「地獄へ堕ちろ、人間ども」
血も涙もない人間と涙を流す悪魔。
永井豪の原作漫画は数あるバージョンの中でも『デビルマン-THE FIRST- 』を読んでいる。大学生の自分にとってそう安くはない買い物に躊躇したものの、今となっては大切な作品。
単純ながらに奥深い世界観に惹かれた。特に僕のバイブルである『東京喰種』に影響を与えたことが窺える。移ろいゆく時代の中でも不変で普遍な善悪の問いを探求した傑作。何十年も前の作品なのにこうやっていまだにリメイクされる時点でどれだけこの作品が世界中から支持されているかが分かるはず。
本作はそんな素晴らしい原作に現代的なアレンジを加えながらもストーリー自体は比較的原作に忠実な仕上がりとなっている。精神性や哲学もきちんと受け継いでいながら監督の作家性を全面的に推し出す作家至上主義的な面に関しては一切の妥協がない。
湯浅監督のサイケデリック超弩級エログロ世界で悪魔的センスが大爆発。
個人的にエロのベクトルにもグロのベクトルにもこれほどヤバいアニメは見たことがない。けど見ていくうちにそれが本作では単なるギミックではなく考え抜かれた上での演出だと確信した。人間の狂気と悪を裁くのにグロは欠かせないし、本能的快楽に溺れて暴れる様を描くにもエロは不可欠。
『ないたあかおに』という絵本が個人的に大好きだからそこに影響を受けているようで嬉しい。
第9話最後の明の迫真のセリフに思わず涙がこぼれた。恨み辛み悲しみ全ての負の感情が表出した魂からの叫び。内山昂輝最高すぎる...
最後は色々と旧劇だった。
湯浅監督はすごい。異論は認めない。
