チャンピオンカーニバルを制した高嶺竜児は、日米決戦を目前に、ついにブーメランフックを自分のものにする。しかし、竜児はブーメランフックを打とうとするたび肘に違和感を覚えるのであった。一方、左腕を負傷していた剣崎はすでに完治をし、その復活をアピールしていた。そんな日本Jr.チームの動向を影で分析するドイツJr.…。そして、不穏な動きを見せるアメリカJr.チームのブラック・シャフト…彼が向かったのはシシリアンダンディーのドン・ジュリアーノのもとだった。
ドン・ジュリアーノと接触し、アメリカ代表選手のバックアップをする約束をとりつけたブラック・シャフト。次に彼が行なったのは、ドンの情報に基づく選手のピックアップだった!! 16人を葬った巨体の無頼漢、囚人ナンバー999「モンスター・ジェイル」…。物腰の穏やかさとは反対に、鋭い闘志を秘めた貴婦人「ミズ・シャネル」…。族の総長で、仁義と非道をモットーとする「ミック」…。そして、「南部の暗黒帝王」と仇名される最後の人物。それはまさに、アメリカ最凶の殺人チームだった!! 一方、肘の違和感に不安を抱えていた竜児は、故障の原因が「ブーメランフック」の連発によるもの、しかもそれが伝説のパンチ「コーク・スクリュー」であった事を剣崎から告げられていた…!!
ついに日米決戦の幕が開いた! 全世界同時生中継という華々しい舞台に、颯爽と登場する竜児たち。それに対し、会場に潜む謎の五人目を含むアメリカ最凶の殺人チームは、竜児たちの棺桶を見せ付けて早くも殺意をみなぎらせていた。そんな竜児たちのセコンドを務めるのは、剣崎ジム・ニューヨーク支部から名乗りを上げた天才少女「キャサリン」。第一試合の相手が巨漢のモンスター・ジェイルだと知った彼女は、石松がリングに立つ事を宣言すると、身長差がありすぎるからと異を唱える。「ムリなんて言葉、そう簡単に使われてたまるか!」…最初はそう息巻いていた石松だったが、ジェイルが怒涛のラッシュをモノともしないばかりか、豪快な一発まで叩き込まれてしまうと…!?
日米決戦は、石松とモンスター・ジェイルの対決で幕を開けた!! だが相手は、石松の三倍近くある超ヘビー級。おまけに16人を葬ったという殺人鬼…。4tトラックが300km/hで衝突するのと同じ衝撃だという、およそ300tもの破壊力を持つというパンチに、たちまち体力を削られてしまっていた。もはや目がかすみ、足もロクに力が入らない石松…。だがこのまま倒れる事は、彼の不屈の闘志と持ち前のガッツが許さなかった!! 石松は、荒れ狂う海で積み重ねてきた、消波ブロック相手の猛特訓を思い出し、一発逆転の秘策に出る。何と、ジェイル渾身の一撃をそのまま利用し、玉砕覚悟のフライングパンチを繰り出したのだ!!
石松渾身の一撃を食らっても、モンスター・ジェイルは倒れなかった…。しかもヤツは風圧凄まじいパンチで、ジリジリと石松を追い詰める…!! もはや打つ手はないのか!? いや…石松には、対ジェイルのために編み出した必殺パンチがある!! タイミングを見計らった石松は、ジェイルのパンチを食らうことで中空高く舞い上がり、落下速度を加えた空中パンチで対抗。ついに勝利を我が手に掴んだ!! だがそんなジェイルより強い相手が、竜児たちの前に現れる。彼女の名は「ミズ・シャネル」。目を見た相手を自在に操る、不思議な眼力の持ち主である。そんな彼女と対戦するのは、ピアニストの肩書きを持つ「河井武士」。果たして、軍配はどちらに…!?
第二回戦「河井武士vsミス・シャネル」が行なわれている間、第一回戦を終えたばかりの石松は、対戦相手だったモンスター・ジェイルと共にいた。そこで石松に心を開き、自らの生い立ちを語るジェイル。どうやら彼は幼い頃から両親や周囲の人間に恐れられていて、その力を頼る人間に利用されてばかりいたらしい…。もし、ジェイルが自分のように素晴らしい仲間と出会えたなら…。ケンカに明け暮れた過去を持つ石松も、そんなジェイルに同情し、友情を芽生えさせる。一方リングでは、「魔性の眼」を持つシャネルに、河井が大ピンチを迎えていた。それは「ヒュプノス」…眼を見た者を催眠術にかける能力で…!?
「もうヒュプノス(催眠術)は効かない!!」…勇んでミス・シャネルに挑んだ河合だったが、それはあまりに甘すぎた。すでにシャネルのヒュプノスから逃れられなくなっていた彼は、幻影を幻影とも気付かない程、深く術中にはまっていたのである。そんな中、頭をよぎるのは、頼りにしていた姉が出て行った日の出来事。支えを失い、絶望していた彼は、姉の最後のアドバイスで河井家に代々伝わる鉄の鍵盤のピアノと出逢うことになる。そこで血豆をつぶしてまでピアノを弾きこなす苦難を乗り越えていた河井は、そこで見つけた『自分だけのメロディ』を心の支えに反撃。ヒュプノスを跳ね返して逆転のライトアッパーを叩き込んだ!!
ミズ・シャネルが実は男だった事が発覚して終結した第二戦。勝者はもちろん河井、これで日本ジュニアの二連勝だ!! 次なる相手は、全米のワルを暴力でまとめたという生粋の武闘派「ヘル・ミック」。暴力集団「グレート・エンジェルス」のリーダーで、「悪魔の拳」と呼ばれる凶拳の持ち主、まさにナチュラルボーン・マッドネス(生まれながらの狂気)を具現化したような男だった。そんな男の相手を買って出たのは、「神業ディフェンス」「ローリングサンダー」の使い手「志那虎一城」。格闘家の彼にとって、ミックはこれ以ない相手だろう。だがミックは自分が不利な立場に立たされると、卑怯にも京都の志那虎の実家を手下たちに襲わせようとした…!!
第三試合、志那虎とヘル・ミックの戦いは異様な空気に包まれていた。一方的に志那虎が攻められていたのである。実力では決して劣っていないはず…いや、上回っていてもおかしくないのに何故…!? 理由は、京都の実家がミックの手下たちに襲撃され、人質にされていたためだった。だがそれで勝負を捨てないのが志那虎である。彼は志那虎陰流の師範である父を信じてチャンスを待つと、父が手下たちを沈黙させると同時に実力を発揮。卑怯な手段でしか反撃できないミックを、瞬く間に「ローリング・サンダー」で打ち倒すのだった。そして第四試合…ここでついに、アメリカチーム四人目の選手が登場。いよいよ謎のベールを脱ぐ…!!
日米決戦も、あと二戦を残すのみ。すでに日本チームの三戦で勝負はついていたのだが、それでもアメリカチームのリーダー「シャフト」は動じる様子も見せず、不気味な余裕を伺わせる。アメリカチームの五人目「ホワイティ」が会場に姿を現したのは、まさにその時だった!! 彼は剣崎の私設応援団よりもゴージャスな女性達を引き連れ、横柄な態度でスーパースターを気取る。それを鼻で笑った剣崎は、「ブタめ」と挑発すると、左のグローブだけでリングに立った。その余裕はホワイティを侮っているから? いや、それは自信。負けるわけがないという絶対の自信だった。そしてそれを証明するかのように、彼はホワイティを秒殺で下す!!
剣崎の秒殺KOで幕を閉じた第四戦。負傷からの完全復活をアピールしたばかりか、その劇的なパフォーマンスで会場は騒然としていた。これで日本ジュニアチームは四連勝。次のラストマッチ、日本ジュニアチャンプの高嶺竜児と、全米ジュニアチャンプのブラック・シャフトの一戦にも期待が高まる。この頂上決戦こそ、日本とアメリカの雌雄を決する大切な戦い。それを証明するかのように、ゴングが鳴った後のリングは、まさに火花散る修羅場と化していた!! 日本のボクシングはアメリカと100年の差があると豪語するシャフトの反則技「ピボット・ブロー」。そして必殺の「ブラック・スクリュー」。果たして竜児は、勝利を勝ち取る事ができるのか…!?
日本ジュニアチャンプ・竜児と、全米ジュニアチャンプ・シャフトの息詰まる一戦!! それはまさに、本場アメリカに成長著しい日本が挑む構図で激しい火花を散らしていた。竜児の必殺「ブーメランフック」と、シャフトの「ブラックスクリュー」…。それはコークスクリューという名の、アメリカ発祥の大技を、互いのスタイルで獲得したもの。圧され気味の竜児。激突するコークスクリューとコークスクリュー。だが彼の不屈の闘志、竜児を支える仲間たちの想いがひとつになった時、彼のブーメランは、0.01秒の差でシャフトをノックアウトした!! こうして日米決戦は幕を閉じ、また新たな戦いが始まる…。今度は世界。シャフトなど足元も及ばぬ、強豪ひしめく世界だ!!