滝和也

戦闘メカ ザブングルの滝和也のレビュー・感想・評価

戦闘メカ ザブングル(1982年製作のアニメ)
4.5
みんな走れ!
そして生きろ!

何があろうが
気にするな!
やりたいように
生きろ!

大地に根付いた骨太過ぎる
生命の賛歌!

「戦闘メカ ザブングル」

皆殺しの富野の異名を持つ鬼才富野由悠季が放ったコメディメカアクションの傑作。西部劇を思わせるSFアクションであり、その動きの面白さ、お約束を破る破天荒さにサンライズの底力を見ました。

惑星ゾラ。シビリアンと呼ばれた人類はイノセントと呼ばれたドームに住む支配者により統制されていた。ブルーストーンと呼ばれた鉱石を掘るロックマン、それをイノセントに運ぶ交易商人、その配下の運び屋、その用心棒かつ労働者であるブレーカーがシビリアンとして経済を支える特異なシステム。どこまでも広がる荒野を疾走るランドシップと二足歩行機械、ウォーカーマシンが闊歩するその世界は正に西部劇。

それを支える三日限りの掟。盗み、殺しをしようが三日逃げ切れば罪状がなくなる凄まじい世界。その世界の中、親を謎の男、ティンプに殺されたジロン・アモスが仇として、掟を破り追跡し始める所から舞台の幕はあく。仇を撃つため、カーゴ一家の新型ウォーカーマシン、ザブングルをサンドラットと呼ばれた少年少女たちと掻っ払らおうとするジロン。それは惑星ゾラの運命を変える一幕になり…。

出てくるキャラが全てパワフルで好きな様に生きようとする。毎回ウォーカーマシンでの派手な戦闘が続くが、死人らしきものはほぼ出ない。今回は誰も殺さないと決めた富野由悠季が徹頭徹尾、キャラを動かしまくり、その生命の大切さ、自由を掲げ疾走するアニメであり、その真逆なタッチが彼の才気の凄みを増す。

キャラの動きは未来少年コナンやルパンの宮崎駿に近く、ウォーカーマシンもそれに近いギャグ調の動きでアニメとしての楽しさに溢れている。ある意味、タイムボカンシリーズに近いかも(笑)更に掟破りの主人公メカの交代はこの作品から始まる。そもそもザブングルが2台あること自体異例(ガンダムでさえ一体)であり、後半はウォーカーギャリアにジロンは乗り換える。因みに特撮ではジャンボーグAがジャンボーグ9に乗り換えるが…。ウォーカーマシン自体、基本飛べないし、ガソリンで動き、ハンドル操作と言う荒唐無稽さであり、そこがかえって世界観に合う。後半登場するドランやブラッカリィは飛行でき、強敵になるし…。そのデザインはある意味、土木機械のようでもあり、イデオンの重機動メカのラインでもあり、愛くるしさがあり、メカフェチにはたまらない(^^)

物語はいつしか、統治者イノセントとシビリアンの戦いに拡大し、更に激しさを増すのだが、コメディ調は変わらず。恋あり、裏切りあり、そして惑星ゾラの謎ありと中々楽しませてくれる。ストーリーの楽しさ、キャラの明るさ、バイタリティが今の閉鎖的な世界の空気をぶち壊すこと請け合い。

ジロンの男気と拘り、明るさとパワフルなバイタリティが魅力であり、未だ忘れ得ぬ名作。ビデオで全話撮って何回も見てましたね。こんな時代だからこそ、再放送が期待されます(^^)

霞んだ地平の〜向こうを見たくて、
とMIOさんの挿入歌が最高でした(^^)
滝和也

滝和也