滝和也

相棒 Season 1の滝和也のレビュー・感想・評価

相棒 Season 1(2002年製作のドラマ)
4.9
警視庁の陸の孤島、特命係
人材の墓場、杉下右京のもとに
亀山薫がやって来てはや半年。
誰もが辞めるはずの部署が
名コンビとなり、難事件を
次々と解決し始める!

「相棒season1」

水谷豊さんの主演していた2時間ドラマの原作がなくなった事から発案された作品。共演を熱望していた寺脇康文さんとの共演が決まり、水谷さんをホームズ、寺脇さんをワトソンとし、あらゆる事件に関われるように警視庁の刑事、特命係の設定が作られて行った。そしてプレシーズンの2時間ドラマ3本が高評価を経て、遂にレギュラードラマ化されたシーズン1である。慎重を着し1クールとなった。

和泉聖治監督、輿水泰弘脚本を中心に交代制となるスタイルで、変幻自在かつ型破りな刑事モノを創造し、踊る…以後停滞した刑事、警察ドラマの一時代を築いたのは間違いない。このスタートから明らかにタブーを作らず、ぶち破ろうと言う斬新なスタイル、時には明らかなバッドエンドすら厭わないクールさを持つスタイルに度肝を抜かれ、日本のドラマも捨てたもんじゃないと感心しきりだった。

記念すべき第1話。亀山薫、爆弾、人質と言うパターンが出来上がる薫ちゃん人質総監室立て籠もり事件と言う泉谷しげるさんが犯人の派手なスタート。更に不正議員も出てきて…純名里沙さんが中々の下ネタをブチかましながら、ラストもタブーなしかと思われる表現をブチかます展開。更に杉下右京のブレーキ役、味方か敵か不透明な魅惑の人物として小野田官房長、岸部一徳さんが初登場!この頃は回転寿司の皿返す人でしたね。

国家公安委員と対峙してしまう第2話「教授夫人とその愛人」。こちらは死体が消えてしまうと言うトリックが面白い展開。普通そんな事しない…事をするのがエリート?第4話「下着泥棒と生きていた死体」では特命係は警察内部の失態を隠そうとする所轄や上層部と対立する展開に。杉下右京の正義が発動する回であり、正義の先にある真実は苦いものと言う相棒らしさが出た回で初期の傑作でもありました。また法の隙間である一事不再理問題を優秀過ぎる弁護士の登場で描いた第8話「仮面の告白」。伊丹&亀山コンビの悪い面だけが出て無実となる犯人…もう裁く事は出来ないのかと言う危機。二人が共闘する辺りが胸熱、それを助ける右京さんがまた大人。優秀な武藤弁護士に松下由樹さん。後に再演してくれます。タブーに切り込むのは司法、政治のみでなく、犯人が斬新なケースも。第5話「目撃者」ではまさかの犯人が…。ゲストはまだ子役の染谷将太と美保純さん。染谷将太の子役が怖すぎて…。

またミステリードラマとしての基本杉下右京のホームズ、時にはポアロそしてコロンボと言う全てのスタイルを駆使した面白さと亀山薫の人情や優しさを用いた叙情性の高いドラマの面白さを兼ね備えた作品もまた魅力。第6話「死んだ詐欺師と女美術館長の指紋」これは正に亀山薫の人情が引っ張ってきた事件であり、1枚の名画が起こすミステリーであり、ホームズ杉下右京の推理が冴える回。また右京さんのコロンボ的な倒叙ミステリーに亀山薫の優しさがもたらしたハートフルなストーリーが合致した名作第7話「殺しのカクテル」。バーテンダー三好役蟹江敬三さんの名演が忘れられない回となりました。バーテンダーのプロ意識が解決の糸口でしたが…同じくプロ意識がもたらした悲劇が第10話「最後の灯り」。デンショクの言葉悲し…と言う内容でしたね。またプロの矜持と言うか長年の相棒を捨てられなかったのは第3話「秘密の元アイドル妻」。この回の小宮孝泰&大西結花のコンビがなんとシーズン22で復活しました。最長じゃないかな(笑)この回にもう1人セミレギュラーが誕生してます。みんな大好きヒロコママです。このシーズン第6話でも出演。亀山薫が帰ってきて出演増えてますね。

第8話でコンビネーションをみせた亀山と伊丹ですが…伊丹の目立つ回では…伊丹の恋愛失敗の始まりとなる(実は陣川警部補より先にありました…)回が第9話「人間消失」。圧倒的なギミックの面白さで見せてくれます。集団催眠によるあのトリックは衝撃でした。

そして衝撃と言えばラスト回2話、第11話「右京撃たれる!特命係15年目の真実」。狙撃される右京さん。官房長との緊急対策特命係としての作戦、われた特命係のプレートの意味といろんな衝撃が炸裂して特命係がなくなりますと言う話も飛びそうになりましたね。そして最終話「特命係最後の事件」。警察庁勤務となる右京と薫。薫は一旦事件終了までの暫定…。長門裕之さん演じる閣下との対決は内藤剛志さん出演により更に盛り上がる展開。内藤剛志さんも別役でまた出演してほしい方。敵でも味方でもどちらも行けそう。今レギュラーなくなりましたからチャンスなんですよね。脱線しましたがラストは正に初期相棒、官房長がいた時代らしさ満点のラスト…2人は戦い続けるみたいな終わり方。このラストがセカンドシーズンに繋がります。

まだやや遠慮は見えますが…相棒世界の構築は始まっており、国家公安委員だろうが、官僚だろうが…法の下の正義は平等に悪を照らし出し、贖罪の道を示すと言うスタイルが出来上がってます。正義の先にある真実は時として苦いと言うスタイルも…。また比較的見やすい作品が揃っているのもコチラ。まずはご覧下さい。

追記…たまきさん、美和子さん、ものすごい息抜きになってますよね。美和子さんは時には物語を回しますし。幅が広がりますよね。亀山夫妻は。
滝和也

滝和也