Nagaki

コリン・イン・ブラック・アンド・ホワイトのNagakiのレビュー・感想・評価

4.0
良かった。
コリン・キャパニック本人が、自分の経験を踏まえた上で黒人文化について教えてくれるから、より心に響くし、勉強になった。

「ブラック・パワー・サリュート」
大学の授業で習ったが、黒人に対する不正義を告発する際の抗議スタイルのこと。

しばしばスポーツ業界ではよく行われていると思う。
このドラマだったら、コリンキャパニックがアメリカの国歌斉唱の際に、片膝をついて斉唱拒否をした。

これ以前にも、この抗議をしていた黒人選手はたくさんいて、一番最初に行われたのは1968年。
1968年と言えば、キング牧師が暗殺され、人種暴動が多発していた頃。
メキシコオリンピックにて陸上競技男子200メートルの表彰式で、1位と3位がアメリカの黒人選手だった。
表彰台に上がり、メダルをもらった後の国歌斉唱の時に、彼らは黒い軍手を右手につけ、拳を上に突き上げ、ずっと下を向き、斉唱を拒否した。黒人差別に対する抗議のために。

これが、当時初めてのスポーツ界でのブラックパワー運動だったため、かなり非難されてしまい、後に2人は、オリンピック名簿から除名されてしまった。

日本人である私たちには全く関係ないことかと思うかもしれないが、決してそんなことはない。
大坂なおみも日本人で、彼女もこの抗議活動していたのは、話題になっていただろう。
彼女は大会中に黒いマスクを毎回着けて入場していた。
黒いマスクには白い文字で、アメリカの警察から人種差別的暴動を受けて亡くなった黒人の名前を書いていた。
やはり、これにも賛否両論はあったらしいが、、、

私も、黒人ではないから彼らがどういう気持ちでこの抗議をしているのか、完璧には理解することはできないけれど、
やはり、こういう世間が注目するスポーツ大会の中だからこそ、抗議して伝えるべきことがあるのだと思う。簡単に「差別ダメ!」なんてことではないと思う。
それを、私も一視聴者としてもっと理解したいと、このドラマを見て強く思った。


なんだけど、、!そう思った一方で、悲しかったことが。
コリンの白人のご両親、、、実の親じゃないという以前に、コリンと肌の色が違うから、
今まで受けてきた待遇も違うし、向けられる目線も違うし、、コリンがなぜドレッドヘアをやりたいのかも理解できてないし、、

このご両親(特に母親)の、コリンとその周りにいる黒人たちに対する目線が時々冷たいのが、すごく嫌だった。
そして極めつけは、コリン(=白人である私たちの、息子)のガールフレンドは白人がいいと思っていること。

コリンのことは自分の子として愛しているのはもちろん分かる。
スポーツ合宿の遠征にずっと付き添ってあげてるし、コリンが野球じゃなくて、アメフトのQBになりたいと言っても、あまり口出ししないで最終的にはコリンの選択を尊重しようとしているのも伝わってきた。
やりたいことをやらせてあげる、とても素敵なご両親なんだけどね、

なんだけど、やっぱり、だよね。
やっぱり、心のどこかには黒人嫌悪・黒人差別の感情が常に消えずにあるんだなって思ってしまった。
黒人の息子を愛していても、心のどこかには、黒人に対してこの感情は消えずにあるんだなと、、、


最後に、コリンキャパニック本人のナレーションはとても良かった。
このドラマのメッセージは「意志を強く持て!」ということだと思うんだけど、
このコリン本人が、自分の発言、ナレーションに自信をもっているから、より説得力があって、とてもかっこ良かった。
Nagaki

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