トノモトショウさんの映画レビュー・感想・評価 - 55ページ目

HANA-BI(1997年製作の映画)

4.0

初期北野映画の到達点とも言える良作。突発的な暴力とコメディがあり、美しい景色とセンチメンタルな旅がある。物語自体に特異なものはないのかも知れないが、自ら描いた絵画のモチーフを巧みに使いながら、花火のよ>>続きを読む

浪人街 RONINGAI(1990年製作の映画)

3.0

奔放な原田芳雄の殺陣、色気と美しさを兼ね備えた樋口可南子の表情、石橋蓮司の居合、勝新の愛すべきキャラクターなど見所は多いが、物語はダラダラとしており的を射ない。とはいえここまで豪華なキャストだと常に画>>続きを読む

渇き。(2013年製作の映画)

2.0

狂気に満ちたキャラクターの造形、胸糞悪い展開そのものは良く出来ていると思うが、これまでの中島のキャリアを顧みると極端に醜悪な作品に思える。小松菜奈の妖艶さにはドキドキさせられたが、父娘の関係性にはどう>>続きを読む

野性の証明(1978年製作の映画)

3.0

トンデモな物語ではあるのだが、緊張感のある展開と高倉健の画力に最後まで引っ張られていく。中野良子の臭すぎる演技を除けば、豪華な俳優陣のキャラクター描写は流石に上手い。とことんお金を掛けた演出が爽快。

紳士は金髪がお好き(1953年製作の映画)

3.0

冒頭のミュージカル・シーンから二人の虜になってしまう。音楽とコメディが絶妙なバランスで繰り広げられるが、物語そのものは奔放な女性が好き勝手にやって男性陣が煙に巻かれるという何とも居心地の悪い作品。

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.0

スピーディーでコミカルな展開、色彩感覚と画角のセンスだけではなく、脚本も充分整っているし面白く観ていられる。豪華なキャスト陣が次々と現れてくるのも楽しい。あまり批評すべき点が見当たらず、実際に映像体験>>続きを読む

土竜の唄 潜入捜査官 REIJI(2014年製作の映画)

2.0

破天荒な生田斗真の演技と非常に漫画的な演出によってコメディ感が強く、最後までドタバタと楽しくもあるし軽薄で中身のないストーリーにも思える。クセの強い役者陣が続々登場するという面白さはある。

ジェイコブス・ラダー(1990年製作の映画)

5.0

ホラーやスプラッタ描写に耐性があっても、ジェイコブが体験する夢現ごちゃ混ぜになった世界観には生理的な気持ち悪さ・恐ろしさがあり、常にざわざわとした緊迫感がある。物語構築も巧みで最後のオチにも納得がいく>>続きを読む

龍三と七人の子分たち(2015年製作の映画)

3.0

引退した元ヤクザのジジイ=藤竜也というキャスティングが成功した時点でこの作品は完成したと言える。「アウトレイジ」でヤクザ抗争を徹底的に描いた後で、自らの映画スタイルを逆手に取ったアイロニカルなコメディ>>続きを読む

二十四の瞳(1954年製作の映画)

2.0

戦前から戦後のミニマルな日本をリアルに活写した秀作ではあるが、この時代の人々を回顧するだけで心が痛む。貧困と戦争がいかに罪深いか、邪心のない子供たちの視線によって暴かれるように思う。全編通じて流される>>続きを読む

ヒート(1995年製作の映画)

4.0

物語構成も巧みだし、緊張感のあるアクションも面白い。無駄な恋愛描写も2人の男にとって「女の不必要性」を描くための布石として捉えられる。不器用な生き方ではあるが、それこそが男の生き様でもある彼らをパチー>>続きを読む

TOKYO TRIBE(2014年製作の映画)

2.0

ラップ・ミュージカルという面白いアイデアを上手く活かせず、終始ハチャメチャなストーリー、杜撰なリリックには辟易してしまう。とはいえ鈴木良平の突き抜けたキャラクター、清野菜名の上質なアクション、狂言回し>>続きを読む

少林寺2(1983年製作の映画)

3.0

前作の主要キャストを引き継いだだけの独立したコメディ色の強いストーリー。可愛らしい少年達がしっかりとアクションをこなしている。剣術・棒術を中心としたバリエーション豊かなラストのバトル・シーンも見応えが>>続きを読む

少林寺(1982年製作の映画)

3.0

ブルース・リーやジャッキー・チェンとも違うリー・リンチェイ(ジェット・リー)の美しい型を堪能する記念碑的作品。緩急しなやかな体術に終始魅了され、溌剌としたリーの初々しい表情も楽しい。

雨月物語(1953年製作の映画)

3.0

再現性の高い美術や溝口の演出力、宮川一夫の撮影など特筆すべき点は多々あるが、物語そのものは大雑把だし、結末も腑に落ちない。京マチ子と毛利菊枝の不気味な表情には背筋が凍る。耳鳴りのような笙の音がいつまで>>続きを読む

ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)

3.0

尊厳死という重いテーマに至るまでの女ボクサーとトレーナーの心の交流がしっかりと描かれていない。信頼や尊敬や慈愛という感情よりも自責と憐れみの方が強く、だからこそラストに納得がいかないのではないか。スワ>>続きを読む

永遠の僕たち(2011年製作の映画)

3.0

ガス・ヴァン・サントが描く少年性や少女性には常に温かい視線と冷酷なまでの描写があり、真っ当な演出をすんなり受け入れざるを得ないブレのない雰囲気がある(冒頭のビートルズとエンディングのニコが端的)。加瀬>>続きを読む

ドラゴン危機一発(1971年製作の映画)

2.0

中盤あたりまでリーの本格的なアクションは見られないが、満を持して繰り出される彼の良質なバトルには爽快感がある。全体のストーリーは退屈な上に理不尽だが、リーの細やかな演技に注目したい。ラスボスとはいえ善>>続きを読む

燃えよドラゴン(1973年製作の映画)

3.0

とにかくキレキレのリーのアクションが堪能できる。有名なテーマ曲、有名なセリフ、有名なポーズや決め顔、どれもが印象的で格好良い。冒頭のサモ・ハンや、エキストラとして出演していたジャッキーを探す楽しみもあ>>続きを読む

ドラゴンへの道(1972年製作の映画)

3.0

ストーリーはあくまでリーのアクションを引き立てるだけのものだが、魅力的なキャラクターやコメディチックなやり取りが案外楽しめる。やはり何と言ってもラストのチャック・ノリス戦のスピーディーかつ豪快な立ち振>>続きを読む

アーティスト(2011年製作の映画)

3.0

今の時代にモノクロ・サイレント映画の手法を持ち込み成功させたことに拍手を送りたい。ストーリーに真新しさはないが、最小限のセリフ(字幕)により研ぎ澄まされた映像にセンスを感じる。全編に映画愛が滲み出てい>>続きを読む

五福星(1984年製作の映画)

3.0

強烈なキャラクターが5人もいて、ジャッキーやユン・ピョウまで出てくるのでお腹一杯になってくる。コメディ感の強いやり取りが楽しい。サモ・ハンの豪快かつ洗練されたアクションに注目したい。

拳精(1978年製作の映画)

2.0

妖精に拳法を教わるというトンデモ映画だが、ジャッキーのコメディセンスのおかげで楽しむことができる。ファンタジックな設定を除けば意外としっかりとしたアクションがあり、ストーリーもコンパクトに纏まっている>>続きを読む

オー!ファーザー(2013年製作の映画)

3.0

伊坂的ストーリーは可もなく不可もないが、いくつかの綻びをそれとなく纏めていく作業の巧みさには感心する。4人の父親という設定と4人の個性的な俳優の配置が良い。

新ポリス・ストーリー(1993年製作の映画)

3.0

終始シリアスな展開ではあるが、しっかりとジャッキー・アクションも盛り込まれており、最後まで飽きさせない作りをしている。とにかく犯人役の刑事が憎たらしく描かれており、爆破シーンの迫力もあって、胸のすくラ>>続きを読む

ファイナル・プロジェクト(1996年製作の映画)

4.0

雪山や水中といったフィールドでもジャッキーらしいアクロバティックなアクションが堪能できる。脚立を使った格闘シーンが印象的。

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)

4.0

宇宙空間という極限状況が常に緊迫感を生み、再現性の高いCGと撮影の妙技により最後まで予断を許さない演出。ストーリー性を潔く削ぎ落としているが、だからこそシンプルなテーマがあり、ラストで力強く大地を踏む>>続きを読む

ミラクル7号(2008年製作の映画)

2.0

チャウ・シンチーらしいコメディ要素は抑えめで、謎の小動物による荒唐無稽なシチュエーションを親子の絆というテーマで味付けしただけのミニマルなストーリー。7号は可愛さよりキモさの方が際立っており、なかなか>>続きを読む

バトルクリーク・ブロー(1980年製作の映画)

3.0

非常に映画的な作劇の展開を見せ、ジャッキーとアメリカ系アクションの相性の良さが出ている(同時にジャッキー映画的なギミックは少ない)。冗長なローラースケート・シーンや、大きな見せ場のないバトルは残念だが>>続きを読む

デッドヒート(1995年製作の映画)

3.0

カー・アクションを主体とした作品だけあって、いつものジャッキー映画にはない独特な緊張感がある。脂の乗り切ったバトルも迫力があるし、ジャッキーの可愛い日本語セリフも堪能できる。

ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)

4.0

観念的でグロテスクな映像は人間の本質を抉るかのよう。宗教や暴力やセックスの描写とともに様々な動物が現れるのは、単に対比しているようにも見えるし、神懸かり的な意味合いがあるようにも見える。ラストは究極的>>続きを読む

地獄でなぜ悪い(2013年製作の映画)

2.0

園子温は映画に情熱はあっても映画そのものを愛しているわけではないということを改めて痛感した作品。そのスタンスは最高の映画を撮ることに固執する主人公と同じだ。役者も良い、バイオレンスな描写も迫力がある、>>続きを読む

ストーカー(1979年製作の映画)

3.0

序盤からセピア調のくすんだ映像、お得意の水の描写は泥や重油に侵され美しさを感じることはない。そこに3人の男の、というより人間の本質的な有様が表れているように見える。長回しの静かな時間が余計に心の奥を抉>>続きを読む

凶悪(2013年製作の映画)

3.0

ある程度の誇張はあるとはいえノンフィクションだという事実に悍ましさを感じる。純粋悪としてのリリー、ピエールの演技が素晴らしいのに加え、リアリティのある描写と映画的な脚色をバランス良く配置し、正義感に燃>>続きを読む

(500)日のサマー(2009年製作の映画)

1.0

ところどころ斬新なカットもあるし、構成そのものは見事だが、極端に凡庸な恋愛映画。恋愛に興味がないというサマーは美人というほどでもないし、恋に落ちて、思い悩んで、キスをして、ケンカして、価値観の違いを感>>続きを読む

別離(2011年製作の映画)

3.0

イスラム教義におけるいくつかの制約、あるいは貧富・男女の格差、そういった状況が登場人物たちに取り返しのつかない嘘を吐かせる。家族や名誉を守ることとコーランに従うことは、結果的に矛盾してしまうという点で>>続きを読む