リミナ

リコリス・リコイルのリミナのレビュー・感想・評価

リコリス・リコイル(2022年製作のアニメ)
3.7
ガンアクション×女の子バディのオリジナルアニメ。

性格も価値観も真反対な千束とたきな。喫茶リコリコで過ごす中で感化されて感情豊かになっていくたきなの様子が微笑ましい。が、あまりに存在が大きすぎて依存的にも見えてくるのが中々に罪深い。

本作の見所と言えば個性的なキャラクターを演じる声優面。アドリブを含め笑い方や声のトーンなど自然体な演技で、その場に実在しているかのような解像度の高さ。

それに加えてキャラクター像を作り上げるのに一役買っているのが複数パターンある私服設定。第4話で描かれる通り、たきなは私服を自分では全くと言っていいほどに買わない。そんな中で主にOPEDで複数の私服姿を映すことで、たきなが千束と過ごした日常という本編(1話ごとに約1ヶ月の作中時間が経過している)の補完にもなっているのがポイント。

そんな明るい面の合間に訪れる命のやり取り。国の安寧のためとはいえ、孤児で引き取られ殺人を強要されるリコリス。ただ、本作では重きを置いていないのか、躊躇なく実行できるようになるまでの苦難や葛藤を描いた過程が少ない。また、終盤は千束の命も危ぶまれる展開があっても、そこまで重苦しい雰囲気にはならない。この辺りのシリアスさのバランス加減は評価の分かれ目になるかもしれない。

映像面では、千束とたきなの関係性のターニングポイントとなり得るシークエンスを彩る撮影処理が目を引く。作画としては終始枚数を使った芝居作画や皺の付け方が特徴的な第4話が特に楽しめた。

スタッフ面では足立慎吾氏が初監督を務め、その他セクションに、かつて氏と共にした作品(XEBEC作品やSAOなど)のスタッフも複数人参加。現在はA-1 Picturesに所属していない方もおり、作品外でも人の繋がりを感じられたのが良かった。

お気に入り話数︰3、4

TVアニメの作品数が右肩上がりで増える中、原作の知名度や人気に頼れず、下手したら埋もれかねないオリジナル作品。本作のヒットを受けて、オリジナル作品がより活発になっていくと嬉しい限り。
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