そらりすさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

そらりす

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主戦場(2018年製作の映画)

4.0

マイケル・ムーア作品と同様に、この種の物議を醸すドキュメンタリー作品が作られ公開されること自体が好ましいことだと思います。立ち見でしたが、疲れることなく興味深く観ました。

慰安婦の問題が本作の中心的
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競泳選手ジャン・タリス(1931年製作の映画)

2.5

スポーツの動きを捉える監督独特の視点や表現からくる可笑しさと、今見ると当時最先端の水泳技術の古臭さによる可笑しさが相まって、微笑ましい作品になっています。

バルバラ ~セーヌの黒いバラ~(2017年製作の映画)

4.5

歌手バルバラに関する映画のメイキングを映すフェイクドキュメンタリーという面白い入れ子構造を持ちます。この構造により、バルバラとは何なのかという問いに対して、バルバラのプライバシーに無暗に立ち入ることな>>続きを読む

バジュランギおじさんと、小さな迷子(2015年製作の映画)

4.0

インド映画らしく演出や演技が大仰で小洒落てないのですが、シンプルだからこその楽しさと力強さがある作品です。

見ての通り、小さな迷子は最高に可愛らしく、バジュランギおじさんとの交流が心温まります。基底
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グリーンブック(2018年製作の映画)

4.0

対照的な主要登場人物の組み合わせからストーリーの展開や結末が予期されるシンプルなロードムービーですが、とても繊細な関係性の描写でウェルメイドな作品になっています。

一方がピアニストであり、音楽が重要
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ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

4.0

TIFFにて観そびれてしまい、劇場公開を待ってやっと観ることができました。

映像がゆったりとして気品があり、70年代メキシコの片隅の世界に没入できます。撮影は極めて緻密に計算され準備され、モノクロ、
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運び屋(2018年製作の映画)

3.5

ジャンルとしてはクライムスリラーでポスタービジュアルだと重々しい雰囲気ですが、実際には、主人公である90歳の男が飄々としていて、全体にユーモアが溢れています。オーソドックスなつくりで、多くのひとが楽し>>続きを読む

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

4.0

IMAXレーザー3Dにて。他のスパイダーマン作品を知らなくても全く問題なく楽しめる作品です。元々のアメリカンコミックの味をアニメーションで再現しようとする試みにより、これまでにない独特の世界観が精巧に>>続きを読む

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

これは舞台演劇の形にすぐになる造りで、閉じた限定的空間における濃密な緊迫感や焦燥感を堪能できる作品ですね。そういった意味では、本作の特徴の一つである作品構造自体に斬新さはあまり感じられなかった面もあり>>続きを読む

沖縄スパイ戦史(2018年製作の映画)

-

戦争の風景がモノクロでしかない、戦後生まれの者にとって、証言される方々が皆お若くて、戦争がついこの前にあったことのように確かな実感をもって話されている様子には、不思議な感覚を覚えました。また、証言内容>>続きを読む

ソング・オブ・ザ・シー 海のうた(2014年製作の映画)

3.5

TAAF2019前夜祭上映にて。画面の隅々まで装飾の施された絵本のような美しさがあり、切ない余韻を残す作品です。キュート過ぎるキャラクター表現が子ども寄りかと思いますが、全体としては幅広い年齢層で楽し>>続きを読む

ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん(2015年製作の映画)

4.0

TAAF2019前夜祭上映にて。日本未公開が不思議なほど、上質な作品です。

人の手によって世界を最構築するアニメーションならではの気持ち良さがあります。対象をシンプルな線で分割し、それぞれ単色からな
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バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

3.5

正直なところ、本作を観終わったときには事実関係が確定できなくて居心地が悪く、その後あれこれと思い巡らせました。自分なりに最も妥当と思われる推論があるものの、色々な可能性を除外できず、結局、量子力学にお>>続きを読む

ジュリアン(2017年製作の映画)

1.0

家族や親子、夫婦、親権についての問題意識をベースとしていますが、つくり手の洞察が浅く、作品はセンセーショナルなだけで、何の解決ももたらさないばかりか、観る者を好ましくない方向、分断する方向に扇動するだ>>続きを読む

ファースト・マン(2018年製作の映画)

4.5

自分の行きつく先が即ち人類のフロンティアとなる宇宙飛行士として、静かな興奮と厳粛さの中で悠久の宇宙の一部となる追体験をさせてくれる作品です。

この監督の演出力は独創的でセンスが素晴らしいと改めて思い
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きっと、うまくいく(2009年製作の映画)

3.5

インド特集上映の機会にて。コメディですが、真っ直ぐでとても力強く教育的な作品です。学業や職業選択の自由、学歴社会の硬直性、エンジニアリングによる夢の実現というテーマは、現代インド社会の若者には強く訴え>>続きを読む

恐怖の報酬 オリジナル完全版(1977年製作の映画)

4.0

独特なビターテーストのあるハードボイルド・スリラー作品です。観る側として、恐怖と笑いは遠くなく隣り合っていることがよく分かります。ポスタービジュアルがぼんやりしてる気がしましたが、観た後はまあここだよ>>続きを読む

メリー・ポピンズ リターンズ(2018年製作の映画)

3.5

オリジナル作品が大好きなので、待ち焦がれていました。最新技術で綺麗に丁寧に作られていて、とても可愛く楽しい作品になっています。

問題解決のされ方が運や他力に依拠する点については、あまりに出来すぎた大
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ぼけますから、よろしくお願いします。(2018年製作の映画)

4.5

老夫婦の日常を娘が撮影して作られた作品です。

ポスタービジュアルやタイトルからイメージされる通りのとてもパーソナルな小作品で、ありふれた世界の片隅を描きます。どうということのない顔をして暮らす人々の
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ムトゥ 踊るマハラジャ(1995年製作の映画)

4.0

4K&5.1chデジタルリマスター版にて劇場鑑賞を。序盤から脚本や演出が意味不明過ぎてカオスとなります。しばらくしてもギクシャクするのですが、徐々に脳内ホルモンが分泌されてきて、そんな摂理で成り立って>>続きを読む

斬、(2018年製作の映画)

2.5

殺陣や刀の魅せ方(カメラワークや効果音など)が斬新で面白味があります。フォーカスする登場人物の内面以外の描写はミニマルで潔いですが、そぎ落とされて残された部分に興味を持ち共鳴できるかが分岐点になると思>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

3.5

初のIMAXレーザー2Dにて。臨場感が重要な要素なので、大画面大音響での鑑賞をお勧めします。ストーリー展開によって積み上げる部分もありますが、圧倒的な音楽の力で絶頂に連れていきます。ドラマ部分では、ど>>続きを読む

鯉のはなシアター(2018年製作の映画)

-

広島カープファン、広島に関わりを持つ人、広島に興味がある人は観て損のない作品です。広島の風土や気質、カープの位置付けなどが分かると思います。テレビ向けのようなユルい雰囲気ですが、久しぶりの優勝の歓喜や>>続きを読む

大脱走(1963年製作の映画)

4.0

特別上映にて初の劇場鑑賞を。実話に基づいており、予定調和ではない面白さがあります。戦争の一側面であるため悲壮感が底流にありますが、不屈の精神がこのユーモア溢れる壮大なるかくれんぼないし鬼ごっこを仕掛け>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.0

評価が割れると思われる、とてもユニークな作品です。恋愛ファンタジーの顔をしていますが、超現実的表現で提示される哲学的ないし宇宙論的テーマに興味深いものがあります。ゴーストの姿や画面サイズによる箱男的視>>続きを読む

華氏 119(2018年製作の映画)

3.0

このような権力に対する問題意識や思想を真っ直ぐに訴える作品は、作られること自体に価値があると思います。その上で、エピソードがやや散漫で、トランプに関する語り口は真新しくなく、力強さが物足りなく感じます>>続きを読む

バーフバリ 伝説誕生<完全版>(2015年製作の映画)

5.0

後編完全版と同様に、この前編完全版は緩急の緩があり、時間的・空間的ゆとりや細やかさが世界の厚みや艶を増しています。酒場のシーンが予想外に艶かしい方向に攻めていて面白く、全体の振れ幅も大きくなって効果的>>続きを読む

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)

4.5

TIFFにて念願の劇場鑑賞を。冒頭から、手のひらの上で、小さなかぐや姫が重さも感じさせつつ柔らかくコロコロしている様は尋常ではありません。日本の美意識とアニメーション技術を極め、生きるものに容赦のない>>続きを読む

お熱いのがお好き(1959年製作の映画)

4.0

TIFFにて4Kレストア版を。王道の面白さ。コメディですが、それを表現する、フレームから溢れんばかりの勢いのあるアクションがとても楽しいです。

アマンダと僕(2018年製作の映画)

4.0

TIFFグランプリ上映にて。

家族を中心としたヒューマンドラマですが、監督の言葉を借りれば、パリのポートレートでもあり、現代的テーマが数多く含まれています。それらが重層的に静かに軽やかに描かれます。
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半世界(2018年製作の映画)

3.0

TIFF観客賞上映にて。男同士のぶっきら棒なやり取りが切ない、離反と和合の物語です。美点は沢山ありますが、脚本や演出にやや作為性が感じられる面も。

バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画)

4.5

題材選び、脚本、演出が絶妙で素晴らしい、完成度の高いクライムスリラー&ヒューマンドラマです。万人にオススメできます。

受験競争の激化という現代社会的テーマを背景として、10代の少年少女らのストーリー
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モアナ~南海の歓喜~(1980年製作の映画)

4.5

100年前の南海における営みを丹念に記録し、我々をその失われた世界へと時空を超えて連れて行ってくれる作品です。音つきでより生き生きと、制作当時よりも現在、未来へとその価値が増していくことでしょう。>>続きを読む

パプリカ(2006年製作の映画)

4.5

爆音映画祭にて。

アニメーションならではの想像力溢れる表現の自由さがあり、エロさがあり、爆発がある、大人向けの作品です。物質世界と精神世界というテーマはしばしば取り上げられるものですが、本作はその表
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