滝和也

相棒 season 18の滝和也のレビュー・感想・評価

相棒 season 18(2019年製作のドラマ)
4.4
特命係の闘いは
果てしなく続く…

冠城の悲しみ、右京の怒り…
真実を求め、法の正義の元、
犯罪者に贖罪の機会を
与えるために…

冠城シリーズ第5弾

「相棒season18」

遂に20年目を迎えた大人気刑事シリーズは反町隆史演じる冠城亘を相棒として5年目を迎え、更にエンターテイメントとしての翼を広げて行く…。

今シーズンはエンターテイメントとしてかなりバラエティに富んだ作品群であり、相棒らしさとそれを脱しようとする作品群が入り交じる意欲的なシーズンと言えますね。

あくまでも僕の感想ですが、エンタメとしてモチーフを持つ作品群があります(^^)まずは…初回スペシャルである「アレスの進撃」前後編。ミステリーの王様である相棒故に今迄登場のなかったサスペンスの帝王、船越英一郎登場回。こちらはターミネーターです(笑)奇をてらった展開でいきなり北の離島で右京さんが一服もられてラリってしまうオマケ付き…。「杉下右京の目」は右京さんが目をやられ盲目となる座頭市回。更にロンドン滞在時の相棒南井十とのシリーズを越えた闘いの完結編、「善悪の彼岸」前後編。こちらは正にワトソンがモリアーティ教授だったらと言う展開。水谷豊をホームズとしたシリーズである相棒でホームズ対モリアーティ教授を描くと言う正に本道。右京・冠城も危機に陥りますし、二人の絆を描いた良作でしたね。そうそう…「けむり」もルパンやねずみ小僧…ルパンの娘でしたね(笑)平成の毒婦遠峰小夜子再びの「いびつな真珠の女」もレクター博士ですからね。

レクター博士である遠峰小夜子が狙うのは相貌障害のメイさん。一度見たら人の顔を忘れない小夜子と覚えられないメイさんの組合せが見事。冠城君のお相手として最も相応しい方なんですが…冠城君には辛いシーズンでしたね。この回と合わせ、嘗ての恋人に災いが降りかかる「さらば愛しき人よ」は冠城君のクールな中にある熱さや優しさ、哀愁が出た良回でした。こちらも同じくですが、幼馴染が犯罪に加担してしまう「折の中」前後編。ドローン爆弾…これは時代の先を行ってました。ウクライナ戦争で後に話題となりましたから。

その流れで相棒らしさと言えば時代に切り込む作品群ですが、過重労働、外国人就労制度の問題をジャーナリストの挟持と描いた「声なき声」、ヒロコママ復活回でもある「薔薇と髭との間に」はリゾート会社のM&Aと飲食店批評サイトの闇を描いてました…。こちらの2作品は私の仕事につながる内容で見につまされました。裏側をいくつか知ってましたからね…。

時代に切り込む要素もありながら、オーソドックスな犯罪を違う視点で魅力あるストーリーとするのも相棒。「神の声」は田舎と都会の分断原因に切り込み、且つゴシップの怖さを描いた悲しみに溢れた作品。政治家と企業の汚職事件をトリッキーに描いた「突破口」。杉下右京の鬼気迫る突破ぶりが鮮やか。そして上級国民と虐げられた庶民の怒りから発した事件である元旦スペシャル「ブラックアウト」は正にエンタメの王道。サスペンス性に優れ、トリックあり、どんでん返しあり、右京さんのアクションもありますからね。コメディ回に見せかけて冤罪を描いた「青木年男の受難」こちらはもう一つのダークナイト回にも見えました。代理婚活と言う今風の話の中に貧困、孤独を描いたコメディであり、ハードな「ご縁」も相棒らしさがありましたね。

その中にあった「少女」。こちらは泣けましたね。オーソドックスで小さな話ですが、右京さんと少女の繋がり、優しさが身に沁みて…泣けました。相棒の本道はこれじゃないかなと思いました。

最終話「ディープ…フェイク…エクスペリメント」新たな犯罪方法を提示し、更なる巨悪を示し、次作以降の期待感を増して終了しましたね。冠城と右京さんのコンビがまだ続くことを示して。まぁ今シーズン、右京さんが不調だった(笑)と言うオチと新レギュラー小手毬さんの加入も含めて(^^)

かなり変化球なシーズンだとは思いますが、それはエンターテイメント性を増したパワーアップの為のチャレンジだったかなと。成功か失敗かは見た方次第でしょうねぇ…。僕はファンとして楽しみましたけど。
滝和也

滝和也