妹が手塚治虫ファンなので高校のときにアトムの原作、さらに浦沢のほうも読み、何もかも簡単に忘れてしまうわたしには珍しくあらゆるエピソードや場面が記憶に強く残っているので観ました。そういえば結構何度も読んでるのかも。
正直説明的なセリフや繰り返しが多く退屈を感じなかったといえば嘘になり、さすがにストーリーテリングが丁寧すぎるのでは？とも思ったけれど、アニメとしては何もかもがすばらしいクオリティです。わたしはノース2号がとても好きなので、1話はずっっっっと泣いてた。そしてなかなか約束を守ることができないゲジヒト、ずっとかわいそうだった。しかしゲジヒトパートのサスペンス感は本当にスリリングで怖くて最高なんよな。ブラント×ヘラクレスパートのハリウッド映画的男の友情もシンプルにいい。アトムパートは当然ながら一気に少年マンガ感が出てしまうが、それを中和するのが天馬博士の圧倒的な色気。あんなにセクシーだったとは、アニメを見なければ気づかなかった重大な発見です、ありがとうございました。一方でお茶の水博士の人間性と科学者としての矜持は原作通りで美しい。すべての科学者がお茶の水博士であれ……
それにしても浦沢版の天才的な発明はゲジヒトを主人公に据えたこと、そしてここまではっきりとイラク戦争を下敷きにしていることだな。時を経て2023年の今アニメ化される意義もあると思う。ありがとうございました。
