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ロキ シーズン2のmaroのレビュー・感想・評価

ロキ シーズン2(2023年製作のドラマ)
4.0
 ストーリー:★★★★★★★★★★
キャラクター:★★★★★★★★★★
    映像:★★★★★
    音楽:★★★★★

Disney+配信ドラマ『ロキ』のシーズン2。
個人的に、これまで配信されたマーベルのドラマの中で一番面白かった。
マーベル・シネマティック・ユニバースを追う上で絶対に外せない作品だと思う。

このドラマ、スーパーヒーロー映画としてのド派手なバトルみたいなのはないのだけど、MCU全体として見たときのストーリーの重要性および主人公ロキの変化がとてつもなく面白い。
それは、MCUが原作コミックに則り、本格的にマルチバース(並行世界)の概念を取り入れたことが大きく関係している。
無限に広がるマルチバースとそれを剪定する(=リセットしてなかったことにする)TVA。
そのTVAの裏側ですべてを仕組んでいた“在り続ける者”。
彼は、今度のMCUのスーパーヴィランになるとされる征服者カーンの変異体である(カーン自体は『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023)で初登場)。

カーンがいなくなってどんどんマルチバースが発生すると、それぞれのユニバースが衝突して大変なことになりそうなんだけど、この現象はインカージョンと呼ばれて『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)のポスクレでも言及されていた。
つまり、この『ロキ』で起こったことがモロに他の作品にも影響しているかもしれないのだ。
今度のアベンジャーズがマルチバースをメインとしている以上、この『ロキ』はそれらすべての前提となる世界観ということになる。

そして、このドラマを通じて、ロキ自身にもかなり変化が起きる。
『マイティ・ソー』(2011)に初めて出てきたときは、ズル賢い悪い魔法使いという印象で、その後もずっと悪役のイメージが強かったけど、このドラマでその印象は一転、すべての世界を救うスーパーヒーローのようなポジションになっているのだ。
自らが主体となって動き、進んで汚れ役も引き受ける、今までの彼からは想像もできないほどの変化にいい意味でのギャップを感じた。
今回のシーズン2のラストなんか、「おまえ本当にあのロキか?」と思うほど。

そんなわけで、MCUを追っている人なら絶対に外してほしくないぐらい重要なドラマだった。
シーズン1のラスト直後からスタートする上に、これまでのMCU作品におけるロキを知っていないと面白さがわからないかもしれない点で、もはや既存ファン向けの作品だとは思うけど、それぐらい振り切らないともう追いつかないぐらいにはマルチバースが広大な世界観になってきているんだろうな。
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