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不適切にもほどがある!のmaroのレビュー・感想・評価

不適切にもほどがある!(2024年製作のドラマ)
4.0
 ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★★☆

昭和の熱血体育教師がコンプラ全開の令和にやって来るという設定に惹かれ、2年ぶりに地上波ドラマを観た。
で、面白かったんだよ、これが。
まさに日本の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』かと(笑)
昔観た『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』(2006)のようなほどよいゆるさ(特にミュージカル部分)があって、ポップなノリで楽しめた。

このドラマの面白かったところは、タイムトラベルあるあるの「過去を変えて未来を変える」というセオリーを封じて、「現代の当たり前を昭和の観点から切り込む」という新しい視点で描かれていたところ。
ただ、これは世代によって感じ方が異なるかもしれない。
令和しか知らない世代では比較対象がないから。
ちなみに、僕自身は昭和生まれだけど、5歳で平成になってしまったので(年齢バレるw)、昭和を語れるほど昭和を生きてはいない。
だけど、平成も初期の頃は昭和の延長だと思うので、昭和の残り香的なものは感じていたと思う。

だからこそ、昔と比べて今の「わかるけど、それってどうなの?」みたいなところに対する阿部サダヲ扮する市郎の言い分は共感できるものが多かった。
これはもう「よくぞ言ってくれた!」と彼を代弁者のように感じた人も少なくないはず。
確かに令和になってルールは増えたよ。
細かい取り決めが多く、昭和や平成の方が生きやすかったかもしれない。
でも、それってルールが未整備だからこその自由というか抜け道の幅が広かっただけで、実際は守ってくれるものが何もないからこその不利益もあったと思う。
自分は昭和も平成も大部分が学生だったから、あまり不利益を被るような場面に遭遇したことはなかったけど。
そういう意味では、令和の方がいろいろ狭さを感じる部分がある一方で、安心して暮らせる世の中に、、、なってんのかな(笑)
少なくとも、今の自分が昭和にタイムスリップしたらやっていけなそうだけど(笑)
そんな中で

僕が思う市郎のすごいところは、その順応性にあると思った。
彼が時を超えた38年の間に、日本もずいぶん変わったよ。
そりゃSF映画のように、空飛ぶ車があって、ロボットが街中に溢れてて、というような光景では全然ないけど、やっぱり社会の在り方が違うよ。
多様性に寛容になりつつも、様々なルールによって縛られる世の中にはなったと思うけど、市郎はうまく順応していったよね。
あれだけ目まぐるしく環境が変わればパニクって終わりそうだけど、彼は学ぶところは学んで、おかしなところには毅然とした態度で立ち向かうという、意外と臨機応変に対応できる柔軟性があった。
昭和の体育教師なんて頑固で意固地なイメージだから(笑)

あと、市郎と純子に訪れる悲劇を回避するのかどうなのかって気になってたけど、、、いや、これまでのタイムトラベルモノの話ならそこがメインになったとは思うけど、、、これはそういうドラマではないから、結局そこには触れなかったね。
まあ、続編が作れそうな終わり方だったから、今後どうなるかはわからないけど(笑)

そんなわけで、昭和の価値観で令和をぶった斬る痛快コメディでとても楽しめた。
昭和も令和もどちらが正解というのはないのかもしれないけど、最後にみんなで歌っていたように、寛容というか違いを受け入れるゆとりを持つことはいつの時代もどんなときでも大切なんだろう。
いや、それしかまとめようがないけれど(笑)
あとはこの日本でそういうゆとりを持てる人がどれだけいるかってことかな。
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