トケグチアワユキ

いちばんすきな花のトケグチアワユキのレビュー・感想・評価

いちばんすきな花(2023年製作のドラマ)
4.8
とにかくメインの4人が全員〈コミュ障〉。
コミュニケイションの方じゃなく(それもあるっちゃあるけど)コミュニティの方。
今たまたまここにいるだけで、オメェと同じ感性で生きてねぇっつーの!!ってヤツ。雑に近づいてくるんじゃねーって。
いやぁ、ホント、身につまされるわぁ。
物心ついた時からずーっと浮いてる人こと私があこがれ続ける、線引きとデリカシーの共同体生活。
みんな私みたいに口も悪くないし、優しいからさ、飲み込む飲み込む飲み込む。


いずれ終わりが来る。
わかっている。
ただ、いまはこのぬくもりに包まれていたい。
人間だれしもが幸福の中で考える。

知ってるよ。
集まるとは中庸を探ることだと。

世知辛い。

だれかこんな場所を用意してくれないかと願っても、だれもそんなことはしない。
当たり前だ。おまえがだれかのためにそういう場所を用意できるのか、と問われれば自分で精いっぱいと答えるのと同じように、だれかもまた自分で精いっぱい。
おう、いいよ!と引き受けられるとは、イコール生き辛さに耐性のある、われわれのようなデリカシーを簡単に無視できるだれかなんだから。

終盤に向け、ストーリーに不満というか無理を感じないわけじゃないけど、この繊細な世界感を緻密に積み上げていった脚本と演出は、〈これが宗教で言うところの救済なのではないか〉とさえ思った。

プロデューサーの村瀬健が脚本の生方美久、演出の高野舞に絶対の信頼を置いて制作したとインタビューで読んだ。
この組み合わせであと何作か、フジテレビが製作してくれることを願いたい。
あ、続編はいらないです。
ここで、この作品は終わりにしましょう。