トケグチアワユキ

うきわ ―友達以上、不倫未満―のトケグチアワユキのレビュー・感想・評価

4.8
社宅の303号室と305号室のとなり同士 (304号室は欠番)、パートナーがそれぞれ浮気している残された側のふたりのプラトニックラヴストーリー。
すごく真っ当で切ない、地味にいいドラマ。

虚しさにおぼれそうになるふたりが、ベランダの仕切りをはさんで逢瀬を重ねることで、それぞれの浮き輪になり日々の暮らしへの思いを繋ぎ留める。

顔を合わせるのは朝のゴミ出しがほぼすべて。
何度か夜にデートをするけど、ここでプラトニックにとどまるのは、パートナーへの安易な報復にしないためにも重要なファクターだし、胸に迫るものがある。

最後に直接会うカラオケボックスの部屋番号が304号室。
そして、4から3へ。

実は子持ちがどこにもいない世界。
私の生きてる世界と同じ、こどもが身近にいない世界。
ここが地続きなのを意識せざるを得ない。

けして遊び人ではないけど自分の感情に向き合うことなく流され生きてきた門脇麦演じる麻衣子が、森山直太朗演じる一 (はじめ)に胸の内を吐露することで、地に足を着けて生きて行くようになるまでのストーリーは、放送時間枠の短さゆえにちょっと描き込みが足らないかなと思う部分もなくはないが、共感は充分できる。
とにかく登場する女性が皆、自立を模索して足掻いている姿は、ある意味で《したたか》でもあるし、痛々しくもある。
ただ、子持ち=責任感=出世みたいな王道の図式から遠くなればなるほど、余裕とともに結果として社会から取り残される形になる現状を、画の積み重ねで子なし落ちこぼれの私にじわじわと染み込ませる。
たくさんの浅いかすり傷に滲みるわ。
いま知ったが、「したたか」を漢字で書くと「強か」か。なるほど。

第6話、麻衣子の夫の浮気相手、蓮佛美沙子演じる歩と小西桜子演じる愛宕梨沙、そして麻衣子が対峙する場面がとてもいい。

ストーリーの着地点など、どうあろうとどうでもいい。
経過を何度も味わうドラマだと思う。
心がふるえる。


完走後スコアリングに伴い、これまでのレビューを一度削除します。
fav付けてくれた方々、ごめんなさい。

レビューは以下にコピペしておきます。


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2021.08.24.追記
第3話終了。
このドラマの見どころは、小西桜子なんじゃないかと思い始めた。
ストーリー展開要員としてもっとも重要な役どころなのは最初からわかっていたけど、もしかするとこのあと仕掛けるかもと想像するだけでワクワクする。
演技もすばらしいし、目が離せなくなってきた。

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キャスティング最高だな。
門脇麦はいつも難しそうな役ばっかりだけど、これはちょっとわかりやすいかも。
どれだけ難解でもそれを理由にイヤになったりしないようにとは思ってるけど、ラクな気分で楽しめる門脇麦もいいと思うな。
スコアは完走後。