シュローダー

機動戦艦ナデシコのシュローダーのレビュー・感想・評価

機動戦艦ナデシコ(1996年製作のアニメ)
4.8
「好きなロボットアニメは何か?」という問いを投げかけられた際に、真っ先に答えるのは多分この作品だと思う。ロボットアニメにラブコメ要素を大胆に混ぜ込んだ闇鍋状態ながらも、SF的な機知に富んだ見事なシナリオと、個性豊かで魅力的なキャラクターの妙にこそある。ギャルゲーブーム全盛の時代感を伺わせる誰もが可愛い女性キャラたち。僕の推しはやっぱり王道のミズマル・ユリカ。アキトを想う健気さがストーリーの推進力を増していくのが見事。1クール目のどこか牧歌的なほのぼのとした展開も楽しいのだが、2クール目からの怒涛の展開とSF的種明かしには脱帽するばかりだった。ほぼ同時期(前年度)に放映されていたのは「新世紀エヴァンゲリオン」奇しくも物語は非常によく似ている。戦争状態に放り込まれた人間が、権威に都合の良い「正義」に疑問を持ち、「自己」という概念に悩み、常に戦う理由の決断から逃げる。だがそれは結局男と女の間に生じる微明に帰結する。まさにセカイ系のお手本。努力と勝利と友情ではなく、怒りと憎しみしか吐き出すことしか出来ない"バカ"達が紡ぐ、正しくない戦争の中で本当の「正義」と「愛」を探す人間たちの物語。賛否両論の劇場版も含め、僕はとても好きなシリーズです。