続きを読む

グレイマン(2022年製作の映画)

4.8

大好物の映画だった。ネトフリオリジナルアクション映画の中では間違いなく1番出来が良い映画なのは確か。メガ大作をこれまで撮ってきたルッソ兄弟が持ち前の交通整理力を遺憾無く発揮し、見事なアクション大作とし>>続きを読む

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

巷ではかなり賛否両論のようだが、僕は結構好きな作品だった。否定派の意見も分かる。前作以上にタイカワイティティ色が強まった結果、コント集だと思っていたのに予想外の重たい展開をぶつけられる事態になっている>>続きを読む

ゆるキャン△(2022年製作の映画)

5.0

今年から社会人1年目である僕がこの映画に刺さらない訳がない。元々テレビアニメ版のファンではあったものの、大人になったなでしこたちを描くオリジナルストーリーという情報を聞いた時には一抹の不安が頭をよぎっ>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

5.0

ポールトーマスアンダーソンはやはり裏切らない。ここ最近は重厚な文芸映画を撮ってきていてそれもそれで大好きなのだが、この映画は完全に「ブギーナイツ 」「パンチドランクラブ 」「インヒアレントバイス」のノ>>続きを読む

神は見返りを求める(2022年製作の映画)

5.0

個人的には、吉田恵輔最高傑作。僕自身の実人生の経験とも大いに重なる凄まじい映画だった。吉田恵輔作品は毎度毎度胃酸が逆流する地獄のコミュニケーションが描かれる訳であるが、今作は吉田恵輔作品の中でも一番ブ>>続きを読む

空白(2021年製作の映画)

4.8

だいぶ久々に吉田恵輔の映画を浴びたのでぶっ飛ばされてしまった。この人の映画はやはり他の監督の作品とは頭ひとつ抜けたものに仕上がっているなと改めて感じさせてくれた。冒頭から結末まで描かれる状況としてはま>>続きを読む

恋は光(2022年製作の映画)

4.5

小林啓一監督のファンなので意気揚々と劇場に観に行ったが、尊すぎてスクリーンが見えなくなるほどこの映画は「光」を放っていた。小林啓一作品の魅力と言えば、被写界深度の浅い画面設計や長回し撮影の妙などがある>>続きを読む