タキ

想い出づくり。のタキのレビュー・感想・評価

想い出づくり。(1981年製作のドラマ)
4.4
BS-TBSで再放送。
1981年の作品なので表現に問題があったりノイズがあるとの前置きあり。
山田太一作品はふぞろいの林檎たちをチラッと見た程度でちゃんと通しでひと作品見るのは初めて。すごく面白い。次が気になって毎日楽しみだった。最終回見たら終わっちゃうなと思ってしばらく寝かせて意を決して見た。のぶ代が中野の涙にほだされてやはり結婚すると言い出してあまりに気持ち悪くて一旦録画を止める。あれはDVとかモラハラ男の手口で改心なんかしてない。いいひとだな、じゃないのよ…。気を失いそうな自分を鼓舞してさらに視聴を続けるも、久美子は予期せず妊娠し、出て行った典夫が定職に就くと約束したことでよりをもどした。声にならない悲鳴が出る。しかも久美子の香織への言い草よ。これも典夫はまったく改心してないにカシオミニをかけてもいい。みなさんひっかかっているレイプ事件については、元々久美子は典夫に好意を持っていたという設定だったけど、交際して結婚することでレイプされたという事実をなかったことにしたいという思いが彼女の中にあったのではないかと思う。モラハラ男との結婚も震えるがレイプ犯と結婚もよかったねで済まされない深い闇を感じる。
このげんなりした気持ちをパーッと明るくしてくれたのが田中裕子演じる香織の最終回後半で繰り広げられる超展開ラブストーリーだった。宿泊していたホテルの部屋に知らない男が押し入っていてレイプされかけたが自分で撃退。そこに偶然通りかかった根津甚八そっくりの青山という男と知り合いになりあっという間に恋に堕ちて結婚してしまった(初回の好みのタイプが根津甚八をここで回収)あんたが強すぎてみとれてたっていうのが出会いの一発目で根津甚八だから許されるセリフだし、香織は顔が好みで超絶浮かれてるし、恋愛のトチ狂った感じが溢れててサイコーだった。あと、課長が紹介してくれた岡崎にちゃんとフラれてるのもよかった(香織はフツーに失礼なことしてたからね)岡崎が最終的に結婚相手の処女にこだわってるみたいな話だったけどちゃんと決別しようとする方便でもあったのかなって気がしてる。
10年後をチラッとみせてたけどこの3人が令和6年にどうしているか、山田太一だったらどう書くだろうと想像する。見たかったなぁ。
タキ

タキ