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ミステリと言う勿れのmaroのレビュー・感想・評価

ミステリと言う勿れ(2022年製作のドラマ)
4.0
2022年冬ドラマで面白かった順位:1/9👑
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★★
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★★☆

今期のドラマの中では一番面白いのはこれだったかな。
月9枠で一番面白いって、最近だと『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016)以来かも。

◆久能整のキャラクターがピカイチすぎた

ただのミステリードラマではあるんだけど、
久能(菅田将暉)のキャラクターがひたすらよかったよねえ。
持ち前の知識と鋭い観察眼で、他人の矛盾をズバズバ突きまくる。
さらに、彼の持論や素朴な疑問も面白い。
殺人やいじめなどについてつらつら話すエピソードがあったけれど、正論でありながらも、誰かを傷つけることなく、「なるほど、確かに」と思わせるところが好感持てた。

あと、「なぜ"闘病"と言うのか」、「なぜバージンロードは父親と歩くのか」など、言われてみればなんでだろう?と思うような疑問についても、彼なりのしかも納得できる意見が聞けるのは興味深かった。

◆ライカが切ない

第5話から登場したライカ(門脇麦)。
基本1話完結型の話の中で、準レギュラーみたいな扱いだったから、印象に残っている人も多いのでは。
彼女の出生の秘密は、虐待の末に生まれた別人格という悲しい背景があるけれど、久能との関係は切なかったな。
ミステリードラマなのに、ここだけメッチャ純愛で。
今まで人を好きになったことがない久能が、初めて気になる人だったのに。。。
しかも、死別でもなければ、行方不明でもない、姿形は残るのに人格だけなくなってしまうというやるせなすぎる設定。

あと、彼女とのエピソードですごいのは、コミュニケーションの取り方。
『自省録』という本の中にある文字を、数字暗号にして伝えるんだけど、あんなに早口で言われてるのに、すべて拾いきれる久能の耳と記憶力のよさよ。

◆光るラスト2話の存在感

このドラマで素晴らしいなと思ったのは、話数の構成。
久能を主軸とした話は第10話でライカとの別れでほぼ終わってたと思う。
そこで、残りの伏線を回収するために、第11話では風呂光(伊藤沙莉)が、第12話では我路(永山瑛太)がメインになって動いてて、面白い展開だなと思った。

最近のドラマって、よく「第一部、完」みたいなのが第4話とか5話ぐらいであったりするけど、そもそも一部と二部に分かれている感じがまったくしなくて。
今回のドラマのように、登場人物やメインで動く人がガラッと変われば、それだけで新鮮な気持ちになれるんだけど。

特に最終回で感心したのが、その脚本力の高さ。
前半と後半で2つのエピソードが走ってるから、いくら15分拡大とはいえ、尺はかなり限られてるんだよ。
なのに、しっかり収めたからね。
前半の久能の新幹線のエピソードなんか、時間も空間も限られている中で、しっかりドラマとして成立させていたところが秀逸。
後半の我路のエピソードは、寄木細工の工房でのやり取りが泣けた。。。

◆そんなわけで

なんか続きがありそうな予感はするけど、とにかく面白いドラマだった。
久能のキャラクターに救われました。
BGMがクラシック音楽ばかりなのもよかった。
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