人里離れた山の中で父親と2人で暮らす野生児、鉄兵。今日も町に下りて畑を荒らすわ、牛乳配達の自転車を蹴倒すわ、学校に入り込んでケンカ騒ぎを起こすわとやりたい放題。鉄兵が学校に通っていないと知った明泉中学の高橋先生は、教育者として忠告しようと鉄兵の住む粗末な小屋を訪れるのだが、想像を絶する親子の振る舞いにとんでもない目に遭わされる。

酒を無理やり飲まされたせいで翌日の昼過ぎに目覚めた高橋先生は、帰ろうとしたところでダイナマイトの発破音を耳にする。騒ぎの元はもちろん鉄兵親子。彼らはこの山に眠る埋蔵金を探し求めて住み着いていたのだ。彼らのメチャクチャな生活を改めさせようと食い下がっていた高橋を体よく追い払う二人だが、鉄兵が野うさぎ狩りで留守にしている間、突然の落盤事故が起きてしまう。

明泉中学きってのワル、中条が鉄兵の家にやってきた。高橋先生が呼んでいるので学校に来いと言う中条に食ってかかったケンカ自慢の鉄兵だったが、逆にコテンパンにのされてしまう。ダイナマイトまで持ち出したケンカ騒ぎで鉄兵親子は警察に連行されてしまうのだが、どうやら中条も埋蔵金のことをかぎつけていることを知り、気が気ではない親子はまたしてもひと騒動巻き起こす。

警察署でダイナマイトを爆発させ、騒ぎに乗じて逃げ出した鉄兵は、中条の住む養護施設に殴りこみをかけるが、中条は不在だった。中条を泥棒呼ばわりする鉄兵に子供たちは怒りをあらわにする。中条を待つ間に子供たちと夕食をともにした鉄兵に、園長は剣道をやってみないかと勧めるのだが、初めて身に着ける防具と竹刀に戸惑うばかり。そこに戻ってきた中条。鉄兵は横取りされた埋蔵金の恨みとばかりに飛び掛ってゆく…。

中条との勝負の翌日、再び警察に連行された鉄兵はそこで迎えに来た叔父の良二に会う。鉄兵の父、広美は12年前に埋蔵金の夢に浮かされ、名門の家と家族を捨てて出て以来、連絡すらしていなかったのだ。最初は渋っていた広美だが、宝探しは足が治ってからでいいのではと良二に説得され、鉄兵と共に東京に戻る決心をする。 きちんと着飾って家族の元に送り届けるべく、良二が二人を町の洋服屋へ連れて行くと…。

上野駅で鉄兵父子を待っていたのは母のしのぶ、兄の憲一と義行、双子の姉の百合子と桃江、妹の加奈子。皆が期待して待っていたのだが、12年ぶりの再会だというのに、粗野な鉄兵たちは感動の再会すら台無しにしてしまう。戸惑うばかりの家族をよそに上機嫌だった広美だが、祖母の存命を知った瞬間、急におびえだし「もう帰る！」と言い出して聞かなくなってしまう。破天荒な父さえ恐れる祖母とはいったい何者なのだろうか？

上杉家において絶大な権力を持つ祖母の妙から、12年間の家出の理由を問い詰められて萎縮してしまった父、広美。これまでのずさんな生活は、名門上杉家にとって許されないのは明白であった。一方、妙の恐ろしさを知らない鉄兵は、それまでの暮らしぶりを包み隠さず話して、廊下で立ち聞きしていた家族にショックを与える。更には不意をついたいたずらで妙を驚かせ寝込ませてしまうのだ。

ふがいない息子と孫に対し、ついに妙の怒りは頂点に。病み上がりとは思えない調子で薙刀を持ち出し鉄兵を追い回す。一方、鉄兵は妙を挑発しながら逃げ回り、ついには妙の部屋へ入り込んで重要文化財に指定された備前長船の名刀を持ち出した。ところが刀を振り回しているうちに疲れ果て、とうとう妙に捕らえられてしまう。このままでは妙に何をされるかわからないと悟った家族は…。

妙の怒りを鎮めるために、良家の子女が通う名門王臨学園に編入させられた鉄兵。しかし、自分の名前すら満足に書くことが出来ず、これまで同じ学校に三日と通えたためしの無い鉄兵がおとなしくしているはずもない。入学初日から学校放送ジャックに授業妨害、火災報知器にけつまずくやらで、ついには消防車まで出動する大騒動を巻き起こしてしまう。

学園への編入初日から大騒動を起こした鉄兵に対し兄弟たちは大きな戸惑いを覚えるが、鉄兵本人は全く意に介しない。授業中もずっと眠ってばかりで、とうとう一週間が経ってしまう。放課後になり、王臨学園ではどれかクラブに所属するのが規則だと言われ、しぶしぶ運動部の見学に向かった鉄兵。野球部、柔道部など見ていくが、何故かラグビーには強い関心を抱く。

ラグビー部で大騒ぎを起こし、キャプテンに怪我を負わせてしまった鉄兵。担任の佐藤先生は勉強よりも先に運動部に入れて、だらけきった性根を叩きなおそうと、鉄兵の家族をその計画に巻き込むのだった。だが鉄兵は疫病神として有名で、どの部も鉄兵が現れると警戒する。もはや受け入れてくれる部はなくなってしまったかに見えたが、鉄兵が剣道をかじったことがあると聞いた佐藤先生は、早速剣道部へと連れてゆく。

剣道部入部を果たした鉄兵だったが、部の面々にとってはいい迷惑。しかし、先生からの頼みなのでむげに断わる訳にもいかない。そこで、主将の吉岡は徹底的に鉄兵をしごいて自分から退部させようと画策、鉄兵にグラウンド50周を命じ、音を上げさせようとするのだが、驚いたことに鉄兵は楽々とこなしてしまう。鉄兵の運動能力に気付いた他の運動部キャプテン達は、剣道部が追い出す気なら鉄兵をよこせと吉岡に詰め寄る。

鉄兵を他の部に渡すのも惜しい吉岡は、鉄兵の正式入部を認める。防具を身に着け先輩の稽古を見学しているよう命ぜられるが、おとなしくしていられる鉄兵ではない。下級生たちに中条との試合の話などを始め、とうとう吉岡の怒りが爆発。腕のほどを見せてもらおうと吉岡と鉄兵は試合をすることになる。そんな時、明泉の樅ノ木学園上京して来たサチが鉄兵を訪ねてやって来た。

作法知らずのハチャメチャ剣法ながら、吉岡主将から面を奪った鉄兵は学園中の噂に。しかしこれでは剣道部のメンツが立たないと部員に言われ、吉岡は鉄兵に改めて正式な勝負を申し入れる。試合は三本勝負、初めこそちょこまかと動いて吉岡を翻弄していた鉄兵だが、本気を出した吉岡の得意技『地摺り八双』の前にはタジタジ。あっという間に２本を先取されてしまう。

吉岡との勝負の後、少しずつ学園の生徒たちとも打ち解け始めた鉄兵。しかしお調子者で目立ちたがり屋の存在は、学園の不良グループの目を引いてしまう。だが鉄兵はそんな事はつゆ知らず、吉岡たち高等部の先輩が補習授業でいないことをいいことに、防具をつけない練習、鉄兵流ケンカ剣法を部員にコーチするのだ。やがて不良グループが道場まで殴り込みをかけて来る…。

不良の一人、牛山の振り回す分銅鎖が迫る。部員たち誰もが目を覆う中、軽く身をかわしてあしらう鉄兵。的が外れた鎖は道場の壁や床に空しく穴を開けるだけだ。ルール無用のけんか勝負に大喜びの鉄兵に牛山が倒され、並の男ではとてもかなわないと見た不良のボス格、笹川は自らトンファーで鉄兵に挑むが、これまた軽くあしらわれ、逆に医務室送りにされてしまう。

けんか剣法で不良たちを撃退した武勇伝で、学園の幼稚園部のちびたちのアイドルになってしまった鉄兵はサイン攻めを受けるなど絶好調。さらに剣道部の宿敵、東台寺学園との対校試合に出られるかもしれないとあって練習にも熱が入る。しかし、中等部の部員たちだけで出かけた神社での野外練習に、再び笹川たち不良グループが現れて…。

吉岡たち高等部の目を盗んで、こっそりけんか剣法の特訓にいそしむ中等部の部員たち。遅れて来た鉄兵は誰とも組んでもらえず、やむなく宙吊りにした無数の木刀を相手に見立て一人でトレーニングを始めるのだが、その姿を吉岡主将に目撃されてしまい、大目玉。さらにけんか剣法の件で言い争いになり、中等部員への悪影響を考えた吉岡は鉄兵に退部を言い渡す。

鉄兵の剣道部残留をかけて、中等部と高等部の代表で試合をすることになった。中等部は二級の三浦、高等部は二段の磯川だ。全く磯川にかなわない三浦だったが、何度も打ち込まれるうちにけんか剣法の呼吸を思い出し、磯川をたじたじさせる。しかし、どんなに強かろうと品格がなければ公式戦では通用しないと吉岡たちは断言、鉄兵を放り出すが、おさまらない鉄兵は吉岡に殴り掛かる。そこへ一人の老人が現れ…。

終業式を終えた放課後、女の子と連れ立って歩く吉岡の姿を見かけた鉄兵は、からかって手を出すが、逆にその女の子、勝子にコテンパンにやられてしまう。おさまりのつかない鉄兵は跡をつけて行くのだが、たどり着いたのは剣道部部長の曽根の道場だった。勝子は曽根の孫だったのだ。殴りこむ格好で再び勝負を挑む鉄兵。一方、なかなか帰宅しない鉄兵を探し、妙は学園を訪れる…。

剣道部の合宿先が明泉と知り、祖母の妙は鉄兵が明泉懐かしさに家に戻って来ないのではないかと心配する。一方、広美はこの絶好のチャンスに再び家を出て宝探しの旅に出ようと画策。広美の様子がおかしいことに気付いた鉄兵は、埋蔵金が見つかったら山分けだと、広美が門番の目を盗んで家を出ることに協力するが、運悪くパトロール中の警官が現れて…。

剣道部の強化合宿で明泉の町に向かう鉄兵は、列車の中で大声で歌ったり、オイチョカブをやったりとで曽根先生をあきれさせる。町に到着してから「なんとなく見たことがある町だ」となかなか思い出せないが、爆破した警察署の建物を見て、やっと自分がいた町だと気付く。町は「ダイナマイト小僧が帰ってきた」と大騒ぎだ。中条に借りを返す番だと樅ノ木学園、明泉中学と中条を探して駆け回る鉄兵だが…。

明泉寺での合宿初日から大寝坊の中等部部員たち。たるみきった下級生に主将の吉岡は、朝食までのわずかな時間に掃除と素振り1500回、防具をつけたままでのロードワークを済まさなければ食事抜きだと命じる。素振りをさぼろうとしても寺の和尚が見張っている。やっとロードワークに出たが、とても間に合いそうもない。だが、鉄兵にとっては勝手知ったる明泉の町。帰りは近道を使って楽をしようと部員たちに提案する。

勘違いから先輩の分の朝食まで平らげてしまった鉄兵たち中等部部員は、吉岡たちに完全な目の敵にされてしまいひどいシゴキを受ける。頼みの鉄兵すら倒れてしまい、部員たちは意気消沈。夕食を食べる気力すらないばかりか、小畑たち三人は家へ帰ろうとする始末。しかし、起き出した鉄兵はしごかれるのも作戦だと、平気な顔で三浦たちが作ってくれたおにぎりを頬張り始めるのだった。

相変わらず厳しい先輩たちのしごき。しかし、シゴいているうちは先輩も自分たちの稽古ができないのだから、合宿最終日の選手決定試合で勝ち目も出てくるだろう、というのが鉄兵たちの狙いだった。合宿が始まってから一度も風呂に入っていないことに気付き、鉄兵は皆を風呂場へと引っ張って行く。余裕の見える下級生の姿から、その真意に気が付いた吉岡たち高等部の部員たちは焦り出すのだった。

ついに合宿最終日。東大寺学園との対校試合の出場選手を決める模擬戦の日だ。試合は中等部と高等部それぞれから選抜された７名の対決で、勝ったグループが出場権を得るというもの。一番手の小林は、高崎の油断に付け込んで、簡単に二本取る。このまま試合はいただきかと思ったのも束の間、徐々に本来の実力を発揮し始めた先輩部員たちにおされ始めてしまい…。

２勝１敗と善戦する中等部だが、冷静さを取り戻した高等部にこれといった作戦も思いつかぬまま、小畑、三浦と続いて２連敗を喫し、一挙に逆転されてしまう。練習の時より動きが鈍い原因、それは着慣れない防具のせいで、身軽さが発揮できないからだと気が付いた鉄兵たちは、主審の曽根先生に防具無しでの試合を申し出る。これでいよいよけんか剣法の復活。先輩たちへの反撃はこれからだ！

けんか剣法で一気に勢いを取り戻した中等部グループ。３対３で迎えた最終試合は、いよいよ鉄兵と吉岡主将の直接対決だ。吉岡は精神的に追い込まれているせいか、部員たちの予測より早く得意技『地摺り八双』によって面一本を先取する。しかし、鉄兵に二度も地摺り八双が通用しないことを悟った吉岡は、『三方風流し』と呼ばれる足さばきで時間切れを狙うが…。