浅野公喜

あしたのジョーの浅野公喜のレビュー・感想・評価

あしたのジョー(1970年製作のアニメ)
4.0
西にロッキー有れば東にジョー有り。梶原一騎・ちばてつや原作のボクシング物の定番。テルヒコ・アオイ演じるジョーの声真似をしたり、昭和懐かしアニメ特集等で力石のシーン中心に何度か観た事は有りましたが今回初めて最初から最後まで観ました(79話まで有って凄いボリューム)。力石戦が最後ではなかったんですね。

ジョーとライバル・力石徹やカーロス・リベラ、そしてトレーナー丹下段平らとの絆は同性愛的な香りさえする程に強いのがちょっと意外で、特に段平の溺愛ぶりは強烈(笑)。しかし社会の底辺を這い回っていた孤独な者同士、強い絆が芽生えるのも納得で、二人三脚で夢を追い、ジョーが輝くことで団平も(その頭含め)輝き、そして西や子供達、泪橋の人々に希望を与えていくザ・昭和的下町人情サクセスストーリーは王道且つシンプルながら素直に胸を打たれます。人との繋がりは有りますがどこか孤独な影を拭いきれないジョーの姿も共感を覚える所でもあり。

ボクシングという悪魔に憑りつかれたような力石との戦いがインパクト大だった故にその後のカーロス達との戦いはやや淡泊でしたが、試合とは関係ない上野駅で少年と出逢う66話、牧場が舞台の69話等印象に残るエピソードも。前半の少年院では意外な位強い青山というキャラが好きでした。最終回のラストは後の劇場版主題歌「美しき狼たち」が似合う雰囲気だったので、誰か映像と歌を合わせた動画を作ってほしい所。

リングという限られた空間を主に描きながら、趣向を凝らしたアングル、心臓の音を含む音響やBGMを盛り込むことで視聴者が飽きないような工夫が施されているのも伺えました。

のりちゃんの両親が割と普通のおっさんとおばはんなのが妙にリアル。今のアニメだったら両親共にもう少しかっこいい・綺麗なビジュアルになってそう。サチの下駄攻撃はかなり痛そう(笑)。

最終回に用意されていると思った「あのシーン」が無かったので、これは2も続けて観るしかないですね。
浅野公喜

浅野公喜