トノモトショウさんの映画レビュー・感想・評価 - 53ページ目

愛と青春の旅だち(1982年製作の映画)

3.0

良い意味でも悪い意味でも "映画" という一つの枠組みの中にきっちりと収まっている。邦題にある "愛" はしっかりと描かれているわけではなく、主人公の境遇や軍曹とのやり取りは "青春" と呼ぶような類>>続きを読む

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

4.0

ボサボサの髪、薄汚れた服、そして眼帯という姿のビノシュだが、どの出演作品の中でも断トツに魅惑的に見える。視力を失うという設定が彼女に不幸を纏わせ、同時に美しくさせてもいる。だからこそ天涯孤独なアレック>>続きを読む

ボディガード(1992年製作の映画)

2.0

割と早い段階で男女の関係になってしまったせいでコスナーの立ち位置がブレてしまい、無駄なサスペンス要素と散漫なエピソードが良くも悪くもハリウッド的で、退屈でもあるが面白く観ることができる。ラストのホイッ>>続きを読む

十三人の刺客(1963年製作の映画)

3.0

ラストの壮大な戦闘に至るまでの一連の流れが冗長で、肝心な戦闘も迫力に欠ける。ちまちまとした動きの中で役者陣の円熟した演技は流石。片岡千恵蔵の迫力・アラカンの流れるような殺陣・西村晃の気概溢れる死に様な>>続きを読む

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997年製作の映画)

5.0

マット&ベンの脚本は所々に納得のいかない部分もあるし、紋切型のクサイ台詞にも鼻白む点はあるにせよ、ここまで精緻で真摯なシナリオにはそうそうお目に掛かることはできない。彼ら自身の演技も良く、なによりロビ>>続きを読む

恋におちて(1984年製作の映画)

1.0

終始はっきりとした態度に出ない男女による典型的な不倫映画。身体の関係のないプラトニックな恋愛なだけに余計にもどかしくタチが悪い。全体的に納得のいかない物語で、結局お互いに想いを断ち切れていないラストの>>続きを読む

ゼロの焦点(2009年製作の映画)

2.0

安い2時間ドラマのような演出が映画らしさを全て覆い隠してしまっている。広末涼子のナレーションには説得力がなくミステリー然とした緊張感がない。中谷美紀の演技史上最も恐ろしい表情には度肝を抜かれたが、彼女>>続きを読む

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011年製作の映画)

4.0

物語構築のお手本のような作品だと思う。大胆な設定を繊細に描きながら、絶望的な状況を悲観的に映し過ぎず、かといってハッピーにもならないリアルさ。父との思い出・間借人との交流・鍵を探す過程・母とのやり取り>>続きを読む

ア・フュー・グッドメン(1992年製作の映画)

3.0

法廷劇というのはドラマが豊富でカタルシスに長けるので面白く観られた。確たる証拠もないままハッタリだけで罪を暴く会話劇、特にトム・クルーズとジャック・ニコルソンの演技合戦には興奮させられた。納得のいかな>>続きを読む

シコふんじゃった。(1991年製作の映画)

3.0

学生相撲を題材にしたことがまず一つの成功点であり到達点でもある。スポ根になり過ぎず、それでいて熱い展開を見せるのが良い。素人女性の拙い演技と汚い肌をさらけ出す一連のシーンは目を覆うが、竹中直人の独特な>>続きを読む

プリンセス トヨトミ(2011年製作の映画)

2.0

そもそも突拍子もない物語なのだから、妙なリアル感は排して壮大なヴィジュアルで見せつけて欲しかった。結局は堤と中井による直接対決さえあれば良く、無駄に豪華なキャストである必然性もない。プリンセス役の女子>>続きを読む

蛇鶴八拳(1977年製作の映画)

3.0

初期ジャッキー功夫作品の中でも序盤からジャッキーの達人技が見られ、次から次へとアクションが展開されて飽きさせない。魅力的なキャラクターも多く登場し、多対多の格闘シーンには胸を躍らされる。

プロジェクトA2 史上最大の標的(1987年製作の映画)

3.0

前作の大まかな設定のみを流用しただけの続編でアクションの質は前作よりもやや劣る感はあるが、様々な組織が入り乱れるストーリーの面白さ、マギー・チャンの部屋で繰り広げられる "鉢合せ" コメディ展開の可笑>>続きを読む

清須会議(2013年製作の映画)

2.0

歴史上の人物を贅沢なキャスティングで再現しており、大泉洋・寺島進・伊勢谷友介のキャラクター描写は流石に巧い。三谷幸喜らしい題材ではあるが、コメディらしさは皆無、かといって歴史ものとしての重厚感がない。

白いリボン(2009年製作の映画)

4.0

ミステリー的な構成でありながら最後まで犯人が明示されず、物語の全容は曖昧なまま淀み・しこりのようなものだけを残して終わる。ラスト近くでもたらされるニュースによってナチズムの萌芽が見てとれるが、村社会の>>続きを読む

レッド・ブロンクス(1995年製作の映画)

3.0

90年代ジャッキー映画の中でも特にアクション・スタントの質が高い。ジャッキー自身によるコメディ要素が少ないのが勿体無いが、そのあたりの全てをアニタ・ムイが担っており充分楽しめる。ラストのホバークラフト>>続きを読む

どん底(1957年製作の映画)

3.0

黒澤作品常連陣がそれぞれ個性の強いキャラクターをこれでもかと演じており、特に左卜全が良い味を出している。暗澹たる物語でありながらどこか滑稽でポップな印象を与えられるのは、今の生活から抜け出そうともがく>>続きを読む

探偵物語(1983年製作の映画)

2.0

良くも悪くも薬師丸ひろ子に頼り切った映画という感じで、おてんばな主人公に魅力を感じなければ胸糞悪い物語だと思う。おかげで松田優作の影も薄い。突っ込みどころの多い脚本ではあるが、全体としてすっきり纏まっ>>続きを読む

ドラゴンボールZ 神と神(2013年製作の映画)

3.0

「ドラゴンボール」世代へのファンサービスのような映画。バトル要素はあまり重要ではなく、コミカルなキャラクター達の動向を楽しむだけで良い。特にこれまでのイメージを100%覆すベジータが面白い。

惑星ソラリス(1972年製作の映画)

4.0

タルコフスキーだから表現できるSFという印象。宇宙とか科学といった要素は表面的なものでしかなく、実はあまり意味をなさない。幻想が形を成したとき、もっと厳密に言うと亡くした妻と再び愛を育むチャンスが生ま>>続きを読む

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

3.0

黒人奴隷制というテーマに真っ向から挑んでいるというより、ジェイミー・フォックスを西部劇の世界に投入すれば格好良いものになるのではないか、というタランティーノのマニアックなアイデアを基準とした作品。実際>>続きを読む

お熱いのがお好き(1959年製作の映画)

3.0

コメディとしての脚本の巧みさ、カーティス&レモンの怪演も見所ではあるが、特にこの作品のマリリン・モンローは言葉では表現しきれないほどにキュートかつセクシーであり、それ以外は全て余剰にしか見えないくらい>>続きを読む

七年目の浮気(1955年製作の映画)

2.0

コメディというよりは妄想癖の強い主人公のただ不憫な姿を映し出したドラマだが、トム・イーウェルの巧みな演技はそこに哀愁を漂わせない。絶頂期のマリリン・モンローの美しさに目を奪われるものの、物語としては地>>続きを読む

ツリー・オブ・ライフ(2011年製作の映画)

3.0

この作品は現代版「ヨブ記」であり、それ以上の命題は含まれていない。父と子の確執や弟の死という事象はあくまでアメリカ映画的な意訳でしかなく、キリスト教の観点からすると何も難解な部分はない。壮大なスケール>>続きを読む

R100(2013年製作の映画)

1.0

過去3作で徐々に映画的文法を収得していたはずの松本だが、ここにきて極端にシュールなコントに帰結してしまい、観客との隔たりをさらに広げてしまった。突拍子もないアイデアを形にしてしまうのが松本の才能ではあ>>続きを読む

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)

3.0

しっかりとした脚本があり、ペン・ロビンス・ベーコンという演技派俳優3人が揃えば良い映画ができるのは当たり前。もちろんイーストウッドの丁寧な演出も効いており、胸糞悪くすっきりとしない結末も受け入れること>>続きを読む

屋根裏の散歩者(1992年製作の映画)

3.0

原作に忠実でありながら実相寺らしいカット・照明といったオリジナリティが噴出しており、相性の良さが窺える。あまり緊迫感のない演出なので、各住人の倒錯的な嗜好をもっと緻密に描写しても面白かったのではないか>>続きを読む

レンブラントの夜警(2007年製作の映画)

2.0

レンブラントあるいは「夜警」に対する前知識がないと、なかなか作品世界に入り込めない。グリーナウェイらしい演出は冒頭の数分しかなく、あくまでレンブラントの謎に迫ろうと無理に劇映画然とした無難なミステリー>>続きを読む

バットマン(1989年製作の映画)

3.0

他のヒーロー作品に比べてバットマンというキャラクターや、ゴッサム・シティという街には常に暗澹とした雰囲気があり、まさにバートン的ゴシック様式やオカルト性に合致する。だが実際にこの作品を盛り上げたのはジ>>続きを読む

バットマン リターンズ(1992年製作の映画)

3.0

前作同様、敵役が魅力的過ぎてストーリー自体は散漫になっている。キャラクターの背景描写も少なく、彼らの本質的な動機が見えない。バットマンはあくまで狂言回し的な立場でしかなく、ヒーローものとしての爽快感は>>続きを読む

クワイエットルームにようこそ(2007年製作の映画)

3.0

へヴィな題材をブラック・コメディとしてライトに描き、アイロニーを含むラストに至るまでの物語の組み立て方は松尾スズキらしさが良く出ている。それが結果的にこの作品を小演劇的にもしており、むず痒さを感じるの>>続きを読む

松ヶ根乱射事件(2006年製作の映画)

3.0

物騒なタイトルに想像を掻き立てさせ、救いのないラストを期待させる。その一点がこの映画の本質だと思う。閉じられた世界の息苦しさ、田舎特有の生々しさがよく表れている。新井浩文の狂気と山中崇のクズっぷりが良>>続きを読む

バットマン フォーエヴァー(1995年製作の映画)

3.0

敵役のトミー・リー・ジョーンズ、ジム・キャリーのハジケっぷりが良く、肝心のバットマンの影が極端に薄くなっている。相棒ロビンの登場やキッドマンとの恋愛など細かなエピソードが多過ぎて全体のストーリーも散漫>>続きを読む

バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲(1997年製作の映画)

3.0

前作よりさらに設定を放り込み過ぎた上に、シュワルツェネッガーの存在感が大きすぎる為、主人公側のキャラクター描写が疎かになっている。縦横無尽に飛び回るバットマン&ロビン、氷漬けにされる街など、ヴィジュア>>続きを読む

恋の罪(2011年製作の映画)

3.0

センセーショナルで奇抜な映像センスは認めるが、無粋なテーマ設定とあざとい演出は相変わらずの園子温。田村隆一の詩を引き合いに出すのは反則というか、思慮の足りなさを暴く結果となった。冨樫真の演技が絶妙。

黒い十人の女(1961年製作の映画)

3.0

本質的な意味で最もスタイリッシュな映画だと思う。市川崑ならではの画面構成が際立っており、そこに美しい女達を配置することでより洗練された映像になっている。船越英二のクズっぷりには呆れるしかないが、それで>>続きを読む