トケグチアワユキ

真夏のシンデレラのトケグチアワユキのレビュー・感想・評価

真夏のシンデレラ(2023年製作のドラマ)
2.8
完走後追記(2024. 02. 11.)

かつてよくあったタイプの〈月9〉が復活した感じ。
この〈月9〉という枠に続いてきたであろう、フジテレビのトレンディドラマと呼ばれる作風に関して、なんとなく知ってはいるが観たことほぼない。
イメージとして男女数人ずつのグループによるちょい三角関係ありつつの恋愛群像劇って感じかなぁ。

たとえば、警察モノや医療モノ、経済関連、もしくは人情モノやサスペンスドラマを好きな方々からはとかく低く見られがちなこういうテイストのドラマだが、でも今も昔も最前線で活躍する脚本家がこういったドラマから名を成していくのはよくある話で、私は基本的にキライじゃない。
というか日曜夜の大上段に構えたドラマなんかよりよっぽどこっちのテイストが好き。

さて、ではこのドラマ自体の話。
私は基本的にできる限り配信を使わずドラマを観る。
配信使っちゃうといつでも観られる安心感からけっきょく観ないということになっちゃうから。
そのかわりと言っちゃなんだが、録画する。
リアルタイム視聴はほぼほぼ無理だから。
で、このドラマが放送されていたのは2023年夏クール。
放送が終了してすでに半年過ぎているが、途中まで観て今まで放っておいた。
飽きたから。
半年過ぎて録画を消すか残すかで、全話観てから決めようとなった。


うーん、脚本が弱いなぁ。
誰かが誰かを好きになる、その感情の動くきっかけやエピソードにどれもこれもメリハリがない。
えっ、好きになってた?いつ?みたいな。
今の時代、倫理観があんまり欠如してるとすぐに燃えちゃうし、ほんわか匂わせるしかないのも仕方ないのかもしれないが、でもちょっとさすがにエピソード弱くねぇか?
なんかグズグズとためらってるだけで、すれ違いまくり。
え?え?これだけで告るかぁみたいな。

こういうドラマはそこが弱いとグズグズになっちゃうんだな。
好きになるエピソードの積み重ねの上で、ドラマティックに盛り上げないと、観てるこっちがどうでもよくなっちゃう。

海の家的な店を中心に、ジモティガールズと別荘に来てるお坊っちゃまたちのラヴアフェアって仕立ては、いかにもフジテレビ伝統のスタイルだし、映像的にはもう昔のスタッフなんて誰ひとり残ってないだろうが、けっこうきちんと踏襲されてたりして、やっぱ伝統とか作風って受け継がれるものなんだと感心したり。

キャスティングはいいところ突いてるなと思うし、美術なんかもきちんとしてるみたいでいい感じに見えるだけにつくづく脚本が残念。
ハッピーエンドにモヤモヤしちゃったんだよなぁ。
こんなハッピーエンドにするくらいならいっそ悲恋にした方が、ハイソと庶民の差別意識とか社会問題に踏み込めて、爪痕のひとつも残せたかもしれないのに。
せっかく封建的なパパママと、クズ過ぎる母を出しても、ラヴの抵抗勢力にさえならずにウヤムヤってもったいない。

残念ながら消去決定です。

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すごいなぁ、フジテレビ。
なんにも変わってない。王道の月9。
これはこれで伝統芸として残すべきスタイルだよなぁ。

最後まで観るかは展開次第だけど、ただ第1話を観て、私はわりと好意的。