トケグチアワユキ

作りたい女と食べたい女のトケグチアワユキのレビュー・感想・評価

作りたい女と食べたい女(2022年製作のドラマ)
4.7
西野恵未がすべてだと思う。
この人をキャスティングできた時点で、このドラマは成功といっていい。
まったく演技経験がないとか、そんなことまったく問題ない。
このドラマになくてはならないもの、それは春日サンの〈食べる姿〉だ。
そこに説得力が欠けては成立しない。
テレビドラマとは〈映像〉作品なのだ。
春日サンを演じる上で西野恵未こそが必要十分にして完璧だ。
プロデューサーも監督もそう宣言しているのだと思う。
それは野本サンと春日サンがキッチンに並んで立つシーンなんかでも感じる。
ムダなモノローグやナレーションはない。
ふたりの間のほんのりと温かい空気は映像にきちんと写っているし、音楽が代弁している。


正直に言うと、不満がないわけじゃない。
たとえば出てくる料理の数々。
私がありきたりなヘテロじじいなので逆に気になってしまうのかもしれないが、これはあまりにも脳ミソ筋肉なマチズモ飯すぎるんじゃないか。
まあ、原作に出てきてるらしいから仕方ないと言えなくもないが、これは単品すぎる。
満腹中枢のいかれた〈好食家〉ならご理解いただけるのではないかと思うが、調理好きに多いのは連続攻撃だ。
エッ、まだ行ける!? じゃあ、これもどうぞ!!こそが、調理好きの真骨頂。
ここはドラマで変えてもよかったんじゃないか。(と思ってたら、シーズン2は原作に縛られずに、いろいろ出てくるらしい。楽しみ。)
まあ、画的にはこういう見た目の料理の方が視聴者にはわかりやすいのかもしれないし短い時間の中ではしょうがない部分もあるとは思うけど。

シーズン1は春日サンと野本サンふたりにフォーカスしたストーリーで、外に関係性の広がる登場人物はほぼいなかった。
すでにシーズン2は新たなキャラクターがふたりと関係を築くようほのめかされている。
ここではじめてふたりの相手への感情が見えてくるだろう。
楽しみで仕方がない。